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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第10章  国際化・情報化への対応
第1節  国際交流・協力の充実に向けて
4  開発途上国への教育協力



(1) 教育協力の推進に向けた内外の動きと現状

 我が国の教育を重視した国づくりは広く海外からも認識されているところですが,他方,開発途上国の中には,負担の大きい教育投資に充てる財源や資源が十分でなく,子どもたちが教育を受ける権利が十分に保障されていない国もあります。また,現在,教育の制度,内容,方法などの改善を模索している国もあります。そのため,我が国の教育協力に対する開発途上国からの期待が高まるとともに,要請が増大してきています。

 これまで,我が国の開発途上国に対する協力は,「経済協力」の名が示すように,経済的に重要な社会基盤の整備を重視する傾向がありました。しかし,平成11年8月に公表された「政府開発援助に関する中期政策」において「基礎教育」や「人材育成」を重点事項としたことに続き,内閣総理大臣の諮問機関である対外経済協力審議会が12年9月21日にとりまとめた報告「『人間を重視した経済協力』の推進について」では,21世紀の経済協力の在り方を規定する重要な要素として,教育・人づくり分野を含めた「人間中心の開発」の考え方を取り入れているところです。

 国際社会においても,開発援助に関する考え方は次第に変遷してきています。開発途上国における貧困の根本的な解決のためには,人間の生活の質を改善することが重要であるとの主張がされるようになり,基礎教育をはじめとした教育分野における協力の重要性に対する認識が高まっています。平成12年4月にユネスコなどが主催し,世界各国が参加してダカール(セネガル)で開催された「世界教育フォーラム」では,「『万人のための教育』に関するダカール行動枠組み」が合意され,今後,国際機関や先進国が,開発途上国の教育計画の立案,実施を支援することが求められています。また,2001(平成13)年7月に開催されたG8首脳会合(ジェノバ・サミット)の際に開催されたG8首脳と途上国首脳の対話において小泉首相は,長岡藩が援助米として送られた百俵の米を,将来の人材育成のため学校建設に費やしたという「米百俵」の逸話を披露し,「貧困の解決のためには教育が重要である」と訴えました。この点はG8コミュニケにも盛り込まれ,開発途上国への教育協力重視が再確認されたところです。

 情報通信技術(IT)の進歩などの要因により,国境を超えたグローバルな関係が形成されてきている今日,開発途上国が持続的に成長を遂げていくことは,国際社会の安定のためにも重要となっています。持続的成長のためには教育を通じた人材育成が不可欠であることを考慮すれば,今後我が国が開発援助において教育・人づくり分野の協力を一層重視し,開発援助関係者と教育関係者が互いに連携・協力してこれに取り組んでいく必要があります。


(2) 国際教育協力の基本方針と具体的な協力形態について

 以上のような動きを踏まえ,文部科学省では,大学等の持つ知識や人材を生かした開発途上国支援を実施してきているところですが,更に効果的かつ主体的な教育協力を推進するため,文部科学大臣の私的懇談会である国際教育協力懇談会を立ち上げ,我が国が培ってきた教育分野での英知・経験を活かした教育協力の在り方につき検討しているところです。

 これまでニーズはありながら協力が不十分であった分野や,地方自治体の参画や市民団体との連携も念頭に置いた援助につき検討を行い,教育分野の援助に関する中間報告をまとめたところです。この中間報告において出された提言に基づき,外務省,JICA及び国際協力銀行(JBIC)と連携し,日本人の心の見える教育協力を積極的に推進していきます。

 具体的に開発途上国への協力を進めるにあたって,協力の形態には以下のようなものがあります。

{1} 無償資金協力

 開発途上国に返済義務を課さないで資金を供与するもの。教育分野では,小中学校建設計画などのため1999年度で194.51億円の無償資金協力を実施しています。

{2} 技術協力

 開発途上国に技術を普及させ,またその国の技術水準を向上させることを目的とした援助。技術研修員の受入れ,専門家の派遣,機材の供与及びこれらの3要素を総合的に組み合わせて行うプロジェクト方式技術協力,開発調査,青年海外協力隊の派遣などがあります。

{3} 有償資金協力

 資金を長期低利で貸し付けるもので,通常円借款とよばれています。JBICが実施に当たっており,文部科学省は,円借款を実施するために必要な調査団に対する大学教官の派遣などを通じて協力を行っています。

 これらの形態により教育協力をより効果的・効率的に実施するとともに,大学などが自らの活動として主体的に進める観点から,大学等間の連携・協力を促進するための拠点的機能を果たす国際教育協力研究センターの整備が,教育,農学,医学,工学などの分野ごとに進められています。


(3) 人材の派遣

{1} 青年海外協力隊現職教員参加制度

 青年海外協力隊は,知識や技術を生かして開発途上国とその人々のために貢献したいという意欲と情熱を持った日本人の若者たちを公募し,2年間のボランティアとして開発途上国へ派遣する制度です。

 文部科学省は,教員の国際協力活動への参加は国際貢献と国際体験のよい機会であり,帰国後も国際理解教育の推進に寄与できるのでこれを奨励すべきと考えています。このため,平成13年度募集(14年度派遣)から青年海外協力隊現職教員特別参加制度を創設し,現職教員の参加を推進しています。

ガーナへの専門家(小学校教師)派遣(ガーナ小中学校理数科教育改善計画)

{2} 専門家派遣

 開発途上国からの要請に基づき,JICAにより国立大学などから多数の教官が専門家として派遣されており,主として当該国の中央省庁,国立の大学・病院・研究所に配属され,国づくりの中核となる行政官,教員,研究員,医師などに対する技術指導(移転)を通じて,教育・研究・診断技術など水準の向上を図り,社会・経済開発に貢献しています。


(4) 人材育成など

{1} 開発援助人材の育成

 ODAの質の向上が求められる中,経済協力に携わる高度な人材の育成が求められています。開発途上国の自立的,内発的発展を助け,これらの国々の社会全体の健全な発展に資するため,国立の大学に国際開発援助に関する学部,研究科などを設置し,この分野における学術研究の推進を図るとともに,これらの事業に携わる高度の専門能力を有する人材の養成・再教育を行うこととしています。

 また,我が国の高等教育機関における開発援助関係の教育研究を振興することを目的として設立された(財)国際開発高等教育機構(FASID)に対し,開発援助共同講座支援事業や開発援助人材養成海外実習調査事業に必要な経費を補助しています。

{2} 研修員受入れ

 国立大学などは,開発途上国の人づくりに対する協力の一環として,外国人受託研修員制度に基づき,JICAが招致する外国人研修員を受入れ,当該国の国づくりの中核となる大学教員,行政官など,指導者の能力の一層の向上に協力しています。


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