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第1部   21世紀の教育改革
第7章  地域発の教育改革の新たな動き
第2節  地域における教育改革の取組
1  地方公共団体を中心とした取組


 全国の各地域においては,都道府県や政令指定都市等の地方公共団体が中心となって,国の教育改革の動きに併せて,あるいは,国の動きに先駆けて,教育改革の積極的な取組が見られます。例えば,現在,40の都道府県・政令指定都市において,教育改革のためのプランや教育長期ビジョンや振興計画等が策定され,国の施策とあいまって,教育改革の実現に向けた取組が行われているところです( 表1-7-1 )。

■表1-7-1■各都道府県・政令指定都市における教育政策に関する計画等一覧(文部科学省調べ)




 それぞれの地域の実情に応じて特色ある取組が展開されていますが,例えば,{1}学校,家庭,地域が一体となった取組として県民の意識啓発を図るために,教育委員会,首長部局等が連携して県民運動を展開したり,「教育の日」等を制定するもの,{2}数値目標を設定した教育プランを策定したり,教育改革プランの推進の過程で県民の意識調査を実施するなど県民や市民に対する説明責任に配慮した教育改革を推進するもの,{3}学校,家庭,地域を通じた地域の教育力を高めていくために,地域教育を担当する行政の体制を整備したり,学校と地域との連携を支援する取組を行うもの,{4}県ないし市の独自の制度として全国に先駆けて取り組んでいるもの等多様な広がりが見られ,また,こうした取組が全国的にも広がる兆しが見られます。

■県民運動等としての取組の事例

○「青少年アンビシャス運動」 福岡県

 福岡県では,アンビシャスな青少年(豊かな心と幅広い視野を持ちながら,それぞれの志に向かって挑戦し努力していく青少年)の育成を目指し,「青少年アンビシャス運動」を県民を挙げて推進しています。

 この運動は,県民の自主的参加を原則としているため,運動を実践する地域,学校,青少年育成団体,企業等を公募し,それぞれが創意工夫して県民運動として展開しています。県は子どもたちが放課後や休日に遊んだり,気軽に集まれる居場所(アンビシャス広場)を地域に作っていく「アンビシャス広場づくり事業」や,夢や目標に向かって努力する子どもを育成・支援する「やるキッズ育成支援事業」,休業土曜日に高校生の自主企画による小・中学生との交流体験活動を行う「サタデー・スマイルひろば事業」など14の事業を展開しています。

○「心の東京革命」 東京都

 東京都は,次代を担う子どもたちに対し,親と大人が責任を持って正義感や倫理観,思いやりの心をはぐくみ,人が生きていく上で当然の心得を伝えていく取組として「心の東京革命」を進めています。

 東京都教育委員会においても,東京都全体での取組の一環として,「心の東京革命」推進に向けた行動指針である「『心の東京革命』教育推進プラン」を平成12年8月に策定しました。

 具体的には,年2回,区市町村・民間団体等との連携により「とうきょう親子ふれあいキャンペーン」を展開し,自然体験,文化活動などによる親子のふれあいをとおして,子どもが自然に社会の基本的ルールを体得する活動を推進しています。

 また,公立小・中学校で保護者や地域住民が授業を参観し,「心の教育」について話し合う「道徳授業地区公開講座」を実施しています。その他にも職場体験やボランティア活動などを充実するため「トライ&チャレンジふれいあい月間」の取組などを行っています。

とうきょう親子ふれあいキャンペーン

○「おかやま教育の日」の制定

 岡山県 岡山県では,県民が,教育に対する認識を深めるとともに,学校教育及び生涯学習の振興の気運を醸成し,その充実と発展を図るため,平成13年6月に11月1日を「おかやま教育の日」と条例で定めました。また,11月1日から7日までを「おかやま教育週間」として,教育の日の趣旨にふさわしい取組を行い,広く県民とともに21世紀の教育について考えることとしています。

 おかやま教育週間には,教育県民フォーラムや中・高校生の意見発表会などを開催するとともに,学校では,記念式典,講演会,発表会など,学校や地域の特性を生かした様々な取組を行っています。また,家庭・地域社会では,地域の図書館,公民館,スポーツ施設等において親子,子どもを対象とした集いを開くなど,様々なイベントを開催しています。

○「学校を核とした県内1000か所ミニ集会」 千葉県

 千葉県では,平成12年度から千葉県教育委員会が市町村及び各県立学校に呼びかけ,県内すべての公立小・中・高等学校,盲・聾(ろう)・養護学校を会場に,学校職員と地域住民とが学校・家庭・地域の様々な教育問題について膝(ひざ)を交えて本音で語り合う「学校を核とした県内1000か所ミニ集会」を実施し,開かれた学校づくりと新しい地域コミュニティづくりに取り組んでいます。

 各学校では,だれでも参加しやすいよう日時,テーマ,話し合いの持ち方などを工夫し開催しています。

 平成12年度は対象校の99.4%の学校で実施され,86,800人の参加がありました。

香取郡干潟町立東小学校のミニ集会風景

説明責任に配慮した教育プラン等の事例

○魅力ある教育づくり21世紀初頭プラン 静岡県

 静岡県では,生きる力をはぐくむことを目指し,「豊かな感性・確かな知性・健やかな心身をはぐくむ教育」を基本方針とし,五つの魅力ある教育づくりプランを推進しています。この五つのプランは学校教育,家庭教育,地域教育,芸術文化,スポーツ文化について,それぞれの数値目標を設定し,説明責任を果たしていくことを目的としています。例えば学校教育における具体的な数値目標として,高い水準の国語力の育成のため,公立学校における朝読書,読み聞かせ等の読書習慣確立のための取組の実施率を100%にすること,また,地域教育については,地域の子育て支援機能の充実のため,小学校区等を単位とする地域教育推進協議会の整備率を100%とする目標を設定しています。

