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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第6章  科学技術の戦略的重点化
第6節  原子力の研究開発の推進
7  先端的な原子力科学技術の推進


 原子力に関する科学技術は,核融合をはじめとする新たなエネルギー技術の発展の基盤であるとともに,レーザー,加速器,原子炉等,未踏の領域へ挑戦するための有効なツールを提供するものであり,物理学等基礎科学分野における新たな知見をもたらす一方,ライフサイエンスや物質・材料系科学技術等の分野における最先端の研究手段を提供するなど,大きな可能性を秘めています。これらの原子力科学技術の発展は,21世紀の人類の知的フロンティアの開拓と我が国の新産業の創出等に貢献するものと考えられます。また,加速器,原子炉,核融合等の技術は様々な分野における先端技術を総合した総合原子力科学技術であり,その開発は,他の科学技術分野への波及効果も考えられます。これらの研究開発を進めるに当たっては,創造性豊かな研究を育む環境を整備し,これらを支える基礎・基盤研究との均衡ある発展を図りつつ,効率的に進めることが重要になります。

 加速器という実験装置を用いて行う物質の究極的な構造や自然界に働く力の解明を目指す素粒子物理学や,物質創製などの研究は,常に国際的競争状態に置かれています。高エネルギー加速器研究機構と日本原子力研究所は共同で,素粒子・原子核物理,物質科学,生命科学など様々な分野において飛躍的な発展を可能にするため,世界最高レベルのビーム強度を持つ大強度陽子加速器施設の建設に平成13年度から着手しています。また,理化学研究所においては,水素からウランまでの全元素の放射性同位元素(RI)を世界最大の強度でビームとして発生させ,それを解析・利用する加速器施設「RIビームファクトリー」の建設を進めています。

■図2-6-5■大強度陽子加速器施設のイメージ図

 核融合研究開発の推進は,未来のエネルギー選択肢の幅を広げ,その実現可能性を高める観点から重要であり,核融合燃焼状態の実現,核融合炉工学技術の総合試験等が今後の課題です。また,核融合科学研究は,適切なバランスを考慮しつつ進めることが重要です。我が国の核融合の研究開発は,平成4年に原子力委員会が策定した「第三段階核融合研究開発基本計画」及び「原子力長期計画」に基づき,日本原子力研究所,大学等の連携・協力により,進められています。

 日本原子力研究所においては,トカマク方式について実用化を目指した研究開発を進めています。特に,臨界プラズマ試験装置(JT-60)に関しては,世界に先駆けた成果をあげており,更なるプラズマ閉じ込めの性能向上を目指しています。さらに,中規模装置JFT-2Mを用いた先駆的な実験研究,材料研究や安全性に係る試験等を実施しています。

 大学共同利用機関である核融合科学研究所においては,我が国独自のアイデアに基づくヘリカル方式による世界最大の大型ヘリカル装置を建設し,新しいプラズマ領域の研究を世界に先駆けて行っています。また,筑波大学プラズマ研究センター,大阪大学レーザー核融合研究センター等において,ミラー,レーザー等の各種方式による先駆的・基礎的研究,炉工学に係る要素技術等の研究が進められています。

 日本,EU及びロシアの3極により推進されている国際熱核融合実験炉(ITER)計画については,核融合エネルギーの科学的及び技術的可能性の実証を目指した国際プロジェクトであり,我が国は日本原子力研究所を中心として,主体的かつ積極的に取り組んでいます。これまで,国際設計チームである共同中央チームと日本国内の設計チームとの連携・協力の下,平成4年より工学設計活動を実施してきており,13年7月に完了したところです。

 また,21世紀を展望すると,次世代軽水炉とともに,高い経済性と安全性を持ち,熱利用等の多様なエネルギー供給や原子炉利用の普及に適した革新的な原子炉が期待されています。日本原子力研究所では,高温工学研究炉(HTTR)や低減速スペクトル炉などの将来型軽水炉などの研究開発等を推進しています。

 原子力科学技術の基礎・基盤的研究は,原子力の多様性,将来の技術革新につながるようなシーズを生み出し,原子力分野のプロジェクト研究及び他の科学技術分野の発展にも寄与するものです。日本原子力研究所においては,先端基礎研究センターにおける放射場科学等の先端基礎科学研究や,関西研究所(関西芸術文化研究都市)における光量子科学研究等の基礎研究の充実を図っています。また,日本原子力研究所と理化学研究所が兵庫県播磨科学公園都市に建設した大型放射光施設(SPring-8)は,国内外の研究者にも利用,活用されています。

■図2-6-6■ITERの概要


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