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第1部   新しい時代の学校〜進む初等中等教育改革〜
第5章  諸外国の初等中等教育改革
第4節  フランス
1  子どもの多様性に応じた教育


 フランスでは,経済不況と高い失業率が深刻な社会問題となる中,経済を立て直す人材の育成を重視し,教育水準の引上げと教育規模の拡大を目指す改革が1980年代末から始まりました。1995年に就任したシラク大統領もこのような教育重視の政策は変わらず,改革を進めています。

 教育改革が開始された当時,学校では学力不振が大きな問題となっており,このことが改革の焦点となりました。小学校では約4割の児童が1回以上留年,中学校でも6人に一人が留年という年もあり,こうした学力不振が多くの高校中退を招き,失業増加の要因の一つになっているとされました。

 教育改革の基本的な方向は,1989年にミッテラン大統領の下で制定された「新教育基本法」(ジョスパン法)で示されました。同法は,教育を「国の最優先課題」と明記し,画一性から多様性への転換を根本理念として子どもの能力に応じた多様な教育を志向しています。それぞれの子どもへのきめ細かな対応を通じて,基礎学力を向上させ,最終的には,すべての生徒を職業高校2年修了水準に,80%の生徒を高校最終学年進級水準に到達させることを目標として掲げました(当時は約50%)。

 この基本方針に基づき,1990年代には,初等中等教育の各段階で教育課程の改革が行われました。教育課程の基準は国が定めていますが,小・中学校の1995年の改訂では,学力不振者のための補習時間の設定や,学習効果を上げるため学校の判断による授業単位時間の弾力的設定,個別指導の強化など,多様で柔軟な教育課程編成が行えるようになりました。高校でも同様の措置が1999年から行われています。また小学校では,教育課程が学年ごとではなく,数学年をまとめた「学習期」ごとに編成されるようになり,学習期内での留年が原則禁止となりました。

 2002年から小・中学校で実施された新しい学習指導要領では,これらの措置を続けるとともに新たに小学校で読み書き指導を徹底することにしました。特に高学年では「フランス語」の時間を廃止して全教科を通じて言語指導を行うなどの指導上の工夫が盛り込まれています。また,1995年に第2学年からフランス語の時間を利用して授業が行えるようにした小学校の外国語は第1学年から独立教科として必修化されました。


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