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第1部   21世紀の教育改革
第8章  諸外国における教育改革
第1節  教育改革の世界的潮流
2  教育改革の時代背景



(1) 社会経済の変化

 このように世界の潮流となり,国際会議で主要テーマとして取り上げられるようになった教育改革には,各国に共通の時代背景がうかがえます。その一つは,地球規模で起こった社会経済の急速な変化です。

 その変化の第一は,経済面での国際競争の激化です。交通や通信手段の発達とともに,国境を越えた経済活動が活発となり,東西冷戦の終結はそのグローバルな活動を更に加速して国際競争を激化させました。1980年代から1990年代にかけて景気が悪化したり,失業が増加した国も多く,各国は経済競争で優位に立つには,経済活動を支える科学技術の発展と幅広い人材の育成が重要であると認識するようになりました。

 第二の変化は,情報革命です。情報通信技術(IT)は急速な発展と普及を遂げ,社会や経済の仕組みだけでなく,私たちの日常生活をも大きく変えつつあります。このような情報革命の中で,いかに適切に情報を収集し,活用し,発信できるかが,仕事や生活の質に影響を及ぼすようになっています。

 第三の変化は,知識社会の到来です。これは情報革命によってもたらされるものでもありますが,知識の蓄積や運用,また知的創造性が経済や社会の基盤になる社会(knowledge based society)が急速に広がっています。このような社会では,規格化された生産と流通を続けていくだけでは時代に取り残されるおそれがあり,不断の革新と創造がこれまで以上に重要となります。また,変化に柔軟に対応できる創造性豊かな人材の育成が不可欠になってきます。

 このほか,国際化,特にヨーロッパにおける「EU統合・拡大」も各国に大きな波紋を投げ掛けていますし,都市化,少子化,高齢化なども,先進諸国に共通に見られる変化です。

 このような社会経済の急激な変化に,教育がいかに対応し,人々をこの変化に備えさせていくかが問われています。


(2) 教育や子どもたちをめぐる変化

 社会経済だけでなく,教育や子どもたちをめぐる状況の変化も,教育改革を促す背景にあります。

 第二次世界大戦後,我が国や欧米諸国では,だれもが等しい水準の教育を受けられるようにするという教育の機会均等を確保するために量的拡大を図り,少なくとも基礎教育ではこれを一応達成しました。しかし,教育成果としての学力をすべての子どもに保障できなかったり,また,子どもの持つ個性や才能を十分発揮させることができなかったという反省を持つ国は少なくなく,量的拡大から質的充実へ,その重点を移すようになっています。

 また,人々の心の貧困,倫理やモラルの低下,犯罪の増加などの社会問題,また家庭についても,離婚の増加,家庭の崩壊,子どもの虐待などの問題が顕在化しており,子どもの心に暗い影を落としています。この影響は青少年の非行や犯罪の増加,凶悪化となって現れており,痛ましい少年事件が国の内外から伝えられてきます。学校教育でも,いじめや校内暴力,不登校などが増えています。こうした心の問題は,教育の分野だけで解決できるものではありませんが,心の健やかな成長への支援を学校の役割として期待する機運は多くの国に共通していると言えます。


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