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第1部   新しい時代の学校〜進む初等中等教育改革〜
第4章  信頼される学校づくりに向けて
第2節  保護者や地域に信頼される学校づくり
4  学校教育の多様化・弾力化の推進と新しい時代の学校



(1) 高等学校教育の多様化・弾力化と中高一貫教育の推進

 これからの社会は,国際化,情報化,高齢化の進展などを背景に,急速かつ大きく変貌していくことが予想されます。高等学校教育では,同世代のほとんどすべての青少年が進学していることから,生徒に社会の一員としての基礎的・基本的な力を身に付けさせるとともに,生徒一人一人の興味・関心等に基づく主体的な学習を促し,それぞれの個性を最大限に伸長させていくことが求められています。

 このため,文部科学省では,生徒の興味・関心等に対応した学習の選択幅を拡大するとともに,多様な特色ある学校づくりを進めていくため,総合学科や単位制高等学校などの新しいタイプの高等学校をはじめとする特色ある学校・学科・コースの設置や中高一貫教育校の設置を促進しています。

 総合学科は,普通科及び専門学科と並ぶ新しい学科として平成6年度から制度化しており,14年度までに全国で186校が設置されています。総合学科の教育の特色としては,幅広い選択科目の中から自分で科目を選択して学習することが可能であり,自己の進路への自覚を深めさせる学習や,個性を生かした主体的な学習を通じて,学ぶことの楽しさや成就感を体験させる学習を重視することなどが挙げられます。

 また,単位制高等学校は,学年による教育課程の区分を設けずに,卒業までに所要の単位を修得すれば卒業を認める学校です。昭和63年度から定時制・通信制課程に,平成5年度から全日制課程において設置が可能となっており,14年度までに全国で431校が設置されています。また,農業高校や工業高校などの専門高校においても,時代の変化に対応した特色ある取組が進んでいます。

 中高一貫教育校は,これまでの中学校・高等学校に加え,生徒や保護者が6年間の一貫した教育課程や学習環境の下で学ぶ機会をも選択できるようにすることにより,中等教育の一層の多様化を推進するとともに,生徒一人一人の個性をより重視した教育の実現を目指して平成11年度から制度化されており,14年度までに全国で73校が設置されています。

 そのほかにも,生徒の自ら学ぶ意欲を向上させ,生涯にわたる学習の基礎を培う観点から,生徒の学校外における学修をより一層評価していくため,他の高等学校や大学・高等専門学校等における学修,ボランティア活動や就業体験等による学修,技能審査の成果等について,各高等学校の判断により単位として認定が可能な制度を設けています。

事例紹介

秋田市立御所野学院中学校・高等学校〜併設型中高一貫教育校の取組

 中高一貫教育校「御所野学院中学校,高等学校」は,「伸びゆく秋田と共に学ぶ学校」を基本理念に,平成12年度,全国に先駆けて開校しました。

 本校は,個性の伸長と愛郷心の高揚を教育目標に掲げ,地域・家庭・学校が三位一体となった教育を推進しており,特色ある学習として,「表現科」,「郷土学」を行っています。

 「表現科」は,学年の枠を取り払って中学生と高校生が合同で学ぶ教科であり,身体,芸術,言語等による表現活動を中心に構成され,自己を豊かに表現することによって,心を解放し,感性を磨き,他者との豊かな関係を結ぶ能力と態度の育成を目指しています。演劇や能,コンピュータグラフィックス,中国語やハングルなど10講座を開設し,社会人講師の活用を十分に図った学習を行っています。

 「郷土学」は,郷土秋田を学びの原点とし,6年間を通して学ぶ学習であり,環境や福祉等の様々な問題を国際的視野に立って考察し,表現し,行動化できる自立した人間の育成を目指すものです。御所野地区を中心にした秋田の自然・文化・施設を学びの場とし,生徒自らが課題を設定し,体験的な学習を中心に,地域の人材等外部指導者の大胆な活用を図りながら課題を追究するとともに,中学校3年生で研究報告書を作成し,高校3年生では課題研究として研究論文をまとめます。

