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第1部   21世紀の教育改革
第2章  「豊かな人間性の育成」を目指して
第2節  施策の取組
2  施策の概要と課題



(1) 体験活動の充実

 子どもたちが自然体験や社会体験などを行う場や機会を増やし,豊かな心やたくましさを育てるために,学校,家庭,地域が一体となってそれぞれの教育機能を発揮していくことが重要です。第151回通常国会において,学校教育法及び社会教育法が改正され,学校内外を通じて多様な体験活動を促進していくため,{1}学校の教科指導の実施に当たり,社会教育関係団体等と連携を図りながら,ボランテイア活動など社会奉仕体験活動や自然体験活動等の体験活動の充実に努めること,{2}教育委員会においてもこうした多様な体験活動の機会の提供に関する事業を行うことをそれぞれ法律上明記したところです。

 さらに,独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センターに新たに「子どもゆめ基金」が創設され,青少年団体などが行う{1}子どもの自然体験活動,社会奉仕体験活動等の体験活動,{2}読書会などの子どもの読書活動,{3}インターネットなどで利用可能な子ども向け教材の開発・普及活動に対し,今年度から助成が行われるようになりました。

 さらに,青少年団体などの様々な民間団体が連携して自然体験活動指導者の共通登録制度を運営する「自然体験活動推進協議会」に対する支援など指導者の育成にも努めています。

 また,文部科学省では,平成11年度から,地域で子どもを育てる環境を整備し,親と子どもたちの活動を振興する体制を整備することを目指した「全国子どもプラン(緊急3ヶ年戦略)」を策定し関係府省と連携しながら推進しています。

 全国子どもプランでは,農林水産省と連携して,子どもたちが夏休みを中心に親と離れ,農家やユースホステル等で2週間程度の宿泊をしながら,自然の中で様々な自然体験,農業体験,地元の子どもたちとの交流等を行う「子ども長期自然体験村」事業や経済産業省・中小企業庁と連携して,子どもたちが,身近な商店街等で様々な職業に触れることができる機会を提供する「子どもの商業活動体験〜子どもインターンシップ〜」事業など,各般の施策を進めています。


(2) 家庭,地域の教育力の向上

 近年の核家族化や少子化の進行などに伴い,家庭の教育力の低下が指摘されています。平成10年6月の中央教育審議会答申では,過保護・過干渉,育児不安の広がりやしつけへの自信喪失など,今日の家庭における教育の問題は座視できない状況になっていると指摘されました。

 こうした状況を踏まえ,文部科学省では,地域での子育て支援のネットワークの充実や,子育て学習の全国展開,家庭教育手帳・家庭教育ノート等の作成・配布,家庭教育に関する24時間電話相談体制の整備などに取り組んでいるところです。また,家庭の教育力の向上のための社会教育行政における体制の整備を図るため,平成13年6月に社会教育法が改正されました。

 また,子どもたちを取り巻く地域社会の教育力の向上を図るため,「全国子どもプラン(緊急3ヶ年戦略)」を計画的に推進しています。

 更に,学校の余裕教室等を「地域ふれあい交流センター」として位置付け,同センターを拠点とした子どもや高齢者を含めた地域の人々の触れ合い活動や通学合宿による異世代間交流等を図る「地域ふれあい交流事業」を実施しています。


(3) 道徳教育の充実

 児童生徒の豊かな人間性を育成するためには,道徳教育は極めて重要です。このため,学校においては,学校の教育活動全体を通して道徳教育を行い,特に小・中学校では「道徳の時間」を設けて,児童生徒の道徳性を養うこととしています。

 しかし近年,社会の変化等に伴い,子どもたちの基本的なしつけや倫理観,社会性の育成などが十分ではないとの指摘がされています。特に幼稚園や小学校低学年の時期に基本的な生活習慣をしっかり身に付けるとともに,善いことは善い,悪いことは悪いという判断がしっかりとできるようにすることが重要となっています。

 また,これまで,ともするといわゆる徳目を教えるのみの授業になりがちで,児童生徒の行動に結びついていないということが指摘されています。善悪や社会生活上のルールなどを単に理解しているだけでは十分ではなく,それに従って行動できる道徳的な実践力がです。そのため,道徳の授業が児童生徒にとって魅力のあるものとなるよう工夫することが求められています。こうした課題を踏まえ,文部省(当時)では,平成10年に小・中学校の学習指導要領を改訂し,善悪の判断などの内容を充実したほか,体験活動などを生かした児童生徒の心に響く道徳教育の充実などの改善を図り,児童生徒の道徳性の育成をはかることとしたところです。

