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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第7章  研究開発システム改革の推進
第3節  創造的な研究機関・拠点の整備
1  大学共同利用機関・附置研究所等の整備・充実


 大学における研究は,学部,大学院,研究所,研究施設などに加え,特定の大学に属さず全国の大学等の研究者が共同で利用し,研究を行う大学共同利用機関を中心に進められています。

 近年における研究手法の高度化や研究プロジェクトの大型化に伴い,多くの研究分野で研究者が共同して研究を進める必要性と有用性が増大しています。このため,大学共同利用機関や大学に附置されている研究所・研究施設などの共同利用体制の強化に重点を置き,研究組織の整備充実を図っています。また,学術研究の発展に伴う学際領域の拡大や多様な社会的要請などに対して,研究組織の弾力化,活性化にも努めています。


(1) 大学共同利用機関

 大学共同利用機関は,全国の大学等の研究者が共同研究を推進する拠点として,また,特色ある大型の施設・設備や資料・データの共同利用の場として,各分野の発展に大きく貢献するとともに,世界最先端の研究も推進しています。また,大学教育の一環として,大学院学生の受入れを行うなど,研究と教育を一体的に実施しています。平成13年度現在15機関18研究所が設置されています。主な機関としては,以下のものがあります。

{1} 高エネルギー加速器研究機構(茨城県つくば市)

 加速器科学研究の中枢的機関であり,電子・陽電子衝突型加速器「Bファクトリー」を用いたB中間子の崩壊現象の観測による自然界の対象性の破れの解明など世界最高レベルの実験・研究を行っています。

{2} 宇宙科学研究所(神奈川県相模原市)

 宇宙科学研究の中枢的機関であり,科学衛星・探査機を打上げ,X線天文観測,ハレー彗星探査等を行っています。

{3} 国立天文台(東京都三鷹市)

 ハワイに建設された大型光学赤外線望遠鏡すばるの観測により,世界に先駆けた研究成果を発表しています。

{4} 総合地球環境学研究所(京都府京都市)

 地球環境問題の解決に向けて,既存の学問分野の枠組みを超えた総合的視点に立つ地球環境学を構築するために,平成13年度に新たに創設された機関です。

Bファクトリーの2つのリング(左側が陽電子のリング。)(高エネルギー加速器研究機構)


(2) 大学附置の研究所・研究施設など

 大学には,特定の専門分野についての研究に専念することを目的に研究所が附置されており,学部・大学院における教育研究との連携の下,特色ある研究が進められています。国立大学には,平成13年度現在58の研究所(うち19は全国共同利用の研究所)が設置されています。

 主な附置研究所としては,以下のものがあります。

{1} 東京大学宇宙線研究所

 宇宙から飛来するニュートリノと呼ばれる素粒子をスーパーカミオカンデにより観測しています。近年,ニュートリノに質量がある証拠をとらえ,現在物理学の根幹を大きく揺るがすノーベル賞級の成果を発表し世界の注目を浴びています。

{2} 東北大学金属材料研究所

 KS磁石鋼の発明者である本多光太郎が初代所長を務めて以来,我が国の金属研究の中心的存在として,この分野の牽引車的役割を果たしています。アモルファス金属や超高純度鉄の開発など,材料研究の世界的中枢機関として幅広い成果をあげています。

{3} 京都大学霊長類研究所

 霊長類の進化とヒト化を明らかにする研究を行っています。チンパンジー「アイ」やその子供である「アユム」を主な対象とした思考・言語の研究が特に有名です。

{4} 東京大学医科学研究所

 がんや感染症を対象とした細胞・遺伝子治療などの先端医療開発研究を行っています。がん細胞の自殺を促す新遺伝子を発見するなど,オーダーメード医療の実現を目指しています。

 このほか,国立大学には,学内の共同利用・研究に資する研究施設や学部・研究科に置かれ,当該組織における教育研究を支えるため特定目的の研究を行う研究施設が設置されています。平成13年度現在479施設(うち26は全国共同利用施設)が設置されています。主な研究施設としては,以下のものがあります。

{1} 名古屋大学物質科学国際研究センター

 物質創造に関する先導的基礎研究を国際的に推進する中核的拠点として機能すべく,有機化学者,無機化学者,物理化学者,生命化学者が弾力的に組織化された研究体制をとっています。  2001年度ノーベル化学賞の受賞が決定した野依良治教授(センター長)の構想に基づくセンターであり,特に,分子性の物質に焦点をあてて,社会に役立つ新しい物質を創造し,さらに,機能の発見とその機構解明に関する基礎研究を行っています。

{2} 筑波大学陽子線医学利用研究センター

 高エネルギー加速器研究機構の陽子線加速器を利用して,世界で初めて肝臓がん,食道がん等に対する陽子線治療の有用性を実証し,医学の進展に貢献しています。

{3} 京都大学宙空電波科学研究センター

 世界最高性能の大気観測用大型レーダー(MUレーダー)を利用した地球大気及び宇宙観測における諸現象解明や赤道直下に建設された赤道大気レーダーを利用したエルニーニョ等の地球大気変動の解明,またマイクロ波を利用したエネルギー伝送技術などの研究を行っています。

{4} 大阪大学超伝導フォトニクス研究センター

 世界で初めて高温超伝導体の光励起テラヘルツ電磁波放射現象を発見し,これを核とした新分野「超伝導フォトニクス」(超伝導エレクトロニクスと光エレクトロニクスを融合した分野)の確立に貢献しています。

{5} 神戸大学バイオシグナル研究センター

 細胞の情報伝達機構並びに生理機能解明についての研究を行い,各種疾患の病態解明,治療,予防に取り組んでいます。


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