○「教育改革アドバイザー会議」 北九州市

 北九州市では,平成13年6月25日に学校教育の改革に関することを協議する教育部会と教育委員会組織の在り方や教育施設などの効率的な管理運営の在り方に関することを協議する行革部会から成る「北九州市教育改革推進本部」を設置しました。また,同日,教育改革推進本部に対して,市民各層の幅広い観点から,教育に関して率直な意見や助言をいただくため,学識経験者や企業経営者,子どもの悩みを把握している相談員,保護者などの委員10名で構成する「教育改革アドバイザー会議」を設置しました。

 アドバイザー会議からの意見,助言については,教育改革推進本部の教育部会や行革部会,さらにその下の下部組織であるワーキンググループにおいて検討,協議を行い,新たな教育施策の展開に向けて企画立案を行っていきます。

 また,教育改革推進本部及び教育改革アドバイザー会議は,当面,平成14年度までの2年間設置する予定であり,平成13年度はアドバイザー会議で,特に学校教育に関する内容を協議し,併せて保護者や市民を対象とした教育改革シンポジウムを開催して教育改革についての市民の生の意見も聞いた上で,平成14年度の教育施策に反映させていくこととしています。

○「土佐の教育改革を考える会」 高知県

 高知県では,平成8年度に「土佐の教育改革を考える会」を設置し,そこで出されたまとめに対する県教育委員会の基本方針を策定しました。

 基本方針では,教員の資質・指導力の向上,子どもたちの基礎学力の定着と学力の向上,学校・家庭・地域の連携による教育力の向上などに対する方針を決め,これまでに教員研修の精選と長期休業期間中の集中実施,長期社会体験研修の実施,すべての学校で授業評価システムや開かれた学校づくりの推進を行い,また,地域ぐるみ教育のコーディネーター役として「地域教育指導主事」を県内各市町村へ派遣したり,地域ぐるみで子どもの教育を推進するための「地域教育推進協議会」を全市町村で設置するなどの教育改革に取り組んできました。

 さらに,平成13年度は「土佐の教育改革」がスタートして5年という節目の年に当たることから,「土佐の教育改革フォローアップ委員会」や「第2期土佐の教育改革を考える会」で,これまでの取組の検証と総括や今後の取組の方向性について議論を行っていきます。

○学校自己評価の導入 大分県

 大分県では,平成12年1月に「第5次大分県総合教育計画」を策定し,その中の「地域に開かれた園・学校づくりの推進」を図るための具体策として,平成13年度から全県立学校に学校自己評価制度を導入しています。

 各学校では年度当初に,教育目標や教育計画等を保護者や学校評議員,地域住民等に説明するとともに,その達成状況等に関する自己評価を実施します。そして,その結果を保護者や学校評議員,地域住民等に公表することにより,学校運営や教育活動の改善・充実,教職員の資質・能力の向上を図り,より一層地域に開かれた学校づくりを推進していきます。

通学区域の弾力化

 公立小・中学校の通学区域については,教育上の影響等に留意しつつ,市町村の判断により弾力的な運用が可能であり,以下のような取組も行われています。

○あらかじめ保護者の希望等を聴いて,一定の条件の下にこれを認め,学校を指定   東京都品川区(平成12年度〜)

 区内の小学校(40校)を4つのブロック(8〜12校)に分け,住んでいるブロック内の学校であれば,どの学校でも選択することができる。中学校については,区内すべての中学校(18校),どの学校でも選択できる。

○保護者の希望を聴いて,一定の条件の下に自然環境に恵まれた特定の学校に就学   広島県広島市(平成10年度〜)

 豊かな自然がある筒瀬小学校又は似島小学校への就学を保護者が希望した場合に,本来の通学区域以外からもこれらに就学できる。

県や市の独自の取組の事例

○2学期制の導入 仙台市

 仙台市では,学習活動に対する子どもの時間的,精神的なゆとりを重視し,ゆとりある教育活動を展開する一つの方策として,平成14年度からの本格導入を目指して2学期制を推進しています。

 2学期制の中で充実した教育活動を行うため,学習指導の工夫,各種行事についての精選と重点化,職員による各種会議の効率的な運営など,一つの学期が長くなることを生かし,既存の概念にとらわれない新たな視点での学校教育の見直しと改善を進めることに努めています。

 2学期制による年間日程については,1学期を10月の第2月曜日までとし,子どもたちが学期の区切りを意識できるようにするために,当該月曜日の翌日及び翌々日を秋休みとすることを予定しています。(平成13年度2学期制推進協力校:小学校25校,中学校16校)

○“学校へ行こう”週間 広島県

 広島県では,保護者や地域の方々に学校に対する理解と関心を深めてもらい,開かれた学校づくりを推進するための一つの取組として学校開放週間を設けています。

 この学校開放週間は「“学校へ行こう”週間」と名づけられ,この間,県内すべての公立学校では,日常的な学校の姿を見てもらうため,授業参観を行ったり,学校と保護者・地域の方々との意見交換などを実施しています。

 平成12年度は11月20日から26日の一週間で行われ,公立のすべての学校が実施し,25万人の来校者がありました。平成13年度は11月1日から7日まで実施する予定です。


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