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第1部   21世紀の教育改革
第1章  21世紀の教育改革の基本的な考え方
第1節  教育をめぐる現状


 我が国の教育は,第2次世界大戦後,機会均等の理念を実現し,国民の教育水準を高め,経済社会の発展の原動力になるなど,その時々の時代の要請に対応しつつ,様々な成果をあげてきました。しかし,現在,教育に対する信頼が大きく揺らいでいる状況が見られます。

 第一に,社会の都市化や少子化の進展を背景とした家庭や地域社会の「教育力」の著しい低下が指摘されています。学校においては,いじめ,不登校,校内暴力など児童・生徒の様々な問題行動が顕在化し,いわゆる「学級崩壊」が社会的な問題となり,学校外においても,これまででは考えられなかったような青少年による凶悪な犯罪が続発しています。また,本来,教育の原点である家庭において,児童虐待や,家族内のコミュニケーション不在などの様々な問題が発生しています。

 第二に,青少年の間で「公」を軽視する傾向が広がっています。こうした傾向は,個人の自由や権利が過度に強調されてきた社会的傾向とともに子どもを巡る環境が大きく変化し,子どもが人や社会との関係の中で自分を磨く機会が減少し,その結果,社会性が低下していることと無関係ではありません。家庭でも,子どもは個室が与えられ,また,携帯電話などの情報機器の発達により,家族と一緒に暮らしながらも家族との関わりをあまり持たずに生活できる状況や,子どもの遊びに関しても,子ども同士の集団による外遊びが減少しテレビゲームが増えるなどバーチャルな世界の広がりが見られます。こうした子どもの社会性の低下は,規範意識の低下につながり,「公」の軽視の傾向や,青少年が「孤の世界」に引きこもる傾向を助長していると考えられます。

 第三に,これまで行きすぎた平等主義による教育の画一化や過度の知識の詰め込みにより,子どもの個性・能力に応じた教育がややもすれば軽視されてきました。学校における教育指導は,どちらかといえば,学習の理解度が平均的な子どもに合わせて一律に行われてきたため,理解が遅い子どもにとっては難しく,また,理解が早い子どもにとっては退屈なものとなり,その結果,学年が上がるにつれて,授業の理解度,満足度が低下するという傾向が見られます。また,学校制度や入試の在り方など現状の教育システムが,一人ひとりの個性や能力を最大限伸ばすためのものになっていないのではないかという指摘があります。

 第四に,科学技術の急速な進展,経済のグローバル化,情報化など社会経済の変化が速くなり,これまでの初等中等教育から高等教育までの教育システム全体やこれに携わる関係者の意識が,時代や社会の進展に必ずしも十分に対応していないのではないかという指摘が見られます。

 以上のように,現在の教育には,社会経済の変化や子どもを取り巻く環境の変化にうまく対応できない状況が見られます。このような教育をめぐる様々な問題に対応するためには,学校を中心とした制度改革や施策の充実とともに,学校,家庭,地域を含めた社会全体の中で教育の在り方を見直していくことが求められています。


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