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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第6章  科学技術の戦略的重点化
第7節  宇宙分野の研究・開発・利用の推進
6  国際宇宙ステーションなどによる宇宙環境利用の推進


 国際宇宙ステーションでは,微小重力,高真空等の地上では容易に得ることのできない特殊な環境が実現できます。今後,宇宙環境を利用し,広範な分野にわたる研究や実験,観測等を進めていきます。それにより,以下に掲げる項目のような社会の発展や生活の向上に寄与する研究開発が一層推進されることが期待されます。

{1} 地球上の環境に隠されていた現象の発見や解明など新たな科学技術の展開をもたらす研究が可能となる。
{2} 地球上で進化してきた生命体と重力等の地球環境との関係を問い直すことにより,生命現象を解明し,宇宙スケールで生命の可能性を探求する研究が可能となる。
{3} 新素材や医薬品の創製,新たな生産技術や医療法の開発,地球環境保全につながる技術を獲得する。

 宇宙開発事業団では,国際宇宙ステーションの日本の実験棟(JEM;愛称「きぼう」)の船内実験室共通実験装置,船内実験室実験装置の開発を進める一方,これらの装置を使った実験の実施に向けた準備を行っています。

日本の実験棟

船内実験室実機の概観

 その一つとして,各種公募等による研究活動の推進を行っています。平成9年度から実施している公募地上研究は,宇宙環境を利用する準備段階として幅広い分野の研究者に研究機会を提供するもので,12年度には合計81テーマが選定されています。また,民間企業の宇宙環境利用の促進を目的とし,その有効性を実証するパイロットプロジェクトとして,11年4月から先導的応用化研究を開始しています。さらに,国際宇宙ステーション参加各機関の実験装置を相互利用し,効率的に科学的成果を得ることを目的としたライフサイエンス分野の国際公募に参加しており,12年度には日本から1テーマが搭載候補として選定されています。また,同様の国際公募が微小重力科学分野についても12年度から実施され,日本も参加しています。

 平成13年3月には,宇宙開発事業団が開発した中性子モニタ装置がスペースディスカバリー号にて打ち上げられ,国際宇宙ステーションの米国実験棟にて中性子計測実験が始められています。実験データは国内外の一般研究者に提供されるとともに,宇宙飛行士の健康管理ための放射線被曝(ひばく)管理技術の向上のために利用されます。

 また,平成13年8月には,ロシアのサービスモジュールで,宇宙用材料の耐環境試験や,高精細度カメラを使っての医学実験・広報実験などが開始されています。

 さらに宇宙開発事業団は,「きぼう」の「軌道上研究所」としてのこれまでの位置付けに加え,民間企業による利用等,利用の多様化も段階的に進めることとした「国際宇宙ステーションの本格的な利用に向けて―初期利用フェーズにおける推進方策―」(平成12年12月,宇宙開発委員会宇宙環境利用部会報告書)を踏まえた作業を行っています。その中で,文化・教育的利用の一環として,国際宇宙ステーション滞在中の宇宙飛行士と全国の小・中学校,高校等の生徒がインターネット回線を介して交信する宇宙授業を13年6月に,衛星通信で結ばれた多数の大学とステーションが受信する宇宙講座を11月に実施しており今後も,これらの教育イベントを定期的に実施していく予定です。

 また平成13年6月,民間企業による利用を促進するため,国際宇宙ステーションを利用した宇宙ビジネスのパイロットプロジェクトを立ち上げました。将来想定される国際宇宙ステーションの一般利用の形態の調査を進めるなど,国際宇宙ステーションの利用の多様化を積極的に進めています。

 一方,平成13年1月,省庁再編に伴い新たに発足した宇宙開発委員会においては,宇宙環境利用部会にかわる利用部会が設置されました。利用部会では,国際宇宙ステーション等による宇宙環境利用,人工衛星による地球観測等を含めた宇宙利用の拡大,新たな宇宙利用の発掘・具体化,国際的な宇宙協力,宇宙開発機関と宇宙利用機関の協力などの宇宙利用の推進方策を調査審議するものです。利用部会は13年度末を目途に調査審議の結果を取りまとめることとしています。

 (「国際宇宙ステーション」については, 第2部第7章第6節 1(2){1} 国際宇宙ステーション計画を参照)

米国内実験棟内の中性子モニタ装置

中性子モニタユニット

学校インターネットを使ったISS教育プログラムの様子


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