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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第7章  研究開発システム改革の推進
第6節  科学技術活動の国際化の推進
1  主体的な国際協力活動の展開


 科学技術は,人類が共有し得る知的財産を生み出すとともに,地球環境問題,エネルギー・資源問題などの地球規模の諸問題の解決,産業経済の振興に資するものです。このような科学技術活動を国際的に積極的に展開することは,我が国の国際社会における役割を積極的に果たすこととなるとともに,我が国における科学技術の一層の発展に資するものです。

 我が国は,世界37か国との間で科学技術協力協定などの国際協定に基づき,2国間における幅広い科学技術協力を実施するとともに,多国間の科学技術・学術協力を推進しています。


(1) 多国間協力

{1} 主要国首脳会議(サミット)に基づく国際協力

 第8回主要国首脳会議(ヴェルサイユ・サミット)において,初めて科学技術が話題として取り上げられて以来,科学技術に関する話題は毎年取り上げられています。

 2000年(平成12年)7月に開催された第26回主要国首脳会議(九州・沖縄サミット)のG8コミュニケでは,生命科学の前進の我々の生活に及ぼす重要性を踏まえ,バイオテクノロジーと食品の安全性,ヒトゲノムが取り上げられ,また,原子力安全,軍縮・核不拡散等が盛り込まれました。また,G7首脳声明において,ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所の閉鎖の決定を歓迎し,ウクライナ政府の電力部門の改革の促進及び同国のエネルギープロジェクトを支援することが確認されました。

{2} 国際連合における協力

 国際連合においては,各種委員会,機関等を通じ,全地球的視野で解決に当たる必要がある天然資源,エネルギー,食糧,気候,環境,自然災害などに関する諸問題に対しての活動が積極的に展開されています。特にこれらの諸問題に最も深刻に直面している開発途上国の科学技術力の強化を図ることにより,長期的展望に立って,南北問題の解決に貢献するための努力が行われています。

 自然災害については,2001年(平成13年)2月に,淡路島において世界防災会議2001が開催されたほか,枠組みの一環として2000年(平成12年)12月には,東京において「地震防災研究施設とそのネットワークに関するワークショップ」が開催されました。

 その他,国際連合教育科学文化機関(UNESCO)の科学技術分野では,次期中期戦略案及び事業計画予算案において,「水科学を通じた水保護」を最優先分野と位置付け,国連が実施している World Water Assessment Programme(WWAP)の事務局をつとめ,主導的な役割を果たしています。我が国は,国際水文学計画(IHP)をはじめ,地球環境科学に関する政府間事業(政府間海洋学委員会(IOC)/西太平洋海域共同調査(WESTPAC),人間と生物圏(MAB)計画)及び生命科学の倫理的側面に関する考察等の活動に積極的に参加協力しています。

{3} 経済協力開発機構(OECD)における協力

 経済協力開発機構における科学技術に関する活動は,科学技術政策委員会(CSTP),情報・コンピュータ通信政策委員会(ICCP),環境政策委員会(EPOC),原子力機関(NEA),国際エネルギー機関(IEA)等を通じて,加盟国間の意見・経験等の交換,情報及び人材の交流,統計資料等の作成,共同研究の実施等が行われています。

 CSTPは,加盟国の経済及び社会の発展に貢献するために,科学技術政策分野におけるメンバー国間の協力を推進することを目的とし活動しています。さらに,CSTPの下にの4つのサブ・グループを設置し,具体的な活動を実施しています。特に,グローバルサイエンスフォーラム(GSF)においては,加盟国間の科学技術協力推進のための意見交換,情報交換等を行い,メガサイエンス分野や地球規模の諸課題に関する科学的意義,取組みの現状等の情報提供や勧告を行うことを目的に活動しています。

{4} アジア太平洋経済協力(APEC)における協力

 アジア太平洋地域の持続的な経済成長を達成していくための政府間の協力の場として,平成元年に発足したアジア太平洋経済協力(APEC)は,開かれた地域協力を掲げ,貿易・投資の自由化・円滑化,経済・技術協力の推進を中心に活動を進めています。

 具体的な協力については,高級実務者会合の下に11のワーキンググループを置き,産業技術,人材養成,エネルギー等について協力方策の検討を行っています。特に,産業科学技術ワーキンググループにおいては,科学技術の情報流通の促進,研究施設の相互利用の促進などの種々の具体的協力プロジェクトが進められています。

