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第1部   新しい時代の学校〜進む初等中等教育改革〜
第5章  諸外国の初等中等教育改革
第3節  イギリス
1  教育改革の中心は教育水準向上


 今日のイギリスの教育改革は,1980年代半ばに始まりました。これに先立つ時期,いわゆる「英国病」とよばれる経済の停滞や社会の活力低下の克服が課題とされ,また,国民の教育・訓練水準や児童生徒の学力水準の低下が危ぐされていました。例えば,当時普及していた子ども中心の教育が,子どもの自主性を尊重するあまり教科指導がおろそかになるのではないかといった指摘がありました。また,社会経済の要請に対応できるような,英語や数学といった基礎的教科の学力向上,科学や技術教科の充実が求められました。

 このような中で,サッチャー保守党政権は教育に対して大きな関心を払い,広範な教育改革に着手しましたが,中でも教育水準の向上は改革の第1の目標となりました。特に教育課程については,それまで国や地方が統一的な基準を定めておらず,基本的に学校が独自に編成していたのを改め,すべての子どもたちに共通する教育内容を保障するため,1989年「全国共通カリキュラム」を導入しました。これは,国として初めての全国的な教育課程の基準です。当初英語,数学及び理科の中核教科に加え,歴史,地理,技術,音楽,美術,体育そして外国語が必修教科として定められました。その後,情報及び公民が順次必修教科に加わりました。全国共通カリキュラムは,これら必修教科について,四つの教育段階(5〜7歳,7〜11歳,11〜14歳,14〜16歳)を設け,各段階ごとの学習内容と達成すべき学力水準を示しています。

 また,全国共通カリキュラムの導入に併せ,その到達度を見るために「全国テスト」が実施されています。英語,数学及び理科の中核教科について,7歳,11歳及び14歳の児童生徒の到達度を評価するものです。この結果は,児童生徒の指導の参考とされます。政府はテストの結果を毎年公表していますが,これによると,成績は着実に向上しています。また,政府は国際的な学力テストにも積極的に参加しており,2001年に公表された「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)」で,イギリスの生徒は,読解力,数学的リテラシー及び科学的リテラシーのいずれの分野においても上位を占める良い成績を収めました。

 1997年に保守党政権を継いだ労働党ブレア首相が,政権の最重要課題を「教育,教育そして教育」と訴えたことは有名ですが,それは,21世紀のイギリスの課題が,知識主導型経済における国際競争力の強化と社会的弱者を支援する強固な民主社会の形成にあり,そのためには教育が最も重要であるという考えに基づいています。このため,ブレア政権も教育水準の向上をスローガンとして,それまでの学力向上策を支持し,さらに,全国テストなどの成績について全国到達目標を設けるなど積極的な施策を採っています。


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