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第1部   21世紀の教育改革
  教育改革Q&A
  Q8


QUESTION
 最近,「学力低下」という言葉をよく耳にしますが,子どもたちの学力は低下しているのでしょうか?また,学力の向上のためにどのような取組をしているのでしょうか。

ANSWER
 子どもたちの学力が低下しているという明確なデータはありませんが,学ぶ意欲などが国際的に見て低いレベルにあることが重要な課題となっています。新しい学習指導要領のねらいを実現し,各学校において個に応じた指導が実施され,学力の向上が図られるよう,文部科学省としても教職員定数の改善などさまざまな支援を行っていきます。

子どもたちの学習の現状

 我が国の子どもたちの学力については,全国的・経年的な調査が実施されていないこともあり,以前と比べてどのように変化しているかどうか明確にはわかっていません。

 しかしながら,いくつかの調査の結果から,子どもたちの学習の現状については,おおむね以下のような状況にあることがわかっています。

{1} 教育課程実施状況調査

(過去2回実施(昭和56〜58年度,平成5〜7年度))

・覚えることは得意,計算の技能や文章の読み取りの力などもよく身に付けている
・学習が受け身で,覚えることは得意だが,自ら調べ判断し,自分なりの考えを持ちそれを表現する力が不十分

{2} 国際数学・理科教育調査(国際教育到 達度評価学会(IEA)調査)

・日本の子どもの成績は戦後一貫してトップクラス(同一問題による経年比較でも低下していない)( 図1 , 図2 )
・その一方で数学や理科が好きである,将来それらに関する職業に就きたいという者の割合が少ない( 図3 )
■図1■

■図2■

■図3■

{3} OECD生徒の学習到達度調査(PISA)

・日本の子どもは知識や技能を実生活で生かす力は国際的に見て上位
・最も高いレベルの力を有する子どもの割合が国際平均程度にとどまっている
・「宿題や自分の勉強をする時間」が国際的にみて最低
平均得点の国際比較(31カ国参加)

 これらの調査結果を踏まえると,これからの教育にあっては,基礎・基本を確実に身に付けさせ,それを基に自ら学び,自ら考え,判断する力などを育むことが必要であると思われます。

 知識・技能の習得は重要なことですが,それのみにとどまらず,学ぶ意欲や思考力,判断力,表現力まで含めた真の学力を向上させることが重要な課題となっているのです。

新しい学習指導要領と個に応じた指導の推進

 このような児童生徒の現状を踏まえて改訂された新しい学習指導要領は,知識を一方的に教え込むことになりがちであった教育を改め,子ども一人一人に応じた指導を行う中で教育内容を厳選し,基礎・基本を確実に身に付けさせ,それを基に自ら学び自ら考える力などの「生きる力」を育むことを基本的なねらいとしています。

 この新しい学習指導要領に対しては,児童生徒に共通に教える内容が減らされたため,学力低下を招くのではないかと危惧する声もあります。

 しかし,これからの変化の激しい社会にあっては,子どもたちに,些末な知識を一方的に詰め込むのではなく,基礎・基本をしっかり身に付けさせ,それを基に自分の頭で考え,判断し,よりよく問題を解決する力などを育むことが重要であると思われます。

 このため,新しい学習指導要領においては,全員が一律に学ぶべき教育内容を基礎的・基本的な内容に厳選することで,教える側,学ぶ側に時間的・精神的な「ゆとり」を生じさせ,それを利用し,

{1} 個別指導やグループ別指導,理解や習熟の程度に応じた指導など個に応じたきめ細かな指導を行うことにより,基礎・基本を確実に習得させるとともに,
{2} 観察・実験,調査・研究,発表・討論など体験的・問題解決的な学習を通じて,学ぶ意欲や思考力などを育成することとしています。

 こうした新しい学習指導要領のねらいを実現するためには,児童生徒一人一人の実態を踏まえた個に応じた指導を充実させることが重要です。

 新しい学習指導要領においては,全員が一律に学ぶべき教育内容は厳選する一方で,児童生徒の興味・関心等に応じた指導を積極的に行うことができるよう,選択学習の幅を拡大しています。

 これらより,学習指導要領に示す内容について理解の十分でない子どもは,何度も繰り返し学習するなどして,基礎・基本を確実に習得できるようになり,既に十分習得できている子どもは,教師がその子の興味・関心,適性等にあった課題を与えることによって,より発展的な学習を行うことができるようになります。

 文部科学省においては,こうした各学校の取組を支援するため,

{1} 各学校において,習熟の程度に応じた指導など少人数によるきめ細かな指導を行うことができるよう,新たな教職員定数改善計画を策定し,平成13年4月から実施するとともに,
{2} 発展的な学習や補充的な学習など,各学校において,個に応じたきめ細かな指導を実施する際の参考となる教師用資料を作成・配布する,

などの施策に現在,取り組んでいるところです。

 さらに,児童生徒の学習の状況を正確に把握し,今後の指導の改善や教育課程の基準の改善に反映させるため,今後,全国的かつ総合的な学力調査を継続的に実施していく予定です。

 また,各学校において全国的な学力調査の結果を参考にするなど,自校の児童生徒の学習の状況を自己点検・自己評価し,指導の改善に生かしていくことも重要です。

 このため,現在,国立教育政策研究所教育課程研究センターにおいて学校における自己点検・自己評価の在り方について調査研究を行っているところです。

 これらの施策を着実に展開し,すべての児童生徒の基礎学力の向上を実現していきたいと考えています。


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