 また,大阪行動指針を受けて,有資格技術者の流動化を促進することを目的として技術者資格の相互承認プロジェクトが進展していましたが,2000年(平成12年)11月には,APECエンジニアの要件等に関する検討結果がAPECエンジニア・マニュアルとして取りまとめられ,APECエンジニア調整委員会により公表されました。これを受けて,日本を含む参加国において,APECエンジニアの審査受付が開始されました。

{5} アジア欧州会合(ASEM)における協力

 アジア欧州会合(ASEM)は,北米-欧州,アジア-北米の関係に比して,従来相対的に希薄であったアジアと欧州の関係を強化することを目的として,アジアと欧州が率直な対話を行う場として設けられたものです。

 2000年(平成12年)10月に行われたASEM第3回首脳会合(韓国)の議長声明においては,科学技術の重要性が強調された上で,1999年(平成11年)に行われた科学技術大臣会合(北京)の成果が歓迎されました。

{6} ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP)の推進

 本プログラムは,生体の持つ優れた機能の解明のための基礎研究を国際協力を通じて推進するため,1987年(昭和62年)6月のベネチアサミットにおいて我が国が提唱した国際的なプログラムで,1989年(平成元年)10月より,国際ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム機構(HFSPO)が,「国際」,「学際」及び「若手重視」の原則に基づき,「脳機能の解明」及び「生体機能の分子論的アプローチによる解明」の2領域を対象として,国際共同研究チームへの研究費助成,フェローシップ及びワークショップの開催を実施しています。これまでに,同プログラムのグラント受賞後,7人の研究者がノーベル賞を受賞しているなど内外から高く評価されています。

{7} 国際科学技術センター(ISTC)における協力

 旧ソ連邦諸国の大量破壊兵器等に関係した科学者等に平和的活動に従事する機会を与え,旧ソ連邦諸国内及び国際的な技術問題の解決に寄与することなどを目的として,1994年(平成6年)3月に,日本,米国,EC,ロシアの4極により設立されました。2001年(平成13年)3月現在,加盟国は10か国及びEUが加盟しており,延べ約36,000人以上の研究者が本センターの活動に従事しています。

 我が国としては,今後とも,本センターの活動を積極的に支援していく方針です。


(2) 国際協力プロジェクトへの取組

{1} 国際宇宙ステーション計画

 国際宇宙ステーション計画は,低軌道(高度約400km)の地球周回軌道上に有人の宇宙ステーションを建設し,本格的な宇宙環境利用,有人宇宙活動の展開のための基盤の整備を目指すものです。

 当初,日本,米国,欧州,カナダ4極の国際協力により開始されましたが,1998年(平成10年)1月には,ロシアの参加に係る新しい宇宙基地協力協定の署名が5極で行われ,我が国では同年4月に国会において承認,2001年(平成13年)3月に同協定が発効しました。

 2000年(平成12年)10月には,若田光一宇宙飛行士が日本人として初めて国際宇宙ステーションの組立ミッションに参加し,同年11月からは第1次搭乗員による長期滞在が開始されました。さらに,2001年(平成13年)2月には最初の米国実験棟が取り付けられました。我が国は,独自の実験棟「きぼう」をもって本計画に参加することとしており,日本人宇宙飛行士も長期間にわたり,滞在することになっています。

国際宇宙ステーション完成予想図

{2} ITER(国際熱核融合実験炉)計画

 ITER計画は,米ソ両首脳による平和利用の核融合研究開発の国際協力による推進の提唱(1985年)を発端とし,核融合エネルギーの科学的・技術的な実現可能性を実証することを目的として,国際協力により核融合実験炉の開発を目指す計画です。日本,EU,ロシア及び米国の4極により,最終設計報告書が,1998年(平成10年)6月に取りまとめられました。しかし,各極の財政的な事情等により,建設段階への移行が困難であることが判明したため,現行の取極を3年間延長(1998年〜2001年)し,延長期間の活動として主にITERを低コスト化する設計を実施することとしました。米国は,議会における承認が得られず,1999年(平成11年)7月をもってITER計画から撤退しましたが,日本,EU及びロシアは,引き続きEDAを継続し,2001年(平成13年)7月に工学設計活動が完了しました。

