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第2部   文教・科学技術施策の動向と展開
第2章  初等中等教育の一層の充実に向けて
第3節  魅力ある高等学校づくりと中高一貫教育
1  高等学校教育の個性化・多様化を進めるために



(1) 改革の基本的方向

 今日,高等学校への進学率は約97%になり,生徒の能力・適性,興味・関心,進路等は極めて多様化しています。このような多様な生徒の実態に対応して,各学校が生徒それぞれの個性を最大限に伸長させるため,生徒のニーズを探り,学習の選択幅をできるかぎり拡大して,多様な特色ある学校づくりを行うことが大切です。

 このため,文部科学省は,総合学科や単位制高等学校など新しいタイプの高等学校の設置をはじめとする特色ある学校や,特色ある学科・コースの設置を推進しています。また,多様な科目の開設などにより,生徒の選択を中心としたカリキュラムづくりを進めています。


(2) 特色ある高等学校づくりの推進

{1} 総合学科

 総合学科は,普通科及び専門学科と並ぶ新しい学科として,平成6年度から設置されており,13年度までに47都道府県に163校が設置されています。

 総合学科の教育の特色としては,

・普通科目と専門科目にわたる幅広い選択科目の中から自分で科目を選択し学ぶことが可能であるため,生徒の個性を生かした主体的な成就感を体験させる学習が可能となること
・将来の職業選択を視野に入れた自己の進路への自覚を深めさせる学習を重視すること

などがあげられます。

 総合学科には高等学校教育改革の中心的役割が期待されており,文部科学省では,当面,総合学科を設置する公立高等学校が高等学校の通学範囲に少なくとも1校整備されることを目標としています。

 このため,文部科学省では,教育委員会等の関係者に更なる理解を求めたり,総合学科における産業教育施設・設備の整備に対し補助を行うなど,総合学科の整備充実に向けた取組を行っています。

 また,実態調査を踏まえて,平成12年1月に協力者会議から,総合学科の今後の充実方策等について報告が出されました。文部科学省では,報告書の提言を踏まえて,更に総合学科の設置促進を図ることとしています。

■図2-2-2■総合学科に関する実態調査

{2} 単位制高等学校

 単位制高等学校は,学年による教育課程の区分を設けず,かつ学年ごとに進級認定は行わないで,卒業までに決められた単位を修得すれば卒業を認める学校です。昭和63年度から定時制・通信制課程において導入され,平成5年度からは全日制課程においても設置が可能となりました。平成13年度までに47都道府県3市に377校(うち全日制課程は199校)が設置されています。

 単位制高等学校の特色としては,

(ア) 決められた必修科目以外は,自分の学習計画に基づいて,学びたい曜日・時間に,自分の興味,関心に応じた科目を選択し学習できること
(イ) 学年の区分がないため留年がなく,自分のペースで学習できること
(ウ) 学科ごとの入学・卒業,転・編入学の受入れ,過去に在学した高等学校において修得した単位の累積加算などが認められること

などがあり,総合学科と同様に,今後,数多く設置されることが期待されています。

{3} その他の特色ある学校・学科・コース等

 以上のほか,

(ア) 多種類の学科,コース,学系を設置し,それらの枠を超えた選択履修を可能とする総合選択制の学校
(イ) 情報処理や情報技術に関する科目を多数開設し,各学科の専門教育を展開するとともに,情報関連の資格取得を目指すなど,学校全体で情報化に対応する学校
(ウ) 外国語に関する科目や国際理解,課題研究などの科目を開設し,国際理解と外国語能力の育成を目的とした教育を実施する高等学校

など様々な特色のある新しいタイプの高校が設置されています。


(3) 学校や生徒の実態に応じたカリキュラムの編成

{1} 高等学校学習指導要領

 現行の高等学校学習指導要領においては,自ら学ぶ意欲と社会の変化に主体的に対応できる能力の育成や,個性を生かす教育の充実に努め,人間としての在り方生き方に関する教育を充実することなどを主なねらいとし,生徒の多様な実態や社会の変化に適切に対応できるよう弾力的な教育課程の編成を可能としています。

 また,平成11年3月29日には,14年度からの完全学校週5日制の下,[ゆとり]の中で「特色ある教育」を展開し,自ら学び自ら考える力などの[生きる力]を育成することをねらいとして,高等学校学習指導要領を改訂しました。新しい高等学校学習指導要領は,卒業に必要な修得総単位数や必修科目の最低合計単位数を縮減するとともに,学校や生徒の選択の幅を広げ,生徒の興味・関心,進路希望等に応じ,それぞれの能力を十分伸ばす教育を展開することを目指しています。具体的には次のような改善を図っています。

(ア) 卒業に必要な修得総単位数を,現行の80単位以上から74単位以上に改めました。
(イ) 各学校において,学校や生徒の実態に応じ,創意工夫を生かした教育活動を行うとともに,学び方やものの考え方,問題解決能力などを育成するため,新たに「総合的な学習の時間」を創設しました。
(ウ) 普通教科として「情報」を,専門教科として「情報」及び「福祉」をそれぞれ新設しました。

 また,必修教科として「外国語」と「情報」を加えました。

(エ) 必修科目の設定に当たっては,複数の科目の中から選択的に履修できるようにする選択必修の考え方を基本とし,必修科目の最低合計単位数を38単位(普通科)から31単位に縮減しました。また,専門学科における専門科目の必修単位数を30単位以上から25単位以上に縮減しました。
(オ) 各学校において,特色ある教育課程の編成に資するよう,学習指導要領で定める教科・科目以外にも,各学校で独自に学校設定教科・科目を開設できるようにしました。
(カ) 就業体験の機会の確保,ガイダンスの機能の充実,「総合的な学習の時間」や「産業社会と人間」における自己の在り方生き方の考察に関する学習など,生徒に将来の生き方を考えさせる学習の充実を図りました。

 新しい高等学校学習指導要領は平成15年度に高等学校の1年次に入学する生徒から適用されることとなっていますが,新学習指導要領の趣旨をできるだけ早く生かすため,平成11年6月3日に移行措置を定め,「総合的な学習の時間」の導入,学校設定教科・科目の開設などについては12年度から実施できるようにしました。また,14年度から完全学校週5日制が実施されることに伴って,14年度から卒業に必要な修得総単位数などの縮減を図ることにしました。

{2} 自校以外での学習成果の単位認定

 生徒の多様な学習意欲にこたえて,選択学習の機会を拡大するため,他の高等学校・専修学校における学習成果や技能審査の成果を自校の単位として認定する制度が,平成5年度から導入されています。また,10年度からは,中央教育審議会の答申等を踏まえ,ボランティア活動や就業体験,スポーツ・文化に関する分野における活動,大学,高等学校,社会教育施設等における学修についても,各学校の判断により,単位として認定することが可能になっています。

 これらの制度改正により,自校以外での学習成果の単位認定を実施している学校が,年々増えてきています。


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