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第1部   新しい時代の学校〜進む初等中等教育改革〜
第5章  諸外国の初等中等教育改革
第6節  中国
1  創造性を育てる「資質教育」


 市場経済を取り入れ,急速に経済を発展させている中国では,この経済発展を推し進める力となる「優れた人材の育成」を目的に1980年代半ばから教育改革に取り組んでいます。教育改革を経済発展の戦略的重点として重視することは,故小平氏が強く主張した方針ですが,後を継いだ江沢民国家主席や朱鎔基首相もこの方針を引き継いでいます。

 経済発展に地域差があり,教育の普及が遅れている地域も少なくない事情から,これまでの教育改革では9年間の義務教育を全国で実施することが「重点中の重点」とされてきました。この9年制義務教育の全国実施は2000年に基本的に達成され,現在はこの教育普及の基礎の上に立って教育水準の向上に改革の重点を移しつつあります。

 この教育水準の向上を進めるに当たっての中国の基本的な考え方が「資質教育」です。中国では大学進学率が現在でも10%程度で,厳しい受験競争があり,これが中学校や小学校にも及んで受験対策のための知識学習が大きな比重を占めています。こうした受験偏重教育の反省に立って打ち出されたのが資質教育で,「子どもの持つ様々な資質を全面的に」伸ばそうとする教育とされています。1990年代半ばに政府から提唱され,さらに,1999年の全国教育工作会議では資質教育の中で特に「創造性」「実践能力」の育成が重点とされました。

 初等・中等教育の各学校では,現在,この資質教育の考え方に沿って教育内容や方法の改革を進めています。教育課程の基準は国が定めていますが,2005年の全国実施を目指して改訂中の小・中学校の新基準はそれまでの「受け身,丸暗記」の学習を改め,「生徒の主体性」を引き出すために,「基礎知識と基本技能の習得」と同時に「学習過程」を重視する方針を掲げています。

 新基準は,この方針の下で{1}「総合実践活動」(第3学年から)を導入,{2}地方・学校が定める時間を創設,{3}教科・活動の時間配分を幅のある比例配分で示し,学校が決定,などの新しい措置を入れ,多様化を図ろうとしています。総合実践活動は学校がその内容を決定し,情報教育や課題学習,奉仕活動などが想定されています(週2〜3時間)。また,既に大都市で実施していた小学校の外国語は,初めて全国的に第3学年から必修となります。

 教科書についても,1980年代後半から検定制度ができ,それまで全国共通教科書1種類であった教科書が,大学や地方も編集出版するようになり,多様になりました。


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