ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第7章  研究開発システム改革の推進
第7節  産業を通じた研究開発成果の社会還元の推進
2  大学等の研究成果の社会還元の推進



(1) 技術移転機関(TLO)

 平成10年8月に大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律が施行されました。この法律は,大学等の研究成果の特許化や産業界への移転の促進を通じて,新たな事業分野の開拓や産業の技術の向上,大学等の研究活動の活性化を図ることを目的としています。同法に基づき,13年8月現在,23のTLOを承認しており,各地域において精力的な活動を行っています。また,11年10月に施行された産業活力再生特別措置法により,TLOの特許料等を2分の1に軽減しました。さらに,12年4月に施行された産業技術力強化法に基づき,TLOが国立大学等の施設を無償で使用することができるようになりました。

■図2-7-7■技術移転機関(TLO)の仕組み


(2) 科学技術振興事業団

 科学技術振興事業団では,大学等の公的研究機関の優れた研究成果の発掘,特許化の支援から,企業化が著しく困難なものについての企業化開発に至るまでの一貫した取組を推進しています。

{1} 研究成果の権利化段階での取組

 大学等から出る研究成果のうち,新産業の創出,企業化開発が期待されるものについて,特許化を支援し,技術移転を促進するため,研究成果権利化促進事業として特許主任調査員を派遣して特許化に関するアドバイスを行ったり,特許出願の代行を行っています。

{2} 研究成果の育成段階での取組

 独創的研究成果共同育成事業として,新規事業を生み出す可能性のある新技術コンセプトを研究開発型中堅・中小企業の活力を活用して国と共同で試作品開発を行うことによる,独創的な研究成果の育成を推進しています。

 また,大学等の研究成果に基づく起業構想を研究者と起業アイデアを持つ起業家の共同提案として募集し,有望なものを選考の上,研究チームを編成して起業に向けた実用化研究を実施するベンチャー企業を生み出すため,プレ・ベンチャー事業を推進しています。

{3} 企業化段階での取組

 優れた研究成果のうち,企業化が著しく困難なものについては,企業に委託することにより新技術の開発を行う委託開発事業を推進しています。また,本事業により得られた開発成果については,研究成果活用促進事業により,産業界で実施されるよう広く普及を図っています。平成12年度末までの委託開発事業及び研究成果活用促進事業の結果を見ると,委託開発事業は成功課題が341件となっており,また,研究成果活用促進事業は成立課題が580件(延べ910社)となっています。


(3) 知的所有権セミナー

 大学から企業等への技術移転を推進するためには,国公私立大学等の教職員が,研究成果の特許化の必要性を理解することが重要です。そのため,平成11年度より,知的所有権セミナーを開催しています。


(4) 公私立大学の設置者や国公私立大学教員の特許料等の軽減

 大学等の研究成果が企業で活用されるためには,研究成果を特許という形で自主的かつ積極的に取得していくことが必要です。そのため,産業技術力強化法に基づき,公私立大学の設置者や国公私立大学教員に係る特許料等を2分の1に軽減しました。


(5) 今後の産学連携に関する調査研究協力者会議及び研究成果の社会還元検討会での検討

 大学から産業界への技術移転を促進する上で,大学における特許等の帰属・管理・活用の仕組みについて改善すべき点を整理するために,平成12年7月から今後の産学連携に関する調査研究協力者会議を開催しました。それまでの議論,提言を踏まえ,平成12年12月に審議の概要が取りまとめられました。また,平成12年11月から研究成果の社会還元検討会において産学官連携推進のための諸制度の検討を行いました。

 これらの活動を受けて,企業等に随意契約で譲渡できる大学の国有特許等の範囲を整理し,通知により周知しました。


(6) ベンチャー・中小企業支援型共同研究推進事業

 平成12年度より,日本学術振興会が大学の技術シーズの実用化を目的とする大学とベンチャー・中小企業との共同研究に研究資金を提供するベンチャー・中小企業支援型共同研究推進事業を実施しました。


(7) 産学官連携に係る最近の動き

{1} 科学技術基本計画

 科学技術基本計画では,産業技術力の強化のために産学官連携の仕組みの改革が不可欠であることが指摘されており,公的研究機関から産業への技術移転の環境整備,公的研究機関の研究成果を活用した事業の促進等について述べられています。

{2} 副大臣会議

 森内閣に設けられた副大臣会議において,産学官連携強化が重要事項として取り上げられ,副大臣会議の下にプロジェクトチームが設置され,平成13年4月19日には,

・ 産学官が共同で利用する開放的施設の重点的整備等の連携研究環境の充実
・ 研究者等が研究成果の産業界への移転に取り組むインセンティブの強化
・ 研究者の流動化を促進するため,若手育成型任期付任用者の任期延長
・ 研究成果の事業化に対する出資制度の検討

などを内容とする報告が取りまとめられました。

{3} 「産業構造改革・雇用対策本部」中間取りまとめ

 平成13年6月26日に産業構造改革・雇用対策本部により決定された中間取りまとめでは,新市場,新産業の育成による雇用創出が重要項目として取り上げられています。その中では,

・ 大学発特許取得数10年間で15倍
・ 大学発特許実施件数5年間で10倍
・ 大学発ベンチャー3年間で1,000社
・ 企業から大学への委託研究費5年間で10倍
・ 知的クラスターを10年間で10か所以上形成

といった数値目標が示されています。

{4} 総合科学技術会議

 内閣府に設置された総合科学技術会議において,科学技術システム改革に関する専門調査会に産学官連携について集中的に調査検討を行うためのプロジェクトチームが設置され,検討が進められています。

{5} 科学技術・学術審議会

 大学等の研究開発成果と産業界の企業化ニーズが相互に刺激しつつ連鎖的に技術革新及びこれに伴う新産業の創出を起こす産学官連携システムの在り方に関する調査検討を行うため,科学技術・学術審議会技術・研究基盤部会の下に産学官連携推進委員会が設けられ,新時代の産学官連携システムの構築に向けた検討が行われています。平成13年7月には中間取りまとめが公表され,早急に取り組むべき事項として,{1}ニーズに対応した研究開発の推進等,{2}研究成果の効果的な社会還元の推進,{3}大学等発ベンチャーの促進等,{4}産学官連携を支える組織の強化と人材の育成があげられています。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