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第1部   21世紀の教育改革
第3章  「才能の伸長や創造性の育成」を目指して
第4節  科学技術創造立国のための科学技術・理科教育の推進
2  施策の概要と課題



(1) 初等中等教育における科学技術・理科教育の充実

 子どもたちに豊かな科学的素養を培い,将来の科学技術の担い手となる人材を幅広く育成するためには,小・中・高等学校等の初等中等教育における科学技術・理科教育の充実を図ることが極めて重要です。

 このため新しい学習指導要領においては,観察・実験や課題学習を多く取り入れるなど,体験的・問題解決的な学習を充実させることにより,理科に関する興味・関心を培い,知的好奇心や探究心を高め,理科好きな児童生徒を増やすとともに,中・高等学校で選択の幅を拡大し,生徒の興味・関心等に応じ,理科について発展的に学習することができるようしているところです。また,新設した「総合的な学習の時間」においても,観察・実験,自然体験などの体験的・問題解決的な学習を行い,学び方やものの考え方を身に付けるとともに,各教科等で得た知識や技能を相互に関連付け,総合的に働くようにすることなどを目指しているものです。

 主な施策としては,科学技術・理科教育の推進のために,科学技術関係の研究機関等に蓄積されている最先端の研究成果などを活用して,児童生徒に分かりやすく理科を教えることができるようなデジタル教材や,それを授業で効果的に活用できるようにするための教師用の指導資料を作成しています。また理科教育の一層の充実を図るための推進地域の指定に加え,理科教育設備基準に基づき,学校や教育センターにおける実験用機器をはじめとした理科教育設備の計画的な整備などを進めています。また,都道府県が,研究者や技術者などで教員免許状を持たない者を,特別非常勤講師として公立小中学校に派遣して,児童生徒が専門家から直接学習する機会の拡充を図っています。さらに小・中・高等学校の理科教育担当教員を対象に,大学において理科教育に関する新しい実験の方法及び教具の開発等の研究を行う機会を与え,指導力の向上を図ること等を行っているところです。


(2) 高等教育における理工系人材の育成

 我が国が「科学技術創造立国」を目指し発展していくためには,科学技術を支える理工系人材として,創造性豊かな質の高い人材の育成が求められています。大学においては,近年の未曾有(みぞう)の科学技術の進歩によって,学生が取得すべき科学的な基礎知識の内容も大きく変化しています。また科学技術の分野を専攻する学生に対しても,その専攻分野に限定されない広い科学的知識と判断力を身に付けさせることが,不可欠となっています。このような観点から,教養教育の充実を通して,学生の幅広い視野からの判断力の涵養等に努めることが重要です。

 主な施策としては,大学院研究科・専攻の設置,学科の改組再編を通じて,時代の要請に的確に対応し,情報,バイオ,新素材,環境等の先端科学分野の教育研究における整備充実を推進しています。また技術革新の著しい分野について,実験実習設備の高度化・現代化を図る等教育環境の整備充実にも努めています。

 また,創造的・実践的な教育の充実を図るために,学生自身のアイディアを生かし,ものづくりなどを行うことにより,創造性を伸ばす教育プログラムを開発・実施することや,先端科学技術分野等について,産学連携により社会的ニーズを踏まえた教育プログラムを開発・実施しているところです。

 さらに,学生が企業等において,自らの専攻,キャリアに関連した就業体験を行うインターンシップを推進しています。

 理工系分野の魅力向上と情報発信の取組としては,大学・高等専門学校において,青少年等の理工系分野に対する興味・関心を高めることを目的として,体験入学事業等も実施しています。


(3) 国民の科学技術に対する理解の増進

 青少年をはじめ,広く国民があらゆる機会を通じて,日常生活に重要な要素となっている科学技術とその発展に対し,興味・関心を喚起し,理解を増進させることは,我が国の科学技術の発展を図る上で極めて重要です。このような国民の科学技術への理解は,「科学技術創造立国」を支える社会的基盤として不可欠です。

 主な施策としては,青少年の科学に関する学習の場として重要な役割を果たしている科学系博物館の機能の充実と有効活用の促進を図るため,地域において拠点となる博物館を中心に,複数の博物館と学校,関係機関・関係団体等が連携協力して,科学系博物館の専門性や特色を生かした実験教材の開発,学校休業土曜日を中心に青少年が楽しく学びながら自然科学の原理,技術,歴史,伝統文化などを体験的に理解できる機会を提供するため,参加体験型の展示の開発やハンズ・オン手法を用いた活動を導入すること等多様な事業をモデル的に実施し,その成果を全国に普及しているところです。

 また,難解な先端科学技術を身近に感じ理解できる新たな展示手法や学習体験手法を開発し,これらの成果を用いて展示を行うとともに,新たな理解増進手法や研究者等との交流について内外への情報発信機能を担う「日本科学未来館」を平成13年度新たに開館し,科学技術の意義や役割に関する理解を深めるよう努めています。また,研究者自身や研究現場を身近なものと感じられるような機会を幅広く国民に提供すること等を目的として,科学技術に関するトピックスや興味深い科学実験の番組等をテレビを活用して提供するサイエンス・チャンネル事業の推進,青少年の科学技術に関する興味・関心を高めるため青少年のための科学の祭典の開催,科学館を中心とした理解増進活動の支援やロボフェスタの実施への支援等を実施しているところです。

■野依良治・名古屋大学教授
小泉首相から祝福の電話を受ける野依良治教授

 「不斉合成のための触媒分子の開発」に関する研究で,2001(平成13)年のノーベル化学賞受賞

 2001(平成13)年度のノーベル化学賞に,野依良治名古屋大学教授が「不斉合成のための触媒分子の開発」に関する研究で受賞されました。同賞の受賞は,有機化学分野で不斉合成反応の分野を開拓し,高い光学的純度を持つ化合物の作り分けという夢のような研究に成功し,医薬品などの開発に欠かせない技術を世界で初めて確立された業績に対するものです。

 前年の白川博士の受賞に続く野依教授の受賞は,日本人の研究者が高い研究水準を有することを示すとともに,国民全体にとって大きな励みと誇りを与えるものであり,国民の科学技術に対する関心を喚起する貴重な機会となりました。

日本のノーベル賞受賞者


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