ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第6章  研究開発の戦略的重点化
第2節  重点4分野の研究開発の推進
4  ナノテクノロジー・材料の重点的推進


 ナノテクノロジー・材料分野は第2期科学技術基本計画により,重点4分野の一つとして位置付けられ,文部科学省においても,重点的かつ戦略的にその研究開発の推進を図っています。

 このナノテクノロジー・材料分野の大きな特徴は,ライフサイエンスや情報通信などの他の分野と別個に存在するというよりは,それぞれの分野と融合するような,また,それぞれの分野の共通的な基盤となるような分野です。こうしたことから,この分野においては,他分野との融合及び共通的基盤がキーワードになっています。総合科学技術会議「分野別推進戦略」においても,{1}次世代情報通信システム用ナノデバイス・材料(情報通新分野との融合),{2}環境保全・エネルギー利用高度化材料(環境・エネルギー分野との融合),{3}医療用極小システム・材料,生物のメカニズムを活用し制御するナノバイオロジー(ライフサイエンス分野との融合),{4}計測・評価,加工,数値解析・シミュレーションなどの基盤技術と波及分野(共通基盤技術),{5}革新的物性,機能を付与するための物質・材料技術(共通基盤技術)の五つが重点領域と定められています。

 文部科学省では,上記の「分野別推進戦略」に示されている基本的方針を受け,科学技術・学術審議会は,平成14年6月に「ナノテクノロジー・材料に関する研究開発の推進方策について」を取りまとめました。この報告書の中では,先述の重点領域に対応する形で,文部科学省として今後推進していくべき具体的な研究テーマの抽出を行い,またその一方で,そうした研究開発のための研究環境・研究基盤整備の必要性を指摘しています。とりわけ,人材育成や研究支援体制の整備については,大きな課題として述べられています。文部科学省としては,こうした考え方を踏まえ,研究開発を進めるだけではなく,人材育成や研究支援などの研究基盤の充実化にも取り組んでいくこととしています。


(1) 実用化・産業化を展望した研究開発

 先述の報告書においては,この分野の研究開発を,{1}5〜10年後の実用化・産業化を目指したニーズ対応研究及び産業技術の基盤構築を図る研究開発,{2}10〜20年先を展望した挑戦的な研究開発及び{3}個人の独創性を重視した萌芽的研究の三つのタイプに分類しています。このうち,{1}については,経済活性化のための研究開発プロジェクトとして,平成15年度からの実施を目指し,外部有識者の意見も踏まえて具体的研究テーマについて検討を行っています。また,{2}については,平成14年度から開始された科学技術振興事業団の戦略的創造研究推進事業を活用し,「ナノテクノロジー分野別バーチャルラボ」として開始しています。基礎的な研究の成果を産業化・実用化につなげるために,基礎研究から応用研究・実用化研究への橋渡しが重要であり,このためにも産学官連携の重要性が指摘されています。




(2) 基礎的・基盤的研究開発

  (1) のような目標志向型の研究を行うためにも,その基盤ともなるべき基礎的・基盤的な研究が重要であり,文部科学省においては,大学や公的研究機関においてこうした研究に取り組んでいます。独立行政法人物質・材料機構や特殊法人理化学研究所といった公的研究機関においては,研究者の自主性を尊重した研究に加え,国として進めるべき研究開発としてのプロジェクト型で研究開発が主に行われています。

 独立行政法人物質・材料研究機構は,このナノテクノロジー・材料分野研究の主要研究機関として物質・材料科学を基盤として総合的な研究開発を進めています。また,理化学研究所においては,この分野の最先端の研究開発に取り組んでいます。このほか,独立行政法人航空宇宙技術研究所,日本原子力研究所等においても,この分野の研究開発に取り組んでいます。

コラム{13}

-「ナノ」とは?-

 「ナノ」という言葉は,ギリシア語の小人を意味する「nanos」に由来する接頭語で,とても小さいこと,あるいは,10億分の1のことを表します。ナノメートルとは10億分の1メートルのことで,髪の毛の約10万分の1の細さに当たります。また,ナノテクノロジーとは,この「ナノ」と科学技術を意味する「テクノロジー」を合わせた言葉で,日本で生まれた言葉です。


(3) 研究機関・分野を超えた横断的かつ総合的な支援

 ナノテクノロジー・材料分野は新興の分野であることから,先述のように研究基盤・知的基盤の充実化が求められています。文部科学省では,こうした要請にこたえるべく,平成14年度よりナノテクノロジー総合支援プロジェクトを開始しています。同プロジェクトは,広範な研究分野にわたるナノテクノロジー研究に関して,産学官の研究者が戦略的かつ効率的に研究に取り組んだり,研究機関や研究分野を超えた横断的な研究活動を推進することに資する基盤的支援業務を行うことを目的としています。具体的には,個々の研究機関や研究開発プロジェクトでは整備の難しい大型・特殊な施設・設備と高度な技術を持つ機関において,産学官の外部研究者に対して,施設・設備の利用の機会を提供するとともに,これらの施設・設備を活用した極微細加工や観測・評価等の高度な技術支援や基盤整備を行うなど,総合的な支援業務を実施しています。

 これと同時に,同プロジェクトにおいては,関連情報の収集・発信,研究者交流の促進,技術者の派遣,人材育成などについても行うこととしています(プロジェクトの実施機関については 表2-6-3 を参照)。

表2-6-3


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