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第1部   新しい時代の学校〜進む初等中等教育改革〜
第4章  信頼される学校づくりに向けて
第3節  楽しく安心できる学習環境の整備
1  安全な学校施設の整備


 公立学校施設については,現在の耐震設計基準(昭和56年)ができる以前の昭和40年代から50年代の児童生徒急増期に大量に建築された建物が老朽化してきており,順次改築(建て替え)が必要な時期を迎えています。全国の公立小中学校が保有している建物の総面積のうち,建築後20年以上(昭和56年以前)経過した建物が全体の約65%を占めており,建築後30年以上経過した建物が全体の約23%を占めています( 図1-4-6 )。建物の老朽化が進むと,中には児童生徒の負傷など深刻な問題に発展する場合もあるため,そのような状態になる前に改築・改修(改造や補修)・補強を行っていかなければなりません( 図1-4-7 )。

図1-4-6 公立学校施設の老朽状況の深刻化

図1-4-7 老朽化による校舎のトラブルの例

 学校施設は児童生徒の学習・生活の場であり,その豊かな人間性をはぐくむための教育環境として重要な意義を持つだけでなく,災害時には地域住民の応急避難場所としての役割をも果たすため,その安全性の確保,特に耐震化の推進は大変重要です。しかしながら,平成14年5月に実施した文部科学省の調査によると,公立小中学校の施設の約43%について耐震性に問題があると推定されています。また,昭和56年以前に建てられた学校建物のうち,耐震診断を実施したものはわずか30%に過ぎず,耐震化の取組が遅れています( 図1-4-8 )。

図1-4-8 公立小中学校の耐震改修状況調査結果による耐震化の状況(単位:棟数)

 昭和51年秋ごろから遠州灘(えんしゅうなだ)又は駿河湾(するがわん)地域での大規模な地震発生の可能性について議論が起こり,昭和53年に大きな地震がいくつか続いたこともあって,同年6月に「大規模地震対策特別措置法」,55年5月には「地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」が制定されました。それらの法律によって,指定地域(東海地震に係る地震防災対策強化地域)である東海6県(現在は8都県にまたがる263市町村)において学校施設の改築や補強事業が補助率の引上げの対象となり,地震防災対策が促進されるようになりました。さらにその後,平成7年1月17日に発生した阪神・大震災の経験を踏まえ,同年6月に「地震防災対策特別措置法」が制定されたことに伴い,補強事業の国の補助率の引上げの対象地域が全国に拡大されました( 表1-4-7 )。

表1-4-7 地震防災対策に係る国の負担(補助)率の一覧

 近い将来の一時期に集中しそうな学校施設の改築などを無理なく進めていくためには,中・長期的な視点にたって計画的に整備を進めていくことが大切です。また,学校施設の耐震化促進のためには,現在の耐震設計基準で建築された建物について計画的に耐震診断や耐力度調査を行い,耐震性能を確認することが重要です。このため,文部科学省では,市町村などの計画的な耐震診断の実施や,その診断結果をもとにした改築・補強を推進していくこととしています。また施設の耐震化・老朽対策というのは,一見,足りないものを補うだけのようにも見えますが,見方を変えれば,従来ややもすると画一的であった学校施設が,時代や社会の要請にこたえた個性や特色を持った多様な学校施設に生まれ変わる好機ともなるのです。

 なお,近年,公共施設の建築でPFI(Private Finance Initiative)という手法が注目されています。PFIとは,学校を含む公共施設の整備に際して,その設計・建設・管理運営などを一括して民間事業者が実施するという形態を採る公共事業手法の一つです。特に,施設の運営から見込まれる収益を民間事業者が建設や改修をした工事費への支払いに含めることにより,公共の施設整備への民間資金の活用を促し,最終的に公共支出を抑えうるという利点があることから,施設の耐震化・老朽対策を進める上で有効な手法となるものです。ただし,一方で,収益性の考慮が不十分で単なる割賦払いとなってしまう場合には,その後の地方自治体に硬直的な財政負担を強いることになるという問題点もあります。このため,地方自治体がPFIを活用して学校施設の改築などを行う場合には,このような点に留意して進めることが大切です。


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