ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第7章  研究開発システム改革の推進
第9節  国民の科学技術に対する理解の増進及び信頼の獲得
1  国民の科学技術に対する理解の増進


 我が国の経済社会の発展の原動力となる技術革新や新たな知識の創造を実現するためには,科学技術の振興が必要不可欠です。科学技術の振興を図るためには,科学技術に関する国民の理解と優秀な科学技術系人材の育成がその前提となります。

 しかしながら,昨今,「科学技術離れ」「理科離れ」についての懸念が様々な場面で指摘されています。また,これからの我が国の科学技術を担う人材の層の薄さも指摘されています。

 次代の科学技術活動を担う青少年の科学技術に関する知識への関心の低下や科学技術系人材の層の薄さは,我が国の技術基盤の低下に直結します。この憂慮すべき事態に対応するため,国としても科学技術の理解増進活動に積極的に取り組んでいます。


(1) 科学館活動の充実強化

 青少年の「科学技術離れ」,「理科離れ」の原因の一つとして,最先端の科学技術が高度化,複雑化してしまい,その機能は分かるものの原理は理解できないというように,科学技術が「ブラックボックス化」してしまっていることが挙げられます。このような状況を改善するため,最先端の科学技術や人間と科学技術との関係の在り方について,青少年をはじめとする国民一般の関心を喚起し,理解を増進することが重要です。このためには,最新の科学技術の成果をテーマとした展示物や映像等を,分かり易く人々に伝え,関心や探究心を高めることが重要です。

 このため,現在,我が国の最先端の科学技術に関する情報発信の拠点であり,国内外の科学館ネットワークの中核として機能する日本科学未来館の整備・運用に取り組んでいます。また,各地域において科学技術の理解増進活動の中核として機能する科学館活動の支援を積極的に行っています。

{1} 日本科学未来館の整備・運用

 科学技術振興事業団が整備・運用する「日本科学未来館」は,最新の映像や参加体験型の展示物を用い,難解と考えられがちな最先端の科学技術を青少年をはじめとする国民一般にわかりやすく紹介する情報発信の拠点,我が国の科学館ネットワークの中核として機能するものです。日本科学未来館では,展示物等新たな科学技術の理解増進手法を開発するとともに,開発された手法を活用した展示を制作します。また,講演やイベントを通じて研究者と国民,研究者同士の交流を図るとともに,全国の科学館職員等に対する研修等を通じ,各地域において理解増進活動に取り組む人材の育成を図ります。さらに,日本科学未来館において開発された新たな理解増進手法,育成された人材を科学館等に展開し,全国的な科学技術理解増進活動の活性化を図ります。

 日本科学未来館は,文部科学省,経済産業省が連携して東京臨海副都心に整備を進めている国際研究交流大学村の基幹施設の一つとして整備されました。

日本科学未来管

{2} 科学館活動の充実強化

 科学技術振興事業団は,全国各地の科学館活動を活性化するため,モデル科学館を定めて情報機器や大型映像機器の整備活用を支援する「科学館整備モデル事業」を平成12年度まで実施し,科学館活動における情報化の推進について検討を行いました。さらに,科学館等における展示物が青少年にとって魅力的なものとなるよう,広くアイディアを募集し,試作・展示する事業を実施しました。

 また,全国各地の科学館等の連携を推進し,科学館相互の交流・意見交換を図るため,科学館等の連携協議会の枠組みを通じ,種々の事業を実施しています。平成12年度は,各施設の概要やイベントの情報など,全国の科学館活動情報をインターネットを通じて発信するとともに,科学館職員に対する研修を2回実施しました。

シンボル展示"GEO-COSMOS"

ヒューマノイドロボット "Pino"(技術革新と未来)


(2) 先端的マルチメディアコンテンツの開発

 質の高い科学技術系人材を育成するためには,次代の我が国の技術基盤を担う青少年の関心,興味,探究心に応じて最先端の科学技術に関する情報を提供していく必要があります。そこで,研究機関等が所有する最新の研究成果を活用したデジタル教材を開発するとともに,学校に提供するためのシステムの研究開発を実施しています。

 また,テレビ放送やインターネット等マルチメディアを活用し,科学技術に関するコンテンツを提供する手法は,青少年をはじめとする国民一般が高頻度かつ手軽に科学技術を体験できるため,科学技術の理解増進を図るには有効な手段です。このため,CS放送やインターネット等を通じて提供するための科学技術を分かりやすく紹介するコンテンツの開発を行いました。

デジタル教材イメージ(温度変化に伴う食塩の結晶構造の変化)

