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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第6章  研究開発の戦略的重点化
第1節  基礎研究の推進
2  独創的・先端的研究を推進する研究機関・拠点の整備



(1) 大学共同利用機関・附置研究所等の整備・充実

 大学における独創的・先端的研究は,学部,大学院,研究所,研究施設などに加え,特定の大学に属さず全国の大学等の研究者が共同で利用し,研究を行う大学共同利用機関を中心に進められています。

 近年における研究手法の高度化や研究プロジェクトの大型化に伴い,多くの研究分野で研究者が共同して研究を進める必要性と有用性が増大しています。このため,大学共同利用機関や国立大学に附置されている研究所・研究施設などの共同利用体制の強化に重点を置き,研究組織の整備充実を図っています。また,学術研究の発展に伴う学際領域の拡大や多様な社会的要請などに対して,研究組織の弾力化・活性化にも努めています。

{1}大学共同利用機関

 大学共同利用機関は,全国の大学等の研究者が共同研究を推進する拠点として,また,特色ある大型の施設・設備や資料の共同利用の場として,各分野の発展に大きく貢献するとともに,世界最先端の研究も推進しています。また,大学教育の一環として,大学院学生の受入れを行うなど,研究と教育を一体的に実施しています。平成14年度現在15機関18研究所が設置されています。主な機関としては,以下のものがあります。

(ア)高エネルギー加速器研究機構(茨城県つくば市)

 加速器を用いて物質の根源・構造・機能を解明するため設置された加速器科学研究の中枢機関です。同機構では,電子・陽電子衝突型加速器を用いてB中間子の崩壊現象を観測することにより,物質と反物質との物理法則の違い(CP対称性の破れ)を解明することを目指す「Bファクトリー計画」を推進しており,平成13年7月にはその存在を実証する成果を発表したほか,電子加速器を用いた放射光による物質科学研究を行うなど,世界最高レベルの実験・研究を行っています。


(イ)総合地球環境学研究所(京都府京都市)

 地球環境問題の解決に向けて,既存の学問分野の枠組みを超えた総合的視点に立つ地球環境学を構築するために,平成13年度に創設された機関です。国内外の研究機関と連携して,人文・社会科学から自然科学までの幅広い学問分野を総合化する研究プロジェクトを推進しています。

{2}附置研究所

 大学には,特定の専門分野についての研究に専念することを目的に研究所が附置されており,学部・大学院における教育研究との連携の下,特色ある研究が進められています。国立大学には,平成14年度現在58の研究所(うち19は全国共同利用型の研究所)が設置されています。主な附置研究所としては,以下のものがあります。

(ア)東京大学宇宙線研究所

 宇宙から飛来するニュートリノと呼ばれる素粒子を「スーパーカミオカンデ」により観測しています。平成10年6月には,ニュートリノが質量を持つという成果を発表しました。さらに,高エネルギー加速器研究機構と共同でニュートリノ振動実験を行っており,その実験結果からも質量の存在を裏付ける成果を発表しました。平成13年11月に,ニュートリノを観測する光センサーが大量に破損する事故が発生したため,観測を中断していましたが,平成14年10月より実験を再開しており,今後の研究の進展が期待されています。

(イ)京都大学霊長類研究所

 霊長類のヒト化を明らかにする研究を行っています。チンパンジーを主な対象として,人間に特有の「新生児微笑」がチンパンジーの赤ちゃんにも見られることを世界で初めて確認するなど,ヒトを特徴付ける高次認識機能の進化に関する研究を推進しています。

{3}研究施設・研究支援施設

 国立大学には,研究者の共同利用・研究や学部・研究科の教育研究のため特定の専門分野についての特色ある研究を推進する研究施設や,これらの研究に必要となる動物実験・アイソトープ実験などを支援するための研究支援施設が設置されています(平成14年度現在482施設(うち27は全国共同利用施設))。主な研究施設としては,以下のものがあります。

(ア)名古屋大学物質科学国際研究センター

2001年度ノーベル化学賞を受賞した野依良治センター長の構想に基づき,社会に役立つ新しい物質の創製を目指して,物質機能の発見と物質機構の解明に関する先導的な基礎研究を国際的に推進しています。

(イ)京都大学宙空電波科学研究センター

 大気観測用大型レーダーを利用した地球大気・宇宙における諸現象の解明や赤道大気レーダーを利用したエルニーニョ等の地球大気変動の解明,マイクロ波を利用したエネルギー伝送技術開発など,全国共同利用の先端電波科学計算機実験装置を用いた宇宙環境研究に取り組んでいます。

(ウ)佐賀大学海洋エネルギー研究センター

 環境負荷の少ないエネルギー供給源に貢献するため,クリーンで再生可能な海洋エネルギー利用技術である海洋温度差発電システムの研究開発を進めています。


(2) 世界にも通用する戦略研究拠点の育成

 基礎研究をはじめとする研究活動を一層活性化するためには,研究者が創造性を最大限に発揮できるよう柔軟かつ競争的で開かれた研究開発環境を実現するとともに,広く国内外の研究者を引きつけることのできる魅力的な研究開発環境を有する国際的研究開発拠点を育成することが重要です。

 このため,平成5〜9年度には,科学技術振興調整費を活用した中核的研究拠点育成制度により,世界の優れた研究者が集まる研究環境を整備しつつ,また,優れた研究成果を世界に発信する領域において競争的な環境の中で具体的構想をもって研究拠点を目指す国立試験研究機関の取組を支援するため,育成対象の機関を選定しました。

 また,平成13年度からは,科学技術振興調整費を活用した戦略的研究拠点育成プログラムにより,研究マネージャーの優れた構想とリーダーシップにより,自己努力を含む具体的な組織運営化構想(5年計画)をもって組織改革を図り,積極的に卓越した研究拠点を目指そうとする公的研究機関の取組を支援しており, 表2-6-2 の機関が育成対象として選定されています。

表2-6-2 戦略的研究拠点育成対象機関


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