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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第6章  科学技術の戦略的重点化
第6節  原子力の研究開発の推進
9  核不拡散への取組と原子力国際協力



(1) 核不拡散への取組

 原子力平和利用を円滑に実施していくためには,核不拡散体制の維持は安全確保とともに極めて重要です。文部科学省では,「 核兵器の不拡散に関する条約(NPT)* 」や,それに基づく国際原子力機関(IAEA)との「保障措置協定」,「核物質の防護に関する条約」,米国をはじめとする諸外国との二国間原子力協力協定などの枠組みの下,核物質の平和利用を担保するための「保障措置」,「核物質防護」等を実施しています。

 また,更なる核不拡散体制の確立のため,「包括的核実験禁止条約(CTBT)」,「朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)」等に関連した取組も行っています。

{1} 保障措置の実施

(ア) 保障措置制度

 原子力を平和利用に限っている我が国は,保障措置協定に基づき,国内におけるすべての核物質について保障措置(フルスコープ保障措置)を受け入れています。また,国自らも,国内の原子力活動が平和利用に限って行われていることを確認し,IAEAに必要な情報を提供するための国内制度を運用しています。

 この一環として,我が国の原子力事業者は,「原子炉等規制法」に基づき,核物質の計量管理を行うとともに,核物質の在庫などに関する報告を国に提出することが義務付けられています。また,これらの報告内容に矛盾がないことなどを確認するため,原子力事業者に対し,国による国内査察及びIAEAによる国際査察が同時に実施されています。

 平成12年は,我が国の保障措置対象施設(255施設)に対して,国による国内査察としては,延べ2,112人日にわたる立入り検査が実施されました。

(イ) IAEA保障措置の結果

 IAEAは,我が国を含む2000年(平成12年)の保障措置活動の結果について,年次報告において以下のように結論しています。

 「IAEAの2000年の保障措置活動の結果,保障措置下の核物質が何らかの軍事又は不明な目的に転用されたり,保障措置下の施設,設備又は非核物質が悪用されたりしたということを示すいかなる兆候も認められなかった。」

(ウ)  追加議定書* に関する取組

 平成12年には,我が国が11年に批准し発効した,保障措置協定の追加議定書に基づく新たな措置が,我が国で初めて実施されました。6月には,核物質を用いない核燃料サイクル関連研究開発活動に関する情報,原子力サイト関連情報,原子力関連資機材の製造・組立情報などを,IAEAに報告しました。また,同年11月からは,追加議定書に基づく補完的アクセス(未申告の核物質・原子力活動が存在しないことの確認などのため,直前の通告により原子力施設内外に立ち入ること)が行われるようになりました。

 現在,IAEAでは,従来のフルスコープ保障措置と追加議定書に基づく新しい保障措置を最適な形で組み合わせ,最大限の有効性と効率性を目指す新しい概念である「統合保障措置」について検討を進めています。

 文部科学省では,「統合保障措置」が我が国に対して早期に導入されるよう,追加議定書に基づく情報提供や補完的アクセスといった措置を通じ,我が国に未申告の核物質・原子力活動が存在しないことの結論をIAEAにより得るための取組と,「統合保障措置」に関する専門家会合への参加などによりIAEAに対し協力を行っています。

{2} 核物質防護措置の実施

 核物質防護とは,核物質の盗取等による不法な移転を防ぎ,また原子力施設等を妨害破壊行為から未然に防ぐことであり,原子力の平和利用を進めていく上で必要不可欠な措置です。

 我が国においても,核物質を国際輸送する際の核物質防護,核物質を用いた犯罪人等の処罰義務等を定めた核物質防護条約や具体的な核物質防護のレベルなどを定めたIAEAのガイドラインを遵守し,原子炉等規制法などに基づいて所要の施策を実施しています。原子炉等規制法においては,事業所で核物質防護の対象となる特定核燃料物質を取り扱う場合,

・施錠等の核物質防護措置を講じること
・核物質防護規定の認可を受けること
・核物質防護管理者を選任すること

などが義務付けられ,また特定核燃料物質の運搬の際には,運搬に係る責任の移転等に関して文部科学大臣の確認を受けなければならないこととなっています。平成12年度に行われた原子炉等規制法に基づく核燃料物質の運搬に係る責任の移転等に関する確認実績は212件でした。

{3} 包括的核実験禁止条約(CTBT)

