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第1部   21世紀の教育改革
  序章 戦後の教育改革を振り返って
第4節  臨時教育審議会答申とその後
1  臨時教育審議会と教育改革


 昭和50年代の中頃から,核家族化や都市化の進展を背景としつつ,社会連帯意識の喪失,家庭の教育力の低下等が進み,他方で第二次ベビーブームによる過大規模校の増加や受験競争の低年齢化等が進み,児童生徒の教育環境が悪化しました。青少年非行が増加し,また,小・中学校でのいじめ,登校拒否,校内暴力等社会的に大きな関心を呼ぶ事態が頻発しました。

 こうした中,昭和59年9月に,政府全体の責任において教育改革に取り組むため,内閣総理大臣の諮問機関として,臨時教育審議会が発足することとなりました。教育問題について内閣直属の調査審議機関が設けられたのは,戦後は教育刷新委員会に次いで2度目のことでした。


(1) 臨時教育審議会の答申

 臨時教育審議会は,昭和60年6月の第一次答申から62年8月の第四次(最終)答申まで,3年間に四つの答申をまとめました。調査審議は「教育基本法の精神にのっとり」,四つの部会に分かれて極めて精力的に行われました。その答申による「21世紀に向けて」の教育改革の基本的考え方は,

{1} 個性重視の原則
{2} 生涯学習体系への移行
{3} 国際化,情報化等変化への対応

の三つに集約されました。それは,画一主義と学校中心主義からの脱却であり,行政が変化に柔軟に対応することを要請するものでした。


(2) 臨時教育審議会答申の実施体制

 答申を実施するために,政府に教育改革推進閣僚会議を,文部省に昭和62年8月に教育改革実施本部を設け,62年10月に閣議決定された「教育改革推進大綱」を基本方針として,以後の改革が推進されました。

 まず新たに文部大臣の諮問機関として大学審議会を設けました。同時に大学設置審議会及び私立大学審議会を再編統合して大学設置・学校法人審議会を設置しました。翌平成元年4月には中央教育審議会が再開され,その答申「生涯学習の基盤整備について」に基づいて,2年8月に社会教育審議会を改組して生涯学習審議会を発足させました。


(3) 改革の実施

 臨時教育審議会の改革提言は,臨時教育審議会の答申が出される以前から設置されていた教育課程審議会や教育職員養成審議会,保健体育審議会,学術審議会のほか,新たに設置された生涯学習審議会,大学審議会などにおいて,答申の具体化のための専門的な検討が行われ,以下の三つの視点からの施策が展開されました。

{1} 個性重視の原則

 平成元年3月に幼稚園,小学校,中学校,高等学校の,同年10月には盲学校,聾学校及び養護学校の,学習指導要領の全面改訂を行いました。この改訂では,生涯学習の基盤を培う観点に立ち,社会の変化に自ら対応できる人間の育成を目指して,小学校低学年では生活科を新設,中学校では選択履修の拡大,高等学校では教育課程の一層の弾力化などを行いました。この改訂は,自己教育力の育成を重視した「新しい学力観」の提唱という点で特徴付けられました。

 また,高等学校総合学科の創設,さらには中高一貫の6年制中等教育学校の制度化,高等学校入学者選抜方法の一層の多様化と選抜尺度の多元化などを実施しました。女子差別撤廃条約の批准に伴い高校「家庭科」の男女共修に道を開きました。

 さらに,教員の資質向上のために新規採用教員を対象とした1年間の初任者研修制度の創設や社会人活用や大学院レベルの教員免許状の創設のための教育職員免許法の改正を行いました。

 大学・高等教育については,大学設置基準の大綱化,大学院制度弾力化のための大学院設置基準の改正,教育上の例外措置としての17歳での大学入学,共通第一次試験に代わる大学入試センター試験の実施,推薦入学をはじめとする選抜方法の多様化,大学3年からの大学院入学などの改革を実施しました。

{2} 生涯学習体系への移行

 昭和63年7月,文教政策全体を学校教育を含めた生涯学習体系への移行を目指すものとして社会教育局を改組し,生涯学習局を設置しました。平成2年6月に「生涯学習の振興ための施策の推進体制等の整備に関する法律」が成立し,特に都道府県における事業の推進体制と地域生涯学習振興方策を規定しました。

 生涯学習と学校教育との関係については,例えば単位制高等学校の制度化,夜間学部・大学院の増置,短期大学等の卒業生に一定の要件で学位を認定する学位授与機構の創設など,中等教育や大学・高等教育を成人にとって利用しやすい教育機関として開放する種々の改革を実施しました。

{3} 国際化,情報化等変化への対応

 国際化への対応としては,平成元年の学習指導要領の改訂に当たり,各学校段階を通じて,国際理解教育の充実を図るよう各教科等の内容の改善を行いました。また,昭和63年度から高等学校における留学制度を設け,高等学校段階の留学生交流が拡大するなど,様々な国際交流の機会が増加しています。さらに,外国語教育の改善のため多数のネイティブ・スピーカーを招致する等の諸施策が実施されました。留学生の受入れに関しては,21世紀初頭には10万人の留学生を受け入れることを目標とする「留学生受け入れ10万人計画」の円滑な達成に向けて,各般の施策が行われてきました。

 情報化への対応としては,平成元年に告示された学習指導要領において,各教科・科目等の中に情報活用能力の育成を位置付けるなど,情報教育の充実を図りました。また,学校におけるコンピュータやソフトウェアの整備を進めるとともに,指導教員の研修等の充実を図ってきました。


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