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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第6章  科学技術の戦略的重点化
第4節  環境分野の研究開発の重点的推進
1  地球環境科学技術


 近年の人工衛星を用いたリモートセンシング技術等の観測技術の発達や,スーパーコンピュータによる数値シミュレーション技術の発達は,地球に関する科学技術の研究に進歩をもたらしました。また,近年,地球及び地球の諸現象に関する知見の蓄積が急速に進んでおり,地球を一つのシステムとして把握することが可能な段階になっています。このため,これらの成果を地球の諸現象の予測や人類の持続的発展に利用するとともに,未知の領域への探求を一層活発に行うべきとの要請が高まってきています。

 地球科学技術に関する研究開発を進めるに当たっての基本的考え方は,「地球科学技術に関する研究開発基本計画」に基づき,関係府省の連携の下,それぞれの所掌に応じた研究開発の推進が図られています。


(1) 地球的規模の諸現象の解明に係る研究開発等

 地球温暖化,オゾン層破壊,異常気象,地震等の諸現象は,我々人類の社会生活と極めて密接な関連を有し,重大な影響を及ぼす恐れがあるため,その現象を科学的に解明し,適切な対応を図ることが強く要望されています。文部科学省では,国立試験研究機関や大学,海外の研究機関等の広範な分野の研究能力を結集し,総合的,国際的な研究開発を積極的に実施しています。

{1} 地球環境の観測・予測に係る研究開発等

 文部科学省が,宇宙開発事業団及び海洋科学技術センターの共同プロジェクトとして実施する「地球フロンティア研究システム」は,地球を一つのシステムとして捉え,その変動と予測に関する研究を行うもので,気候変動予測,水循環予測,地球温暖化予測,大気組成変動予測,生態系変動予測研究領域,モデル統合化研究領域の6領域について研究を行っています。また,関係府省・大学等と協力して,集中的,機動的に観測研究を行うことを目的に「地球観測フロンティア研究システム」を発足させ,気候変動観測,水循環観測研究領域の2領域において,各地域での本格的な観測研究を実施しています。さらに,ハワイ大学の国際太平洋研究センター( IPRC* )及びアラスカ大学の国際北極圏研究センター( IARC* )との研究協力を進める一方,地球観測衛星委員会( CEOS* )や統合地球観測戦略( IGOS* )に参加しています。また,気候変動に関する最近の科学的知見を取りまとめ,各国政府に提供するため,1988年(昭和63年)に気候変動に関する政府間パネル( IPCC* )が設立され,これまでに3次にわたる報告を行っており,我が国もこれに参加し,貢献しています。

{2} 極地観測

 昭和32年の国際地球観測年を契機に開始された我が国の南極地域観測事業は,文部科学省に「南極地域観測統合推進本部」(本部長:文部科学大臣)を置き,関係府省の協力を得て,国立極地研究所が中心となって実施しています。我が国は昭和31年に第1次観測隊が出発して以来,オゾンホールの発見,オーロラ発生機構の解明,生命起源・惑星起源の解明につながる南極隕石(いんせき)の発見等多くの成果をあげているほか,過去30数万年間の地球環境変動を明らかにする深さ約2,500mの氷床コアの掘削等を行ってきました。平成12年度は,第41次観測隊(越冬隊)及び第42次観測隊が,昭和基地を中心に,定常的な観測のほか,地球規模での環境変動の解明を目的とした,大気,海洋,生物,地学等のモニタリング研究観測等を行いました。


(2) 地球観測技術等の研究開発

 地球的規模の諸現象の解明を図る上で必要な情報を集積するためには,地球観測技術等の研究開発が重要です。このため,平成5年1月に,航空・電子等技術審議会において取りまとめられた第17号答申「地球環境問題の解決のための地球観測に係る総合的な研究開発の推進方策について」に基づき,人工衛星による地球観測に関する技術の研究開発,海洋観測研究船,深海潜水調査船等による海洋観測技術の研究開発等地球観測のために必要な技術の研究開発を実施しています。

{1} 人工衛星による地球観測に関する技術

 人工衛星による地球観測は,広範囲にわたる様々な情報を,繰り返し連続的に収集することを可能とするなど,極めて有効な観測手段であり,現在,特に地球環境問題の解決に向けて,国内外の関係機関と協力しつつ,総合的な推進を行っています。

 宇宙開発事業団においては,熱帯降雨観測衛星( TRMM* )からのデータを取得しているほか,環境観測技術衛星( ADEOS-II* ),陸域観測技術衛星( ALOS* )の開発,降水観測技術衛星,地球環境変動観測ミッション及び国際雲・放射ミッションの実現に向けた研究を関係機関との協力の下に進めています。

 また,人工衛星を用いた地球環境の観測と処理手法を確立するため,地球環境遠隔探査技術等の研究等を推進しています。

{2} 海洋観測技術

 海洋は,地球的規模の諸現象に大きくかかわっており,その果たす役割の解明が重要な課題となっています。このため,海洋科学技術センターにおいて,中高緯度トライトンブイの実証試験や次世代型氷海用自動観測ブイ(J-CAD)等海洋観測技術の研究開発を推進するとともに,海洋地球研究船「みらい」を用い,西部太平洋,北極海等で観測研究を実施しました。深海地球ドリリング計画の推進としては,平成11年度から開始している地球深部探査船の建造を推進するとともに,掘削孔利用システム等の製作を完了しました。

 また,東京大学海洋研究所等が中心となって,海洋環境の変動の解明・予測,保全のための総合的観測システム構築を目的とする全球海洋観測システムに関する基礎研究及び西太平洋海域共同調査への参加,海洋の物質循環の解明に資するオーシャンフラックス研究等の海洋に関する学術研究を引き続き行っています。

 さらに,文部科学省は国土交通省と共同で全世界の海洋の状況をリアルタイムで監視,把握するため,水深2,000m程度の中層域での水温・塩分データを観測する中層フロートを国際協力の下,全世界で約3,000個を展開する高度海洋監視システムの構築( ARGO* 計画)に平成12年度から着手しました。

海洋地域研究船「みらい」


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