ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第1部   21世紀の教育改革
第8章  諸外国における教育改革
第2節  教育改革の具体的展開
4  教育の情報化



(1) 教育情報化政策の積極推進

 情報通信技術の飛躍的な発展によって社会の情報化が地球規模で進展している今日,情報化の波に乗り遅れることは国際競争に大きな後れをとることを意味します。このため,いずれの国も情報化政策を国家政策の最優先課題の一つに位置付け,教育政策の中でも情報化施策を積極的に進めています。

 各国の教育情報化政策を見ますと,我が国が政府の「高度情報化社会推進に向けた基本方針」などの中で教育情報化に高い優先度を付けているように,情報化のための国家政策に基づいて教育情報化政策が策定,実施されている例が多く見られます。アメリカでは,クリントン政権が立ち上げた連邦政府の情報スーパーハイウェイ政策の中で,すべての教室のインターネット接続が提起されました。これに基づいて,連邦教育省は1996年「アメリカのテクノロジー・リテラシーへの挑戦」と題する事業計画を策定し,情報化の推進のために各州・地方に補助金を交付する「基金」を設立しました。

 フランスでも1998年に政府行動プラン「フランスが情報化社会に適応するために」が発表され,国民教育省が前年に策定した学校へのコンピュータ設置とコンピュータネット接続などの情報化政策をこの中で明確に国家政策に位置付けています。ドイツは,連邦政府の情報化推進政策の中で,1996年「学校のネット化」プロジェクトに着手しています。韓国では1996年に開始された「韓国情報基盤整備プロジェクト」により,学校の情報化の推進が図られています。

 情報化に国が大きな力を入れているシンガポールでも,1997年教育省が「情報教育マスタープラン」を作成,これによって情報教育のための基盤整備を開始しました。中国でも,1999年ごろから教育分野での情報化政策が緊急の重要課題となり,情報技術教育の普及を急いでいます。


(2) 学校におけるコンピュータ普及情況

 こうした各国の初等中等学校に関する積極的な取組の目標やコンピュータ普及,インターネット接続状況は,次のようになっています。

 アメリカでは,2000年までにすべての学校と教室をインターネットに接続する目標を掲げていましたが,

・学校単位のコンピュータ設置率はほぼ100%,インターネット接続率は98%(2000年) ・教室単位のコンピュータ設置率は91%(1998年),インターネット接続率は63%(1999年)

となっています。

 フランスでは,2000年までに幼稚園から大学まですべての教育機関にコンピュータを導入し,インターネットに接続するという目標を立てましたが,

・インターネット接続率は,小学校35%,中学校91%,高校98%(2000年3月)

という普及情況です。

 ドイツでは,2001年までにすべての初等中等学校をネットで結ぶとしていますが,

・普通教育学校(3万5,000校)のインターネット接続率が100%(2001年10月)

という状況です。

 また,韓国は「2002年までに学校のネットワーク化を完了」という目標を立て,2001年1月にはすでに初等中等学校の95%にインターネットが普及したと発表しています。シンガポールは「2002年までに児童生徒2人に1台のコンピュータ配置」,中国は「1999年から5〜10年かけて90%の小中学校をネット化する」などを定め,いずれも普及に取り組んでいます。

アメリカの公立学校におけるコンピュータの授業

■いつでもどこでもオンライン──バーチャル大学

 ロサンゼルスの金融機関に勤務するマック氏は,同僚のトム君が突然昇進したことを知って驚きました。コロンビア大学のMBA(経営学修士)を取得したというのが昇進の理由らしいのです。マック氏はトム君が休職もせずにニューヨークの大学の学位をなぜ取れたのかと尋ねたところ,「オンラインコースを1年取ったのさ」といとも簡単な答えが返ってきました。

 こうしたアメリカの話は,これからは,シンガポールでも,上海でも,東京でも耳にすることでしょう。オンラインには国境がありませんから。

 インターネット大国のアメリカでも,大学がインターネットで学位コースを提供するようになったのは,そんなに古いことではありません。しかしこの数年オンライン講座を提供する大学は急速に増え,2000年末までに75%の大学がオンライン講座を開設すると言われました(「ニューズウィーク」2000年5月24日付)。既存の大学だけではなく,ジョーンズ・インターナショナル大学(1995年)のようにキャンパスを持たず,ウェブサイトだけでコースを提供する大学も出現しています。

 アメリカだけではありません。イギリスでもオックスフォード大学などがオンライン講座を開設しています。そして,2000年政府はこれらの既存のオンラインコースを集約し,総合的に配信するバーチャル遠隔教育機関として「e-ユニバーシティ」を設立すると発表しました。イギリスの大学を世界に発信しようという計画です。その他の国でも,実施又は計画しているところは少なくありません。中国でも,同年北京大学や清華大学など31校が政府の承認を得て試験的にオンライン講座を実施しています。

 このようにインターネットで取得した学位に対し,まだどのような評価が与えられるか速断できる段階ではありませんが,近い将来,インターネットを通じた学生市場の開拓競争が世界規模で起こらないとも限りません。こうした面からも,大学の国際水準が試される時代が来ると言えるでしょう。

■表1-8-1■諸外国における教育改革の具体的展開


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