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第1部   21世紀の教育改革
第3章  「才能の伸長や創造性の育成」を目指して
第2節  新しい学習指導要領に基づく学校教育の推進
2  新しい学習指導要領の概要



(1) 教育内容の厳選

 新しい学習指導要領では,基礎・基本を確実に定着させるため,教育内容を厳選しています。厳選に当たっては,{1}体系的にわかりやすく指導できるよう高度になりがちな内容を上の学年や学校段階に移行し,もともと上の段階で扱っていた内容と合わせることや,{2}各学校段階,各学年間,各教科間で重複する内容を削除することに留意しています。

教育内容の厳選の例

{1} 各学校段階の児童生徒にとって高度になりがちな内容,理解が困難な内容

・小学校算数の起こりうる場合や錐体の体積・表面積→中学校へ統合
・小学校理科の空気中の水蒸気の変化(雲のでき方),全天の星の動き→中学校へ統合

{2} 実際の指導において単なる知識の伝達や暗記に陥りがちな内容

・中学校社会・地理的分野で日本の各地域の網羅的な学習→地域調査を導入し調べ方を学ぶ学習に再構成
・中学校数学の2次方程式の解の公式,球の体積・表面積→高等学校へ統合

{3} 各学校段階,各学年間で重複する内容

・小学校国語の人物の気持ちの読みとり→高学年に重点化
・小学校算数の文字式,図形の合同,反比例→中学校へ統合

{4} 各教科間で重複する内容

・小学校理科の男女の体の特徴→小学校体育へ統合
・中学校社会・公民的分野の家族の望ましい人間関係→中学校技術・家庭に統合

 こうした教育内容の厳選により,学ぶ側,教える側に,時間的・精神的なゆとりが生まれ,

{1} 理解や習熟の程度に応じた指導,個別指導や繰り返し指導など個に応じたきめ細やかな指導,
{2} 観察・実験,調査・研究,発表・討論など体験的・問題解決的な学習を行うこと

ができるようになります。これらにより,各学校において,わかる授業が展開され,子どもたちが達成感を持ちながら基礎・基本をしっかりと習得し,それを基にして自ら学び,自ら考える力などの「生きる力」を身につけることができるようになると考えます。


(2) 総合的な学習の時間の創設

 新たに設けられた総合的な学習の時間は,地域や学校,児童の実態等に応じ{1}自ら課題を見付け,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能力を育てること,{2}学び方やものの考え方を身につけ,問題の解決や探求活動に主体的,創造的に取り組む態度を育て,自己の生き方を考えることができるようにすること,をねらいとして,環境,国際理解,情報,福祉・健康などの横断的・総合的な課題,児童生徒の興味関心に基づく課題などについて,自然体験や社会体験,観察,実験,見学・調査などの体験的な学習,問題解決的な学習などを積極的に取り入れて行うものです。

 このような資質や能力は各教科等の学習を通じても育成されますが,子どもが学んだ知識を実感を持って理解する実体験の機会が減少している現状において,こうした機会を学校の教育活動の中で意図的・計画的に設ける必要があります。このため,総合的な学習の時間においては,各教科等で学ぶ知識や技能を,相互に関連づけ,総合的に働かせ,体験的・問題解決的な活動の中で実感を持って理解し,実生活において生かすことを目指しています。

 また,「総合的な学習の時間」で身につけた力を各教科等の学習に生かすことも重要です。このように「総合的な学習の時間」は,各教科等との有機的な連携の中で実施されるものなのです。


(3) 選択学習の幅の拡大

 新しい学習指導要領では,生徒の興味・関心,進路希望等に応じた能力の伸長を一層実現するため,中・高等学校において選択学習の幅を拡大しています。中学校においては,選択教科に充てる授業時数を拡大し,児童生徒の理解の状況に応じて補充的な学習や学習指導要領に示す内容の理解をより深めるなどの発展的な学習,課題学習などに積極的に取り組むことができるようになっています。高等学校においては,必修科目の最低履修単位数を縮減し(38単位→31単位),各学校で独自に教科・科目を設定することを可能としています(学校設定教科・科目)。また,大学において学んだ成果を高等学校の単位として認めることを可能としています。


(4) 個に応じた指導の充実

 学習指導要領の総則においては,学習指導要領に示す「各教科,道徳及び特別活動の内容に関する事項は特に示す場合を除き,いずれの学校においても取り扱わなければならない。学校において特に必要な場合には,(学習指導要領に)示していない内容を加えて指導することもできる」としています。

 このように少なくとも学習指導要領に示す内容は,すべての児童生徒に対して指導する必要があるという意味において学習指導要領は最低基準としての性格を有しており,こうした性格は従来の学習指導要領においても規定されています。

 新しい学習指導要領においては,すべての児童生徒が共通に学ぶ教育内容を精選するとともに選択学習の幅を拡大し,生徒の興味・関心等に応じた能力の伸長を一層充実させることを可能にしており,こうした意味では,新しい学習指導要領は最低基準としての性格を一層明確にしています。

 これらにより,学習指導要領に示す内容について理解の十分でない子どもは,何度も繰り返し学習するなどにより,基礎・基本を確実に習得できるようになり,既に十分習得できている子どもは,教師がその子の興味・関心,適性等に応じた課題を与えることができるようになります。


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