{1} ITの開発・活用による革新的な科学技術・理科教育の展開

 科学技術振興事業団は,研究機関等の最新の研究成果等を先端の科学技術に関するコンテンツ(「ホンモノコンテンツ」)として加工し,最先端のITを駆使して学校や科学館等の科学技術・理科教育の現場に提供するためのシステムの研究開発を行っています。

 具体的には,研究機関の保有するシミュレーションソフトウェア,観測情報等の研究成果を,デジタル教材として編集,加工するとともに,興味や知識のレベルに応じた形でインターネット等を通じて容易に利用できるよう,デジタル教材をデータベース化するものです。

 この教材については,指導の手引きも併せて作成するとともに,学校での実際の利用を通じて評価を行うことにより,真に「現場で使える」ものを目指しています。

{2} 放送技術活用型コンテンツ開発事業

 科学技術振興事業団は,科学技術に関するトピックや興味深い科学実験など,青少年をはじめとする国民一般に科学技術を分かりすく紹介する番組を制作し,放送する「サイエンス・チャンネル」事業を実施しています。平成10年10月から,ケーブルテレビを通じ広く一般家庭に試験的提供を行っていましたが,平成12年10月から新たにCS放送による試験的提供を開始し,より多くの視聴機会を提供するようになりました。

 なお,サイエンス・チャンネルの番組配信は,平成13年度から「子どもゆめ基金」が実施しています。

 また,科学技術に関するマルチメディアコンテンツや青少年からの科学技術に関するQ&Aをまとめたコンテンツなどを,「バーチャル科学館」(URL http://www.jvsc.tokyo.jst.go.jp/)として,インターネットを通じ,青少年をはじめとする国民一般に広く提供しています。


(3) 科学技術に親しむ機会の提供

 創造性と主体性に富み,科学技術に関する夢と情熱をもった科学技術系人材を育成するとともに,国民が科学技術を身近に感じ,強い関心を抱くような社会環境を作り上げていくためには,科学技術に親しむ多様な機会を提供することが必要です。このため,ロボットを題材にしたものなどの各種科学技術イベントの開催や科学技術の体験活動の支援,研究機関の公開などを積極的に実施しています。

{1} ロボット創造国際競技大会(ロボフェスタ)

 ロボット競技,展示,フォーラム等を通じ,科学技術を身近に感じ,「人間と科学技術との共生」を体感できる国際的総合イベントである「ロボット創造国際競技大会(ロボフェスタ)」を,平成13年7月から11月にかけて,関西地域及び神奈川県において開催しています。

 本大会に先立って,平成12年8月,11月には,関西地域,神奈川それぞれの開催地においてプレ大会が開催され,約4万4千名が来場しました。

 文部科学省では,開催地の実行委員会が主体となって行われるロボフェスタの開催に必要な支援を行っており,科学技術振興事業団において,参加型の虫型ロボット競技会や国際フォーラムを開催しています。

虫型ロボット競技会

{2} 体験学習の支援

 文部科学省では,平成12年度まで,地方公共団体による先端科学技術体験センターの整備に対し,支援を行いました。先端科学技術センターは,青少年が先端的な科学技術を実際に体験する工作・実験室を有し,地域における科学技術の理解増進活動の中心として機能する施設です。

 また科学技術振興事業団は,平成12年度まで,科学実験・工作に精通した人材をサイエンスレンジャーとして登録し,学校や科学館の要請に応じ,科学実験・工作教室に実験メニューとともに派遣する事業を実施しました(平成13年度より子どもゆめ基金により実施する予定)。

 さらに,青少年の科学的創造力の育成を図るため,青少年が2泊3日の合宿を通じて,国立試験研究機関等において,研究者,技術者等から直接講義を受けたり,最先端の研究現場を実体験したりするサイエンスキャンプを実施しました。平成12年度は7月から8月にかけ,26試験研究機関において行われました(平成13年度より子どもゆめ基金により実施する予定)。

{3} 各種イベントの開催

 文部科学省では,平成12年度に,テレビ・ラジオ番組の企画,制作及び放送,映画CMの企画,制作及配付,定期刊行物の発行及び各種セミナーの開催等普及啓発活動を実施しました。

 平成13年4月16日〜22日には,試験研究機関,地方公共団体等関連機関の協力を得て「科学技術週間」を実施しました。科学技術週間中,各機関において,施設の一般公開や実験工作教室,講演会の開催などの各種行事が全国850機関で実施されました。

{4} 子ども科学技術白書

 文部科学省では,児童生徒を対象に,科学技術に対する興味を持つきっかけを与えることを目的として,科学技術白書(科学技術の振興に関する年次報告)の内容を基に,平成12年12月に「子ども科学技術白書2」を発行し,都道府県教育委員会,都道府県県立図書館,科学館及び総合博物館に配布しました。本書は,11年度以降毎年発行されています。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