ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第6章  科学技術の戦略的重点化
第6節  原子力の研究開発の推進
4  原子力防災対策の充実強化



(1) 原子力災害対策特別措置法について

 平成11年9月の臨界事故の教訓を踏まえ,12年6月に原子力災害対策特別措置法が施行されました。

 同法は,災害対策に関する一般法である災害対策基本法を補完する特別法として,原子力災害予防に関する原子力事業者の義務,原子力災害対策本部の設置等について特別の措置を講ずることにより,原子力災害対策の強化を図り,原子力災害から国民の生命,身体及び財産を保護することを目的としており,具体的には,以下の項目を大きな柱として構成されています。

・ 迅速な初期動作の確保
・ 国と地方公共団体との有機的な連携の確保
・ 国の緊急時対応体制の強化
・ 原子力事業者の責務の明確化

{1} 迅速な初期動作の確保

 適切な初期動作を確保するためには,迅速に正確な情報を把握することが必要です。原子力災害対策特別措置法では,一定の事象が生じた場合の通報を原子力事業者に義務付けるとともに,罰則によりその履行を担保することとしました。通報を受けた主務大臣は,原子力防災専門官や原子力事業者に対する指示,専門的知識を有する職員の派遣等といった初期動作を開始し,事象の推移に応じて,あらかじめ定められた異常な事態に至った場合には,直ちに内閣総理大臣に報告することとしています。報告を受けた内閣総理大臣は直ちに原子力緊急事態宣言を発出するとともに,内閣総理大臣を本部長とする原子力災害対策本部を設置します。

{2} 国と地方公共団体との有機的な連携の確保

 原子力災害対策特別措置法においては,国と地方公共団体との連携強化を図るため,国は原子力防災専門官を平時より原子力事業所の所在する地域に駐在させ,前述の通報があった場合には,要請に応じて専門的な知識を有する職員を地方公共団体に派遣することとされています。また,原子力緊急事態が発生した際には,国,都道府県,市町村等の関係者が一堂に会し,情報の共有や緊急事態応急対策の実施について相互に協力するため,主務大臣があらかじめ指定する必要な機能を備えた緊急事態応急対策拠点施設(オフサイトセンター)に原子力災害合同対策協議会を組織することとし,円滑な協力体制を構築することとしています。

 さらに,防災訓練の実施,原子力安全委員会による資料や情報の提供などの都道府県防災会議や市町村防災会議に対する協力を明確化しています。

 また,原子力事業者に課した義務の履行については,地方公共団体においても必要に応じて適切にチェックできるよう,主務大臣のみならず,関係地方公共団体についても原子力事業者に対する報告徴収や立入検査が行えるよう措置しています。

{3} 国の緊急時対応体制の強化

 原子力災害対策特別措置法においては,緊急時に国が適切に対応するため,原子力災害対策本部長に,関係行政機関,地方公共団体,原子力事業者等に対する必要な指示の実施,緊急事態応急対策の実施に関する自衛隊派遣の要請等の権限を付与し,国としての対応体制の強化を図ることとしています。また,原子力災害対策本部長の主要な権限が委任される現地対策本部長は,現地における実質的な責任者として,関係機関に対する調整や指示を行い,原子力事業者,原子力の専門家,派遣された自衛隊,警察,消防,医療チーム等が連携を取りつつ,総力を挙げて緊急事態応急対策が実施されることを期しています。

 さらに,緊急事態応急対策に関する技術的事項について,原子力災害対策本部長が原子力安全委員会に必要な助言を求めることができること等を明確に位置付けるとともに,機動的に対応し得る専門家として同委員会に緊急事態応急対策調査委員を設けることにより一層の体制強化を図ることを目指しています。

{4} 原子力事業者の責務の明確化

 原子力災害対策特別措置法においては,その目的を達成するため原子力事業者に対し,原子力事業者防災業務計画の作成を義務付けるとともに,原子力事業所ごとに原子力防災管理者等を選任しなければならないこととしているほか,原子力防災組織の設置,放射線測定設備の設置やその数値の記録・公表を義務付けています。


(2) 防災対策の向上のための取組

 文部科学省は,原子力発電施設等の緊急時において放出された放射性物質の拡散やそれによる被ばく線量当量を迅速に計算予測できるシステム(SPEEDIネットワークシステム)を整備し,関係各機関の間のネットワークを維持・管理するとともに,防災業務担当者等に対する研修事業の充実を図るなどの措置を講じています。

 原子力防災に関する財政措置については,原子力防災対策に関する関係道府県の負担を軽減するため,文部科学省は原子力発電施設等緊急時安全対策交付金制度により,経済産業省と共同で,緊急時において必要となる連絡網,資機材,医療施設の整備,周辺住民に対する防災対策に関する知識の普及等に要する経費について関係道府県に助成を行ってきました。

 さらに,原子力災害時の関係機関の役割を規定した計画,マニュアル類の整備を行っています。政府全体の取組としては,災害対策基本法に基づく防災基本計画原子力災害対策編の修正を平成12年5月に中央防災会議において決定するとともに,原子力災害危機管理関係省庁会議においてその事項等を具体化した「原子力災害対策マニュアル」を整備しています。文部科学省としても,「文部科学省防災業務計画」に原子力災害対策に関する記述を盛り込むなど,政府全体の取組と並行してマニュアル類の整備を行っています。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