 また,平成13年度においては,児童生徒が身に付ける道徳の内容を分かりやすく表し,道徳的価値について,自ら考えるきっかけとし,理解を深めていくことができるような児童生徒用の冊子として,「心のノート」を作成し,すべての小・中学生に配布することとしています。「心のノート」は,道徳の時間のみならず各教科等の授業で活用したり,生活ノートとして使用したりするとともに,家庭との架け橋ともなるようなものとすることとしています。

 さらに,幼児期が人格形成の基礎を培う重要な役割を果たすことから,道徳性の芽生えを重視した幼稚園教育の充実を図っていくための実践的研究を進めています。また,平成13年度には,教師が指導を進める際に参考となる「幼稚園における道徳性の芽生えを培うための事例集」をすべての幼稚園に配布しました。

■図1-2-12■家庭教育の支援のための施策の体系図

■社会に学ぶ「14歳の挑戦」事業 富山県

 富山県では,すべての中学2年生が,規範意識や社会性を高め,将来の自分の生き方を考えるなど,成長期の課題を乗り越えるたくましい力を身に付けることを目的として,5日間連続,学校を離れて地域へ飛び出し,職場体験活動や福祉・ボランティア活動等に挑戦しています。各学校では,事業の円滑な実施のため,教職員や保護者,地域の代表や受入先の関係者等で組織する推進委員会が中心となって,企画・立案,生徒の体験先の確保等に当たっています。

 事業所等の一員として活動した生徒たちは,「自分も社会の役に立つことができた」という感動とともに,働くことの厳しさ,挨拶の大切さ等を直に体験し,一回りも二回りも大きくなっています。

氷見漁港で魚の選別作業に挑戦

■かすみがせき保育室の設置

 文部科学省共済組合では,安心して子どもを産み,働くことができる環境づくりに率先して取り組むため,官庁街である霞が関で初めての試みとして「かすみがせき保育室」を設置することとしました。

かすみがせき保育室

 利用対象は,原則として文部科学省職員の小学校就学の始期に達するまでの乳幼児ですが,利用定員の範囲内であれば,文部科学省職員以外の方の乳幼児についても,利用できます。

 平成13年10月末現在,15名が入室しており,霞が関の一角ににぎやかな子どもの声が響いています。

■トワイライトスクール 名古屋市

 名古屋市では,放課後などに学校施設を活用して子どもたちの遊びや体験,地域での世代間の触れ合いや交流などを図る事業を「トワイライトスクール(放課後学級)」と呼んでいます。現在,小学校の教室を子どもの遊びに適した環境に改修した「放課後学級ルーム」を中心に,運動場,体育館などを活用し,日々の放課後や土曜日,長期休業期間に遊びの場を提供しています。さらにボランティアの協力を得て,伝承遊びや工作,レクリエーション,スポーツ等様々な活動も行っています。


 運営体制については,教職経験豊かな,財団法人名古屋市教育スポーツ振興事業団の職員が運営指導者として,常時,管理運営に当たります。そして,地域の方々が地域協力員として,子どもたちの遊び相手になり,事業ボランティアとして子どもたちに様々な特技などを教えたりしています。


(4) カウンセリングの充実

 児童生徒の問題行動は依然として憂慮すべき状況にあり,大きな社会問題になっています。

 最近の問題行動の特徴として,子どもたちが内面にストレスや不満を抱え込み,抑制ができなくなって衝動的に問題行動等を起こしたと思われる事例が多く見られます。

 こうした問題行動等の未然防止や早期発見,早期解決のためには,子どもたちの心の相談に当たることが大切であり,スクールカウンセラーや「心の教室相談員」を学校に配置し,学校におけるカウンセリング体制の充実に努めています。

 平成13年度には,全国3,750校にスクールカウンセラーを配置しており,すべての児童生徒がスクールカウンセラーに相談できるようその配置の充実を図っていくこととしています。


(5) 有害情報などから子どもを守る取組の推進

 メディア上の性,暴力等の有害情報などについては,心身の発達途上にあって,判断力,責任感が未熟な青少年に対する悪影響が懸念されるところであり,従来からこの問題については,内閣府をはじめ政府全体で様々な取組を行っています。

 文部科学省では,これまで,関係業界に対し,一層の自主規制を要請するとともに,PTAが実施するテレビ番組の全国モニタリング調査に対して支援を行ってきました。また,本年度からは,学識経験者等の協力を得て,青少年を取り巻く有害環境対策に資するため,海外におけるNPO等の先進的な取組の調査を実施しています。


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