 一方,2000年(平成12年)4月から,ITERの建設に関する国際協定の作成等に向けた非公式政府間協議(EX)が3極により開始され,12月には,最終報告書を取りまとめ,終了しました。また,原子力委員会ITER計画懇談会において「我が国がITER計画に主体的に参加するだけでなく,設置国となることの意義が大きいと結論した。」との報告書が2001年(平成13年)5月に取りまとめられ,原子力委員会は,6月にITER計画については「懇談会の報告書を尊重して推進していくことが適当と結論」しました。

{3} 大型ハドロン衝突型加速器(LHC)計画

 LHC計画は,欧州原子核研究機関(CERN)における陽子衝突型粒子加速器計画であり,1994(平成6年)12月に同機関の理事会においてその建設計画が正式に決定されました。

 LHCは,円周27kmにも及ぶ巨大な円形加速器であり,その円形トンネル内に超伝導磁石を並べ,陽子を逆方向に光に近い速度まで加速し,陽子同士を衝突させるものです。その衝突の際に生じる膨大なエネルギー領域において,未知の粒子を発見し,物質の内部構造を探索解明することに資するものです。

 我が国においては,文部科学省(旧文部省)により検討され,LHC計画は,学術的な意義に加え新しい産業創出につながるものであるとされています。

{4} 統合国際深海掘削計画(IODP)

 IODPは,深海底から7,000mを越え,マントルに到達する大深度までの掘削能力を有する我が国の地球深部探査船と,米国掘削船との共同運用により,国際協力の下,地球深部を探査するものです。

 地球深部に及ぶ地層の研究により,過去の気候・生態系の変動を解明し,21世紀の経済発展の制約要因である地球温暖化等の地球規模の問題に貢献するとともに,地震発生域を掘削することにより地震発生メカニズムの解明に貢献すること及び海底下の生命や資源の探求が期待されています。

 1998年(平成10年)に航空・電子等技術審議会地球科学技術部会の「深海地球ドリリング計画評価委員会」における評価を受け,1999年度(平成11年度)から地球深部探査船の基本設計並びに建造に着手しました。

 また,日米を中心としてIODP参加予定国/機関の政策担当者により,IODP運営体制の検討などIODP開始に向けた準備が進められるとともに,2000年(平成12年)には日・米・欧州等の科学者により取りまとめられたIODPにおける初期10年間の科学計画に対して国際的な評価が行われ,高い評価を得ました。


(3) 欧米諸国との協力

 先進国との協力活動は,二国間の科学技術協力協定等に基づき天然資源開発,エネルギー開発,原子力,宇宙開発,海洋開発,バイオテクノロジー,環境保全等先進国共通の問題の解決を図るため活発に展開されています。

(米国)

 日米科学技術協力協定の下,様々なレベルで活発な意見交換が行われています。なお,本協定は,1999年(平成11年)7月に,知的所有権の取扱いを定めた附属書等が改正され,5年間延長されました。

 2000年(平成12年)には,53名の米国の大学院生を,我が国の国立試験研究機関等へ約2か月間受け入れる第11回米国人若手研究者訪日研修(サマーインスティテュートプログラム)が米国国立科学財団(NSF)等により実施されました。また,若手研究者を国立大学等に受け入れる若手外国人研究者短期研究プログラムを実施し,2000年度(平成12年度)には29名を受け入れました。

 また,日米エネルギー等研究開発協力協定の下では,核融合,高エネルギー物理などの分野での協力が行われているほか,1964年(昭和39年)に始まった「日米天然資源協力プログラム(UJINR)」の下での協力活動が,18分野において各専門部会で行われています。

 さらに,1993年(平成5年)7月の日米首脳会談において定められた「日米コモン・アジェンダ(地球的展望に立った協力のための共通課題)」で,日米双方が先頭となって世界をリードしていくべき地球的規模の課題についての取組が協力して進められることとなりました。このうち,科学技術に関しては,「地震被害軽減パートナーシップ」の下で共同研究協力を行っているほか,「地球変動研究・予測」では,ハワイ大学の国際太平洋研究センター(IPRC)及びアラスカ大学の国際北極圏研究センター(IARC)を中核的研究拠点として,研究協力を進めています。2001年(平成13年)6月に行われた日米首脳会談においては,地球的規模の課題についての二国間の協力を拡充していくことが決定されました。

