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第1部   21世紀の教育改革
第3章  「才能の伸長や創造性の育成」を目指して
第2節  新しい学習指導要領に基づく学校教育の推進
3  新しい学習指導要領のねらいの実現に向けて


 新しい学習指導要領のねらいの実現のためには,{1}各学校において児童生徒の学習状況や教育課程の実施状況を適切に評価するための体制を整備すること,{2}少人数指導や習熟度別学習など個に応じた指導を推進するために,これを可能とする教職員定数の改善や施設の整備など教育条件の整備を行うことが必要です。


(1) 新しい学習指導要領のねらいを実現するための評価の充実

 各学校において児童生徒の学習状況や教育課程の実施状況を適切に評価するためには,{1}児童生徒の一人一人の学習状況を適切に評価する体制を整備すること,{2}学習指導要領の目標の全国的な実現状況,教育課程の実施状況を適切に評価することが必要です。

 {1}の点については,学習指導要領に示す目標に照らしてその実現状況を見る評価(いわゆる絶対評価)を一層重視するとともに,児童生徒の学習状況を客観的に評価するための評価規準,評価方法等を研究開発していくことが必要です。このため,文部科学省では,平成13年に都道府県教育委員会及び市町村教育委員会等に対し,児童生徒の学習状況等を記録する指導要録の改善等を行う際の参考となる考え方を通知しています。その具体の改善事項は以下の通りです。

(1) 小・中学校の評定を学習指導要領の目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)に改めること
(2) 高等学校の評定を,「関心・意欲・態度」,「思考・判断」,「技能・表現」,「知識・理解」の4観点を十分に踏まえたものとすること,
(3) 「総合的な学習の時間」については,学習活動の内容,評価の観点を記載し,これに基づき文章記述により評価を行うこと,
(4) 「生きる力」の育成などの状況を適切に評価できるよう,「行動の記録」の項目を見直すこと,
(v) 児童生徒の成長の状況を総合的に捉える工夫ができるよう所見欄等を統合すること

 さらに指導要録の改善を踏まえ,各学校においては評価の客観性を高めるため,評価規準の作成のための研究を行うとともに,教育委員会においては,こうした各学校の取組を支援するため,具体的な評価規準等の研究開発を行う必要があります。

 国においてもこうした各学校や教育委員会における評価への取組を支援するため,現在,国立教育政策研究所教育課程研究センターにおいて,評価規準等の研究開発を行っているところです。

 {2}の点については,学習指導要領の目標の全国的な実現状況の把握と教育課程の実施状況の適切な評価のため,21世紀教育新生プランにも掲げているように,全国的な学力調査を実施することとし,平成13年度は小・中学校について,平成14・15年度は高等学校について,国立教育政策研究所において実施する予定です。

 また,今後,国において実施する予定の新しい学習指導要領の下での全国的な学力調査の結果を参考にするなど,各学校において自校の児童生徒の学習の状況を自己点検・自己評価し,指導の改善に生かしていくことも重要です。

 このため,現在,国立政策研究所教育課程研究センターにおいて,学校における自己点検・自己評価の在り方について調査研究を行っているところです。

 これらの施策を着実に展開し,すべての児童生徒の基礎学力の向上を実現していきたいと考えています。


(2) 個に応じた指導の実現のための条件整備(教職員定数の改善等)

 少人数指導,習熟度別学習など個に応じたきめ細かな指導を可能とするためには,教職員定数の改善が必要であり,21世紀教育新生プランにも掲げているように,平成13年度から平成17年度までの5か年計画で教職員定数の改善のための措置を講じることとしています。具体的には,義務教育諸学校においては,子どもたちの基礎学力の向上ときめ細かな指導のため,教科等に応じ20人程度の少人数指導を行うなど,学校の指導上の具体的な取組を支援する観点に立って,第七次公立義務教育諸学校教職員定数改善計画(改善総数26,900人)を,また,高等学校においては,中高一貫教育校や総合学科,単位制高校などの多様な指導形態・指導方法をとる学校に配慮するなど,多様な高校教育の展開を可能とする観点に立って,第六次公立高等学校教職員定数改善計画(改善総数7,008人)をスタートさせ,このために必要な法律改正を行いました。

 さらに,学級編制について,平成13年度から,都道府県教育委員会の判断により,児童生徒の実態を考慮して特に必要があると認められる場合には,国の標準(40人)を下回る特例的な基準を設けることが可能となり,これに基づき,いくつかの都道府県において学級編制の弾力化の措置が講じられました( 図1-3-5 )。

■図1-3-5■

 また,こうした20人授業や情報通信技術(IT)を活用したきめ細かな個に応じた指導が可能となるような新しい学習スペース(「新世代型学習空間」)を新たに整備したり,校内LANや教室へのコンピュータの整備を進めています( 図1-3-6 )。

■図1-3-6■新世代型学習空間のモデル図

■【教職員定数を活用したきめ細かな指導の例】

○習熟度別授業の例〜青森市立油川中学校〜

 青森市立油川中学校では,普段のクラス編成とは別に,学習の理解度に応じて生徒を新たな学習集団に分けて授業を行ういわゆる「習熟度別授業」を平成11年度2学期から実施しています。

 習熟度別授業は,3年生全員を対象に,国語,数学,英語,社会,理科の5教科について,理解の程度に応じて4クラスに分けて行っています。グループは,固定されないように柔軟性を持たせるため,生徒の成長を考慮し,生徒の希望も聞いた上で,グループ替えを年に4回行っています。

 また,油川中学校では,習熟度別授業を実施するに当たっては,地域の理解が必要と考え,住民を積極的に招いたり,生徒を地域のボランティアに参加させるなどの取組を通じて,地域との関係を深めるような取組も積極的に行っています。

○小学校の教科担任制の例〜静岡県浜松市〜

 浜松市では,平成12年度から,小学校全校の高学年で,それぞれの学校で得意な教科を持つ教員の指導力を生かし,学級担任制と併用する形で「教科担任制」を実施しています。

 浜松市立曳馬小学校では,第4学年から,書写,社会,理科,体育,音楽,図工,家庭の各教科で教科担任制を導入しています。ただし,教科担任制を導入している教科は,各教員の能力や特性などにも考慮しているため,学年によって,あるいは同学年の中でも学級によって異なっています。

 浜松市立追分小学校では,一人一人の子どもを様々な視点で見つめ,子どもの良さを見いだし,個性の伸長を図る観点から,特に中学年以上において教科担任制を導入して,教科,教員の専門性を生かして充実した授業の創造に努めています。中学年以上では,国語,書写,算数,理科,体育,音楽,図工,生活,家庭等で教科担任制を導入しています。また,低学年でも,書写,体育などについては,教科担任制を取り入れています。

■【20人授業の教育効果について】

 教育効果を高める適正な学級規模について行われた調査報告(国立教育政策研究所「児童生徒の学習状況及び学力形成とクラスでの生活意識に及ぼす学級規模の影響に関する調査結果」(平成13年6月))は,学級規模間の有意差は見られないが,20人以下の規模の学級は,20人よりも規模の大きい学級よりも学力調査の結果が,比較的高得点であったり,学習状況やクラスでの生活について望ましい状況が多く見られるという報告をしています。この調査報告からも,20人程度の少人数指導を可能にする教職員改善計画の推進は,児童,生徒の学力向上及び望ましい態度形成に資するものとして期待されます。


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