 CTBTはいかなる場所においても核兵器の実験的爆発及び他の核爆発を禁止し防止することを約束する条約であり,1996年(平成8年)9月10日,国連総会の場において圧倒的多数の賛成により採択され,我が国は,1997年(平成9年)7月に早期批准を行いました。文部科学省は,条約を担保するための原子炉等規制法の施行を担当しているほか,日本原子力研究所において,核爆発の実施を監視する国際監視システムの整備の一環として,放射性核種の監視施設の整備,データ解析技術の研究開発等に取り組んでいます。


<核兵器の不拡散に関する条約>

 核兵器国を1967年1月1日前に保有していた米・露・英・仏・中の5か国に限定し,これ以上の核兵器国の出現を防止することにより,核戦争の可能性を少なくすることを目的としている。

 非核兵器国に対して核兵器の受領,製造,取得等を禁じ,IAEAのフルスコープ保障措置の受入れを義務付ける一方,すべての締約国に対して原子力の平和利用の権利を保障し,また,核兵器国には核軍縮のための交渉を推進することを義務付けている。


<追加議定書> 

 イラクや北朝鮮の核疑惑を契機に開始されたIAEA保障措置強化の検討の結果導入されたものであり,そのモデルとなる議定書が1997年に採択された。2001年10月現在,57か国がIAEAとの追加議定書に署名し,22か国(日本を含む。)で発効している。


(2) 原子力国際協力

 原子力の平和利用や高水準な原子力安全を確保するためには,国際的な取組を推進していくことが重要であり,国際協力の重要性は今後ともますます増大していくものと考えられます。

 文部科学省においては,各国との研究開発協力,近隣アジア諸国や開発途上国の原子力開発利用への協力,旧ソ連,中・東欧諸国における原子力安全や非核化分野における国際協力を積極的に行っています。

{1} 二国間原子力協力協定に基づく協力

 我が国は,核物質などの原子力資機材が平和目的のみに利用されることを確保しつつ原子力の平和利用における協力を推進することを主な目的として,米,英,仏,加,豪,中の6か国との間で二国間原子力協力協定を締結し,協力を行っています。

 また,原子力の安全規制の分野では,諸外国の経験・知見を我が国の安全規制に反映させることを主な目的として,米,仏,独,瑞,韓,英,中,伊の8か国の規制機関との間で規制情報の交換等が行われています。

{2} アジア諸国との協力

 アジア諸国との協力では,我が国の原子力委員会が主催する「アジア地域原子力協力国際会議」が平成2年から開催され,多国間の枠組みを利用した協力が実施されてきました。12年度から,政策対話と協力活動のリンク及び各国国内システムの強化を図り,「アジア原子力協力フォーラム(FNCA)」へと改組して,研究炉利用,放射線利用等の協力活動を進めています。

 文部科学省は,原子力委員会との連携の下,FNCA傘下で行われる分野別協力において,ワークショップ等を実施しています。

 また,アジア太平洋地域のIAEA加盟国による「原子力科学技術に関する研究・開発及び訓練のための地域協力協定(RCA)」の下,文部科学省においては,工業,医療,放射線防護などの分野で専門家の派遣などの協力を行っています。

{3} 旧ソ連,中・東欧諸国との協力

 旧ソ連,中・東欧諸国との協力では,原子炉廃止措置に関する研究協力,研修事業による原子力関係者の資質向上等の二国間協力,IAEA及び経済協力開発機構・原子力機関(OECD/NEA)への特別拠出金事業などを通じた多国間支援を実施しています。

 ロシアの余剰兵器プルトニウム管理・処分に関しては,核軍縮・核不拡散への貢献の一つとして,米露やその他関係国と緊密な連携を図りつつ,我が国が培ってきた平和利用技術を活用して協力を行うこととしており,1999年(平成11年)から核燃料サイクル開発機構がロシアの高速炉BN-600を用いた処分計画への研究協力を実施しています。

{4} 国際機関を通じた協力

 文部科学省では,原子力平和利用における協力として,IAEA,OECD/NEA等の国際機関を通じて専門家等の人材派遣,協力プロジェクトの実施などの活動へ参加しています。具体的には,IAEAとの間では原子力が軍事的に使われることを防ぐための核物質管理手段である保障措置の他,原子力安全や,放射線利用等に関する協力を行っています。また,OECD/NEAにおいては,各加盟国の専門家により構成される常設技術委員会などに参加し,原子力開発,原子力科学など原子力推進のための検討や,原子力安全についての技術的側面からの検討,情報交換等を実施するとともに,原子力研究開発に必要な各種核データや原子力分野の計算コード等の収集及び提供を行うデータバンク事業に協力してます。文部科学省では,これら国際機関の事業に対して,資金の拠出や人的貢献を行っています。


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