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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第2章  初等中等教育の一層の充実に向けて
第6節  障害のある児童生徒一人一人のニーズに応じた教育
2  新たな課題への対応



(1) 障害の重度・重複化への対応

 近年,盲・聾(ろう)・養護学校に在籍する子どもの障害の重度・重複化が進んでおり,より手厚くきめ細かな対応が求められています。

 平成11年3月に改訂した盲・聾(ろう)・養護学校学習指導要領において,障害の重度・重複化への対応として,障害の状態を改善・克服するための指導領域である「養護・訓練」については,目標・内容を改善するとともに,名称を「自立活動」に改めました。また,個別の指導計画の作成について新たに規定しました。

 また,障害のため通学して教育を受けることが困難な児童生徒に対して,養護学校等の教員が,家庭や医療機関等を訪問し教育を行う訪問教育については,これまで盲・聾(ろう)・養護学校の小・中学部において実施していましたが,平成12年度からは,盲・聾(ろう)・養護学校高等部についても本格的に実施しています。

 また,障害の重度・重複化に伴い,日常的に医療的ケアを必要とする児童生徒への対応が求められています。このため,文部科学省では平成10年度より10県に委嘱して養護学校と医療機関との連携の在り方について実践的な研究を行っています。


(2) 相談支援体制の整備

 障害のある子どもに対する特別な支援を適切に行うためには,乳幼児期から学校卒業後にわたって,教育,福祉,医療,労働等が一体となって障害のある子どもやその保護者に対する相談と支援を行うことが重要であり,そのための一貫した体制を整備することが必要です。

 そのため,文部科学省としては,平成13年度より障害のある子どもに対する教育相談体系化推進事業を実施し,教育,福祉,医療,労働等が一体となった相談支援体制の整備に努めているところです。


(3) 就学指導の見直し

 児童生徒の特別な教育的なニーズを把握し,必要な教育的支援を行うため,医学,科学技術等の進歩を踏まえ,盲・聾(ろう)・養護学校への就学基準を見直すとともに,障害の種類,程度の判断だけでなく,地域や学校の状況,本人や保護者の意見等を総合的な観点から判断し,小・中学校において適切な教育を受けることができる特別な場合には,小・中学校へ就学させることができるよう就学手続きを見直していくことが必要です。

 文部科学省では,平成13年度内に必要な制度の見直しを行うため,専門家や関係団体の意見を聞きながら検討を行っています。


(4) 交流教育の充実

 障害のある子どもと,障害のない子どもや地域の人々が共に活動する交流教育は,子どもの経験を広め,積極的な態度を培い,豊かな人間性や社会性を養う上で意義があるばかりでなく,地域の人々が障害のある子どもに対する正しい理解と認識を深めるためにも有意義です。

 交流教育の具体的な活動としては,例えば近隣の小学校や中学校と学校行事やクラブ活動,部活動,自然体験活動,ボランティア活動などを合同で行ったりする直接的な交流のほか,文通や作品の交換,コンピュータや情報通信ネットワークなどを活用した間接的な交流などが行われています。

 文部科学省では,盲・聾(ろう)・養護学校及び幼・小・中・高等学校の新学習要領等において,交流教育の充実を図るように規定しました。また平成13年度より,盲・聾(ろう)・養護学校の児童生徒が,地域の同年代の子どもや人々と交流し,様々な活動を通して,自立や社会参加を促進するための方策について,実践的な研究を行っています。


(5) 学習障害児等に対する指導

 近年,小・中学校では,特殊学級在籍者数の増加,通級指導対象児の激増,注意欠陥/多動性障害(ADHD)児,高機能自閉症児,学習障害児(「 用語解説 」参照)などへの関心の高まりなど特別な教育的ニーズを有する児童生徒への対応が求められています。

 学習障害児の教育については,平成4年度より調査研究協力校を指定して,指導方法に関する実践的な研究を行うとともに,これらの成果を踏まえ,理解啓発パンフレットや指導用冊子を作成・配布したり,指導者のための講習会を開催してきました。

 また学習障害児に関する調査研究協力者会議を設置し,平成11年7月に学習障害の定義を明確化するとともに,学習障害の判断・実態把握基準等について試案がまとめられました。

 文部科学省では,この報告を受けて,平成12年度から15県に委嘱して実証的な研究及び専門家の巡回指導を行っており,13年度からはこの事業を全都道府県に拡大しました。また,13年度より注意欠陥/多動性障害(ADHD)児,高機能自閉症児等,特別な教育的支援が必要な子どもへの教育的対応を検討するための調査研究を行う予定にしています。さらに,学習障害児等の全国的な実態調査を行うことにしています。


用語解説 <学習障害(Learning Disabilities)>

 学習障害とは,基本的には全般的な知的発達に遅れはないが,聞く,話す,読む,書く,計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な障害を指すものである。

 学習障害は,その原因として,中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが,視覚障害,聴覚障害,知的障害,情緒障害などの障害や,環境的な要因が直接の原因となるものではない。


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