 この他,本校では目的意識を持った生き方指導としての計画的な進路指導を6年間を見通して行っており,その中で変化に対応し,自己選択できる生徒の育成に努めています。


事例紹介

岩手県立盛岡農業高等学校〜バイオ技術でエーデルワイスの大量増殖に成功

 岩手県立盛岡農業高等学校は,同県滝沢村に位置し,平成11年には創立120年を迎えた歴史ある農業高校です。県内の高等学校における農業教育の中核を担っている誇りを持ち,生徒ひとりひとりを大切にするという教育方針のもと,魅力ある学校づくりに努めています。

 同校の生物工学科の生徒たちは,世界で唯一岩手県の早池峰山にだけ自生している国指定の天然記念物「ハヤチネウスユキソウ」が,違法な乱獲や自生地の自然破壊等の影響で絶滅が危惧され,現在,環境省や岩手県のレッドデータブックにおいて絶滅危惧種のAランクに指定されていることから,早池峰山の自然保護活動に取り組むとともに,バイオテクノロジー技術を利用し,近似種であるヨーロッパアルプス産の「エーデルワイス」の大量増殖を目指しました。

 生徒たちは,ウスユキソウの自生地の環境調査を行い,培地の開発,優良苗の生産,新しい培養方法の開発など地道な研究を積み重ねた後,国内外においても例の無いエーデルワイスの大量増殖に成功し,自然界に適応した苗を育成することができました。

 これらの成果は,学会での発表や論文コンクールでの文部科学大臣賞の受賞により,広く新聞・テレビ・ラジオ等で紹介されましたまた,本年11月に開催された日本学校農業クラブ全国大会の研究発表部門においても,最優秀賞を受賞したところです。



(2) 新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究

 学校教育においては,一人一人の子どもの個性の伸長を目指し,地域住民の要請にこたえるため,特色ある学校教育を行うことが重要です。

 このような観点から,教育改革国民会議の提言(平成12年12月)を踏まえて策定された「21世紀教育新生プラン」(平成13年1月)において「地域が運営に参画する新しいタイプの公立学校(“コミュニティ・スクール”)」の可能性や課題等について検討することとしています。

 このため,学校運営の在り方に焦点を置いた実践研究を平成14年度から開始し,7地域9校の研究校を指定しています。

 実践研究校においては,市町村による校長公募や学校による非常勤職員の公募など,人事面における学校裁量の幅の拡大を図るとともに,学校裁量経費の支出をはじめとして予算面においても裁量権を拡大する取組を進めています。また,外部人材の積極的活用や地元産業界との連携など,学校と地域の連携を深めるほか,これらの推進体制として地域学校協議会を設け,教育課程の編成をはじめとする学校運営に協議会が参画することなどの研究を進めています。

 研究期間は3年ですが,実践研究校における1年ごとの研究成果も踏まえつつ,地域が運営に参画する新しいタイプの公立学校の在り方について,更に研究を進めていくこととしています。

表1-4-6 実践研究校一覧


(3) 多様な小中学校の設置促進〜小学校設置基準等の策定〜

 教育改革国民会議の提言(平成12年12月)や「21世紀教育新生プラン」(平成13年1月)などを踏まえ,多様な小・中学校の設置を促進する観点から,小学校設置基準及び中学校設置基準を新たに制定しました。

 制定に当たっては設置基準を小学校等を設置するのに必要な最低の基準と位置付け,地域の実情に応じた対応が可能となるよう,また,設置者の多様な教育理念を実現する観点から,できる限り弾力的・大綱的な規定とし,平成14年4月1日から施行しました(編制並びに施設及び設備に係る規定は平成15年4月1日施行)。

 設置基準の主な内容は,{1}学校の自己評価及び結果の公表の努力義務規定,{2}学校情報の外部への積極的提供の義務規定,{3}学級編制を原則40人以下とすること,{4}最低限の校舎及び運動場の面積規定,{5}必要な施設を大綱的に規定,{6}特別な事情がある場合の他の学校等の施設設備の使用を認めることを明文化,{7}教員等が他の学校の教員等の職を兼ねることができることを明文化,などです。

 なお,{1}学校の自己評価及び結果の公表の努力義務規定,{2}学校情報の外部への積極的提供の義務規定については,高等学校設置基準及び幼稚園設置基準にも規定を設けました。


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