 また,1999年(平成11年)5月の日米首脳会談で,21世紀の社会における科学技術の役割,科学技術を最も効果的に社会やグローバルな共同体に活用する方策,日米間で協力を一層促進すべき分野などについて対話を開始することが決定されました。その後,日米の様々な分野から成る科学者グループによる討議の結果,今後5〜10年間の科学技術分野における日米間で協力して取り組むべき課題について,{1}目的志向型の研究(保険医療・環境・エネルギー等),{2}科学技術のニューフロンティア(宇宙科学・地球科学等),{3}科学の社会的側面(科学技術の理解増進・科学者の倫理等)の三つの区分に分けて提案をまとめ,2000年(平成12年)5月に日米両首脳に本対話の報告を行いました。

(フランス)

 日仏科学技術協力協定に基づいて,閣僚レベルによるハイレベル代表者会合,有識者による合同諮問委員会及び実務者による合同委員会を開催しています。2000年(平成12年)6月にパリにて開催された第4回日仏科学技術協力合同委員会では,1999年(平成11年)12月に開催された第4回日仏科学技術合同諮問委員会の提言のフォローアップを中心に,宇宙,ライフサイエンス,環境,材料等の分野の協力について検討を行いました。

(カナダ)

 日加科学技術協定に基づいて,2000年(平成12年)6月に,第7回日加科学技術合同委員会が開催されました。特に,宇宙分野と北太平洋における環境問題に対する協力については,それぞれ「宇宙パネル」及び「北太平洋における地球環境パネル」が設置されました。

(スウェーデン)

 日・スウェーデン科学技術協力協定の締結を契機として,2001年(平成13年)6月にマテリアルをテーマとした第2回日・スウェーデン科学セミナー及びナノテクノロジーをテーマとした第3回日・スウェーデン科学セミナーが両国の研究者を中心に開催されました。

(その他)

 ドイツ,イギリス,イタリア,オランダ,フィンランドとの間で科学技術協力協定に基づく科学技術合同委員会を開催しています。また,EUとは科学技術フォーラムにおいて,ノールウェーとは貿易経済協議の中において,スイスとは科学技術ラウンドテーブルにおいて,それぞれ科学技術協力についての話し合いが行われています。なお,ノールウェーとは,科学技術協定の締結に関する交渉を行うことが,2001年(平成13年)3月に合意されました。


(4) アジア・太平洋諸国との協力

 中国との間では,日中科学技術協力協定の締結20周年に当たる2000年(平成12年)8月,北京にて第9回協力委員会が開催されるとともに,日中科学技術協力協定締結20周年記念フォーラムを開催し,これまでの日中間の協力と今後の協力の在り方について,積極的な意見交換が行われました。

 また,韓国との間では,日韓科学技術協力協定に基づき,2000年(平成12年)3月にソウルにおいて第11回日韓科学技術協力委員会が開催されました。また,同協定に基づく両国の専門家同士の意見交換の場として,1999年(平成11年)ソウルにて,2000年(平成12年)10月東京にて,それぞれ日韓科学技術フォーラムが開催され,科学技術分野における研究開発の動向等について意見交換が行われ,今後の協力に向けた提言がなされました。

 この他,オーストラリア,インド,ブラジル,イスラエル等との間でも科学技術協力協定等に基づき,情報交換,専門家の交流,共同研究の実施等の協力が進められています。

 また,科学技術協力協定が締結されていない国についても,タイ,マレーシア等との間で,持続的な食料生産等の分野における共同研究を行っているほか,サウディアラビアとの間では,貿易経済協議等広範な分野を対象とする協議の場において,今後の協力可能性等について意見交換を行っています。


(5) 旧ソ連,中・東欧諸国等との協力

 旧ソ連との協力については,2000年(平成12年)9月,旧協定にかわって,新しく日露科学技術協力協定が締結されました。2000年(平成12年)12月には,同協定に基づく,最初の科学技術協力委員会がモスクワで開催され,日露双方の協力に関する積極的な意見交換が行われました。

 中・東欧諸国との間の協定においては,科学技術協力協定がポーランド及び旧ユーゴスラヴィア(旧ユーゴスラヴィアとの間の協定については,構成共和国の分離独立後,現在までに新ユーゴスラヴィア,クロアチア,スロヴェニア及びマケドニア旧ユーゴスラヴィア共和国によって同協定が承継。)との間で,また,科学技術協力取極がルーマニア,ブルガリア,チェッコ,スロヴァキア及びハンガリーとの間で締結されており,政府間の科学技術協力協議の実施や研究者の交流等の協力が行われています。


(6) アフリカ諸国との協力

 南アフリカ共和国との間では,今後の両国の科学技術協力を拡大するため,2001年(平成13年)9月にミッションを派遣しました。


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