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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第6章  科学技術の戦略的重点化
第5節  ナノテクノロジー・材料分野の研究開発の重点推進
1  ナノテクノロジー


 ナノテクノロジーとは,ナノ(10-9 =10億分の1)メートルのオーダーで原子・分子を操作・制御することなどにより,ナノサイズ特有の物性等を利用して全く新しい機能を発現させ,今後の科学技術の基幹を成し,21世紀の科学技術革命,産業革命を導くものとして大いに期待されています。

 ナノテクノロジーに関しては,平成12年2月に米国クリントン大統領(当時)が,国家ナノテクノロジー戦略を発表し,2001年度における当該分野の予算が前年度の1.5倍程度の4億2千万ドルに拡充するとともに,その他各国政府においても,近年,ナノテクノロジーへの取り組みの強化が図られています。

 科学技術基本計画では,我が国における,ナノテクノロジーの推進に当たり,基礎的・先導的な研究開発と産業化を視野に入れた研究開発をバランスよくかつ重点的に推進することや,異分野間や研究者間の融合及び情報交換を促進する研究ネットワークの構築や新たな融合領域における人材育成などが重要である旨の指摘がなされています。


(1) ナノテクノロジーに関する主な政策提言

 ナノテクノロジーについては,科学技術の中でも,特に展開が急速に進んでいること,従来から我が国が世界をリードしている分野である一方,国際的にも戦略的に推進する動きがあります。そのような状況の中,我が国としての戦略の構築を緊急に行う必要性にかんがみ,平成12年9月には,科学技術会議政策委員会において「ナノテクノロジーの戦略的推進に関する懇談会」が設けられ,同年12月にナノテクノロジーの戦略的推進に当たっての基本的な考え方を示した中間的な報告書が取りまとめられました。この報告書では,目標設定の基本的考え方として,研究開発を{1}5〜10年後の実用化・産業化を目指したニーズ対応研究及び産業技術の基盤構築を図る研究開発,{2}10〜20年先を展望した挑戦的な研究開発及び{3}個人の独創性を重視した萌芽(ほうが)的研究の三つのタイプに分け,{1}及び{2}については,具体的な研究開発目標及びその達成時期を設定して実施すること,{3}については,独創的,創造的な基礎研究を推進することが指摘されています。また,研究推進体制として,基礎から実用化までをつなげる産学官連携の重視,独創性発揮のための競争的環境の重視が指摘されています。

 また,科学技術・学術審議会の取りまとめた「ナノテクノロジー・材料分野の推進に関する基本的な考え方(中間報告書)」においては,文部科学省は,10〜20年後の実用化・産業化を展望した挑戦的な研究,研究者の独創性を重視した萌芽的な研究及び,極微細計測・加工・評価等の共通基盤技術への取り組みを強化するとともに,人材育成や,研究機関・分野を超えた総合的なナノテクノロジー研究の支援体制の構築が求められる旨の指摘がされました。


(2) ナノテクノロジー研究開発の推進

 文部科学省におけるナノテクノロジーに関する研究開発として,関係研究機関においては,情報通信や医療等の基盤となる原子・分子サイズでの物質の構造及び形状の解明・制御や表面,界面等の制御等を行うナノ物質・材料研究を行っています。

 物質・材料研究機構においては,次世代情報通信技術を先導する材料技術として,高速・大容量の高度情報処理システムの構築の要請に応えるためのナノデバイス新材料の開発や,新たな量子効果の探索・解明・制御を目指す量子機能発現に関する研究などを推進しています。

 また,同機構においては,革新的技術を先導する材料技術の研究開発として,環境の浄化や太陽エネルギーの効率的な活用に適応した新材料の実現を目指すナノスケール環境エネルギー物質に関する研究や,臨界電流密度を支配するナノレベルの組織・構造制御を行う超伝導材料の研究開発などを推進しています。

 さらに,理化学研究所においては,原子スケール・サイエンジニアリング研究等の基礎的・基盤的な研究,日本原子力研究所においては,イオンビームやレーザーを活用した研究を推進するほか,大学等においても広範な分野にわたり基礎的な研究を実施しています。また,ナノ領域の分析,解析ツールとして理化学研究所及び日本原子力研究所のSPring-8が貢献しています。さらに,戦略的基礎研究推進制度,創造科学技術推進事業,科学研究費補助金,科学技術振興調整費等,各種制度の活用による,ナノテクノロジーの研究開発が実施されています。


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