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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
序章  教育改革の推進
第1節  教育改革の背景


 我が国の教育は,第2次世界大戦後,機会均等の理念を実現し,国民の教育水準を高め,経済社会の発展の原動力になるなど,その時々の時代の要請に対応しつつ,様々な成果を上げてきました。しかし,現在の教育の状況に目を向けると,教育に対する信頼が大きく揺らいでいる状況が見られます。

 第1に,都市化や少子化の進展を背景とした家庭や地域社会の「教育力」の著しい低下が指摘されています。学校においては,いじめ,不登校,暴力行為や,いわゆる「学級崩壊」が社会的な問題となり,学校外においても,これまででは考えられなかったような青少年による凶悪な犯罪が続発しています。また,本来,教育の原点である家庭において,児童虐待や,家庭内での会話が少なくなることによるコミュニケーション不在などの様々な問題が発生しています。

 第2に,青少年の間で「公」を軽視する傾向が広がっています。これは,個人の自由や権利が過度に強調されてきた社会的傾向とともに子どもをめぐる環境が大きく変化し,子どもが人や社会との関係の中で自分を磨く機会が減少しており,社会性が低下していることと無関係ではありません。こうした子どもの社会性の低下は,規範意識の低下につながり,「公」の軽視の傾向や,青少年が「孤独の世界」に引きこもる傾向を助長していると考えられます。

 第3に,行き過ぎた平等主義による教育の画一化や過度の知識の詰め込みにより,子どもの個性・能力に応じた教育が,これまでややもすれば軽視されてきました。また,学校制度や入試の在り方など現状の教育制度が,一人一人の個性や能力を最大限に伸ばすためのものになっていないのではないかという指摘があります。

 第4に,科学技術の急速な進展,世界的規模で取引される経済,情報化など社会経済の変化が速くなり,これまでの初等中等教育から高等教育までの教育制度全体やこれに携わる関係者の意識が,この時代や社会の急速な変化に必ずしも十分に対応していないのではないかという指摘が見られます。

 このように,現在の教育には,社会経済の変化や子どもを取り巻く環境の変化にうまく対応できない状況が見られます。様々な教育をめぐる問題に対応するためには,学校を中心とした制度改革や施策の充実とともに,学校,家庭,地域を含めた社会全体で教育改革を進めることが求められています。

 今後の教育の在り方については,内閣総理大臣の下に設置された「教育改革国民会議」において議論され,同会議は,平成12年12月22日に「教育改革国民会議報告-教育を変える17の提案-」を提出しました。「画一性の打破と才能の育成,学校教育や教育行政の在り方についても,基本に立ち返って検討する」,「改革の具体的な動きをつくる」という二つの基本的な考え方の下に,教育改革を進めていく上では,{1}人間性豊かな日本人を育成する教育を実現する,{2}一人ひとりの才能を伸ばし,創造性に富んだリーダーを育てる教育制度を実現する,{3}新しい時代にふさわしい学校づくりとそのための支援体制を実現する,という三つの視点が重要であるとし,17の提案がなされました。


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