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第1部   新しい時代の学校〜進む初等中等教育改革〜
第5章  諸外国の初等中等教育改革
第5節  ドイツ
1  国際競争力強化を目指して─10年後には世界一に


 ドイツでは1980年代経済が好調であり,また1990年の東西ドイツ統一後は逆に増大する財政負担と失業への対策に追われていたために,教育改革,特に初等・中等教育の改革への気運は高まりませんでした。各州それぞれが独自に教育政策を決定する制度も,全国的な教育改革への取組を遅らせた要因になったかもしれません。

 しかし,1990年代末から,2度にわたる国際学力調査で成績不振が明らかになり,学力向上に向けた改革論議が全国規模で一気に広がりました。この学力調査とは,1997年に国際教育到達度評価学会(IEA)が公表した「第3回国際数学・理科教育調査(TIMSS)」と2001年12月公表の「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)」です。2回とも成績は平均を大きく下回り,産業界からも労働力の質の低下を懸念する声が相次ぎました。

 こうして学力への危機感が急速に広まる中,各州文部大臣会議や連邦政府は2002年に入り,ドイツの国際競争力を強化する人材育成のため,全国的に取り組む学力向上策を相次いで発表しました。その中心になるのは,{1}教育スタンダードの設定,{2}学力テストの実施など,アメリカやイギリスと共通する施策です。

 教育スタンダードについては,各州が定めている教育課程基準の水準にばらつきがあることから,全国で統一的な基準の設定が求められるようになったものです。各州文部大臣会議は,現在,主要教科について特定学年で到達すべき学力水準を示した教育スタンダードを準備しています。また,この教育スタンダードの定着を確認するために,初等学校及び中等学校の特定学年について州内統一学力テストを実施し,さらにその定着度について各州間の比較を行う全国統一学力テストも実施することになりました。このほか,家庭での学習環境に恵まれない子どもに対する学習支援策として,従来半日制が一般的であった学校で在校時間を午後まで延長し,学習環境を提供する「全日制学校」を拡大しようとしています。

 こうした学力向上策を連邦政府が提起するのは異例のことですが,シュレーダー連邦首相もたびたび教育問題で発言し,ドイツの教育水準を「10年後には世界一」にするという意気込みを示しています。連邦政府は「全日制学校」拡大のための財政措置を表明しています。

 また,外国語については,1990年代後半から各州で,必修教科,課外活動など形態は多様ですが,初等学校において何らかの形態で外国語に触れたり学習したりする機会を提供しています。



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