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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第10章  国際化・情報化への対応
第1節  国際交流・協力の充実に向けて
2  国際社会に生きる日本人の育成



(1) 国際理解教育の推進

 国際社会の中では,日本人としての自覚を持ち,主体的に生きていく上で必要な資質や能力を子どもたちに育成することが大切です。また,我が国の歴史や伝統文化などに対する理解を深め,これらに誇りと愛情を持つとともに,広い視野を持って異文化を理解し,異なる習慣や文化を持った人々と共に生きていくための資質や能力を子どもたちに育成することが重要となっています。このため,文部科学省では,国際理解教育研究協議会を開催しているほか,平成11年度に国際理解教育指導事例集(小学校編)を作成しました。また,12年度には,国際理解教育に関するソフトウェアの開発を行いました。


(2) 外国語教育の充実

{1} 「英語指導方法等の改善の推進に関する懇談会」報告

 外国語による基礎的・実践的コミュニケーション能力のより一層の育成を図るという新学習指導要領の趣旨を推進するため,平成12年1月に当懇談会を設置し,13年1月に文部科学大臣に報告しました。

 この報告の中では,例えば,学校における英語指導方法の改善や,少人数による習熟度別指導の推進,入試の改善などはもとより,学習者の動機付けを高めたり,子どもたちの英語に触れる機会を一層拡充したりすべきことなどが提言されています。

 文部科学省としては,この報告を踏まえ,今後の施策の推進に反映させていくこととしています。

{2} 語学指導等を行う外国青年招致事業(JETプログラム)の推進

 JETプログラムは,外国語教育の充実を図るとともに,地域レベルでの国際交流の進展を図ることを通じて,諸外国との相互理解を増進し,もって我が国の国際化の促進に寄与することを目的としています。この事業は,文部科学省,総務省,外務省及び(財)自治体国際化協会の協力の下に,地方公共団体が実施しています。

 文部科学省では,外国語教育の充実を図るため,生徒が直接ネイティブ・スピーカーから生きた言語を学ぶ機会を豊富に提供することを特に重視し,本プログラムを推進しています。

 また,この事業により招致した外国語指導助手(ALT)の指導力の一層の向上を図るため,ALTに対する各種の研修,指導,カウンセリングを実施しています。ALTと日本人外国語担当教員によるティーム・ティーチング(協同授業)は,生徒のコミュニケーション能力の育成に大きな効果をあげています( 表2-10-1 )。

■表2-10-1■外国語指導助手国別招致人数

{3} 英語担当教員の資質向上

 生徒のコミュニケーション能力の育成のためには,教員の資質向上も大変重要です。そのため,平成12年度において,中学校及び高等学校の英語担当教員の国内における研修の充実を図ったところです(平成11年度:600人→平成12年度:2,000人)。さらに,米国,英国などの大学などで研修を行う海外派遣事業を引き続き実施します(6か月:118人,12か月:28人)。

{4} 小学校における外国語学習

 新しい学習指導要領においては,「総合的な学習の時間」が新設され,小学校においても,国際理解に関する学習の一環として外国語会話などを取り入れることができるようになっています。この「総合的な学習の時間」は,移行措置により,平成12年度から実施が可能となっています。

 文部科学省では,英会話学習を取り入れる小学校を支援するため,平成12年12月に小学校英語活動実践の手引を作成するとともに,13年度から小学校教員などを対象にした英語活動に関する研修を始めることとしています。

{5} 地域ですすめる子どもの外国語学習

 子どもたちの外国語コミュニケーション能力を培い,国際化時代に対応できる人材の育成を図ることを目的として,「地域ですすめる子ども外国語学習の推進」事業を平成12年度から行っています。

 この事業では,地域の公民館や学校の教室などを活用して,ALTなどのネイティブ・スピーカーや地域人材を講師に「聞くこと」「話すこと」を中心とした学習機会を提供しています。

 また,外国人とのキャンプなど野外体験活動や異文化に触れる交流事業なども実施しています。

{6} 外国語教育の多様化の推進

 国際化の推進に適切に対応するためには,近隣のアジア諸国の言語をはじめ,英語以外の多様な外国語の教育についても重視する必要があります。そのため,高等学校教育の多様化・弾力化を図る趣旨から,英語以外の多様な外国語教育の振興を図っています。

 平成11年度においては,全国の公・私立高等学校の551校において,22言語が開設されています。

 大学・短期大学における外国語教育は,外国語学部などにおける教育・研究をはじめ多様な形で行われています。各大学では,LL,ビデオなどの教育機器の利用やネイティブ・スピーカーの活用など,外国語教育の充実のために様々な取組が行われています。

