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第1部   新しい時代の学校〜進む初等中等教育改革〜
第2章  確かな学力の向上を目指して
第3節  新しい学習指導要領について
1  「確かな学力」の育成を目指す新学習指導要領


 平成14年4月から全国の小・中学校で実施されている新しい学習指導要領は,すべての子どもが共通に学ぶべき内容を厳選し,各学校でじっくり時間をかけて考えたり,個に応じて補充的な指導をしたり,発展的な学習に取り組ませたりする工夫ができるようにするとともに,それらを実感を持って理解することができるよう体験的・問題解決的な学習を充実させることにより,子どもたちに基礎・基本を確実に定着させ,自分で課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力などまで含めた「確かな学力」をはぐくむことを目指しています。以下では,新しい学習指導要領の改訂の内容について詳しく説明します。


(1) 教育内容の厳選

 新しい学習指導要領では,学ぶ側にも,教える側にも,時間的・精神的なゆとりをもたらし,これを活用して,{1}理解や習熟の程度に応じた指導,個別指導や繰り返し指導など個に応じたきめ細かな指導,{2}観察・実験,調査・研究,発表・討論など体験的・問題解決的な学習を行うことができるようにするため,教育内容を厳選しています。

 これは,子どもたちの授業の理解度などが低いこと(参照: 第1部第2章第2節 )を踏まえ,各学校において,これまで以上に「分かる授業」を実現し,子どもたちが達成感を持ちながら基礎・基本をしっかりと習得し,自ら学び,自ら考える力などの「確かな学力」を身に付けることを可能とするものです。

 なお,具体的な教育内容の厳選に当たっては,{1}内容が高度なため,単なる知識の伝達や暗記に陥りがちであったものを上の学年や学校段階に移行し,もともと上の段階で扱っていた内容と合わせることで子どもたちが内容を理解した上で体系的に学べるようにしたり,{2}各学校段階,各学年間,各教科間で重複して取り扱っていた内容を1か所にまとめて指導することにより,子どもたちが,じっくりと時間をかけて学ぶことができるようにするなど,子どもたちに基礎・基本の確実な定着が図れるよう留意しました( 図1-2-1  教育内容の厳選の例)。

図1-2-1 教育内容の厳選の例


(2) 選択学習の幅の拡大

 新しい学習指導要領においては,子ども一人一人の興味・関心,進路希望等に応じて,個性・能力を存分に伸ばす観点から,中・高等学校における選択学習の幅を拡大しています。

 中学校においては,選択教科に充てる授業時数を拡大し,その時間において補充的な学習や学習指導要領に示す内容の理解をより深めるなどの発展的な学習,課題学習などに積極的に取り組むことができるようにしています。

 高等学校においては,必修科目の最低合計単位数を縮減(38単位→31単位)し,これまで以上に,選択科目や各学校が独自に設定できる学校設定教科・科目の学習等を通してより深く高度に学んだり,より幅広く学んだりすることで,生徒がそれぞれの能力を十分伸ばすことができるようにしています。

 現在,各学校においては,多様な選択学習の設定など創意工夫あふれる取組が行われています(事例(恵那市立恵那西中学校など)等参照: 第1部第2章第4節 )。


(3) 個に応じた指導の充実

 学習指導要領の総則では,「各教科,道徳及び特別活動の内容に関する事項は,特に示す場合を除き,いずれの学校においても取り扱わなければならない。学校において特に必要がある場合には,(学習指導要領に)示していない内容を加えて指導することもできる」としており,学習指導要領に示す内容は,すべての子どもに対して指導する必要があるという意味において最低基準としての性格を有しています。

 このような考え方はこれまでと変わっていませんが,新しい学習指導要領は,すべての子どもが共通に学ぶ教育内容を厳選するとともに,選択学習の幅を拡大したことにより,最低基準としての性格が一層明確になったといえます。

 このような学習指導要領の下では,各学校において,学習指導要領に示す内容について理解の十分でない子どもには,何度も繰り返し指導して,基礎・基本を確実に習得できるようにしたり,既に十分習得できている子どもには,教師がその子の興味・関心,適性等に合った課題を与えることによって,習った内容についての理解をより深めたり,更に進んだ内容について学んだりすることがより主要な課題として意識されるところとなり,実際に創意工夫を生かした様々な取組も見られます。


(4) 総合的な学習の時間

 新しい学習指導要領において新設された「総合的な学習の時間」は,{1}自ら課題を見付け,自ら考え,主体的に判断し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力を育てること,{2}学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的・創造的に取り組む態度を育て,自己の生き方を考えることができるようにすることをねらいとしています。

 このような資質や能力・態度の育成は,各教科等の指導においても図られているところですが,それに加えて,敢えてこの時間を創設したねらいは,子どもたちが学校で学んだ知識等を,生活の中で実感を持って理解する機会が減少していることを踏まえ,そのような機会を意図的・計画的に設けることにより,教科等の学習を通じて身に付けた力を様々な活動を通して,一体となって働くようにすることにあります。

 なお,「総合的な学習の時間」の指導内容については,学習指導要領においては,国際理解,情報,環境,福祉・健康などの横断的・総合的な課題などについて,自然体験や社会体験,観察,実験,見学・調査などの体験的な学習,問題解決的な学習などを積極的に取り入れる旨述べているのみで,具体的な内容は,各学校において子どもや地域の実態を踏まえ,創意工夫を存分に生かして設定できるようになっています。

 また,現在,各学校においては,このような「総合的な学習の時間」のねらいを十分に踏まえ,外部の人材の協力も得つつ,教科等の学習で身に付けた力を「総合的な学習の時間」に生かすとともに,「総合的な学習の時間」で身に付けた力をその後の教科等の学習に生かすなど,子どもたちの知識や体験に広がりを持たせ,学ぶ意欲を高める取組が行われています。

コラム{1}

-「発展的な学習内容」が教科書に-

 新しい学習指導要領では,すべての児童生徒が共通に学ぶ内容を厳選し,これまで以上に児童生徒一人一人の理解や習熟の程度に応じた教育を行うことが可能となりました。各学校では,一人一人の個性に応じた教育を展開する中で,学習指導要領の内容を十分理解している児童生徒に対しては,理解をより深めるなどの発展的な学習に取り組み,児童生徒の力をより伸ばす取組を一層充実させることが求められています。

 教科書レベルにおいても,こうしたことに十分に対応できるようにするため,文部科学省では,教科用図書検定調査審議会に対し,よりよい教科書を児童生徒に提供する観点から教科書制度の改善について検討を依頼しました。

 平成14年7月31日,教科用図書検定調査審議会から,すべての児童生徒が共通して使用する教材であるという教科書の基本的性格を踏まえつつ,児童生徒の理解をより深めたり,興味・関心に応じて学習を広げたりする観点から,学習指導要領に示されていない内容については,本文以外の記述とし,他の記述と明確に区分するなど一定の条件を設けた上で,教科書に記述することを可能とすることが,多様な教科書を求めていく上で適当であるとの報告が出されました。

 文部科学省では,この報告を踏まえ,平成14年8月29日に教科用図書検定基準の一部を改正しました。


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