 また,諸外国の政府と協力し,大学などのドイツ語,フランス語の担当教員を,外国で開催される語学教育研修会に参加させています(平成12年度は30人を派遣)。

 なお,大学などにおける外国語に関する授業科目の開設状況を見ると,近年,様々な言語について開設が進んでおり,平成10年度現在,合計約70種の言語に及んでいます。


(3) 海外子女教育の充実

{1} 海外子女教育の現状

 文部科学省では,海外子女教育の重要性を考慮し,日本人学校(「 用語解説 」参照)及び補習授業校(「 用語解説 」参照)の教育の充実・向上を図るため,日本国内の国公私立の義務教育諸学校の教員を派遣しています(平成13年度1,343人)。また,教育内容の充実のために,海外子女教育研究協力校を指定し,日本国内とは異なる環境の下での教育の在り方などについて調査研究を行っているほか,校長の研究協議会を定期的に開催しています。

 さらに,教育環境の整備として,義務教育教科書の無償給与,教材の整備,通信教育などを行っています。


〔用語解説〕 <日本人学校>

 日本人学校とは,国内の小学校又は中学校における教育と同等の教育を行うことを目的とする全日制の教育施設です。一般に現地の日本人会などが設置主体となって設立され,日本人会や保護者の代表などから成る学校運営委員会によって運営されています。在外教育施設文部科学大臣認定制度により認定された日本人学校の卒業生には,国内の上級学校への入学資格が認められています。(平成13年4月15日現在96校(うち休校中13校))


〔用語解説〕 <補習授業校>

 補習授業校とは,現地校,国際学校などに通学している日本人の子どもに対し,土曜日や放課後などを利用して日本国内の小学校又は中学校の一部の教科について授業を行う教育施設であり,高等部や幼稚部を併設するものもあります。(平成13年4月15日現在188校(うち休校中9校))

 また,急速に普及するインターネットは,日本人学校などにとって特に利用価値の高いものであることから,文部科学省では情報ネットワーク化事業を推進しています。具体的には,(ア)インターネット利用のためのコンピュータなどの導入に対する補助,(イ)海外子女教育・帰国児童生徒教育に関する総合ホームページの開設(通称「クラリネット」,アドレス[https://www.mext.go.jp/a menu/shotou/clarinet/index.htm])などの施策を行っています( 図2-10-1 , 図2-10-2 )。

■図2-10-1■海外の子ども(学齢段階)の数の就学形態

■図2-10-2■2001(平成13)年度 地域別在留邦人子女の就学状況

シンガポール日本人学校小学部クレメンティ校の運動会の様子

{2} 豊かな国際性を培う教育活動の推進

 日本人学校などにおいては,海外における教育という特性を十分生かし,現地社会との交流を進め,異文化への理解を深めて,国際性豊かな日本人の育成を図っていくことが期待されています。このため,日本人学校では,所在国の言語や歴史・地理など現地事情にかかわる指導を取り入れたり,現地校との交流活動を教育課程の中に日常的に位置付け,相互理解の推進を図るなど,現地との交流の促進に努めています。また,国際学級や日本語講座を設けるなどして,外国人の子どもを受け入れているところもあります。

 文部科学省は,日本人学校などにおける現地理解教育,交流活動などを一層推進するため,国際教育・文化交流推進校(平成13年度10校)を指定し,これらの活動の中核的役割を果たす専任の職員として,国際交流ディレクターを派遣しています。


(4) 海外から帰国した児童生徒に対する教育の充実など

{1} 海外から帰国した児童生徒に対する教育の現状と施策

 平成12年度間に海外での長期間の滞在の後帰国した子どもの数は,小・中・高等学校段階合わせて1万805人となっています。これらの児童生徒については,国内の学校生活への円滑な適応を図るとともに,海外での経験を通じてはぐくまれた特性を更に伸ばし,その特性を生かし一般の子どもとの相互啓発を通じた国際理解教育を進めることが重要です。

 このため,文部科学省では,(ア)国立大学附属学校における帰国子女教育学級などの設置,(イ)帰国・外国人児童生徒と共に進める教育の国際化推進地域の指定,(ウ)担当教員や指導主事を対象とした研究協議会などの実施のほか,平成12年度より,出国及び帰国時における受入校で,児童生徒の情報が円滑に伝達されるための「海外子女教育手帳」の作成など,施策の充実を図っています。また,高等学校や大学の入学者選抜の際の特別選抜枠の設定や選抜方法の工夫などが更に多くの学校で行われるよう求めるなど,施策の充実に取り組んでいます。

{2} 中国等帰国児童生徒教育の現状と施策

 中国等帰国孤児に同伴されて帰国する子どもは,日本語能力が不十分であったり,日本の文化や生活習慣に通じていなかったりするため,日本語指導や学校への適応指導について特別な配慮を行う必要があります。

 このため,文部科学省では,円滑に日本の学校や生活に適応できるよう(ア)中国語のできる教育相談員の派遣事業,(イ)日本語指導に当たる教員の加配,(ウ)日本語指導教材の作成配布,(エ)担当教員や指導主事を対象とした研究協議会などの実施,(オ)帰国・外国人児童生徒と共に進める教育の国際化推進地域の指定などの施策を行っています。


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