新型コロナウイルス感染症に関する研究開発について

<政府対策本部の設置>
 我が国においては、令和2年3月26日に、特措法附則第1条の2第1項及び第2項の規定により読み替えて適用する特措法第15条第1項に基づく政府対策本部を設置し、その後、同月28日に同本部において決定(その後変更)された「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」に基づき、国民の命を守るための新型コロナウイルス感染症対策を着実に進めている。
 「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」に基づく、新型コロナウイルス感染症への対策のうち、流行の終息に向けた重要な取組の一つに、新型コロナウイルス感染症等の新興感染症に関する研究開発がある。

<研究開発の推進>
 新型コロナウイルス感染症の研究開発については、政府全体の方針を健康・医療戦略推進本部が取りまとめており、令和2年2月13日に公表された対策においては、我が国の研究者が行ってきた重症急性呼吸器症候群(SARS)(※1)及び中東呼吸器症候群(MERS)(※2)等に関する知見等を踏まえ、診断法開発、治療法開発、ワクチン開発等を実施することとし、具体的には、診断法開発では迅速診断キットの研究開発等、治療法開発では既存薬を用いた医師主導治験等、ワクチン開発ではmRNA新規ワクチンの研究開発等に対して総額約20億円の支援を行うこととした。
 令和2年3月10日に発表された「新型コロナウイルス感染症等の新興感染症に関する取組(第2弾)」においても、総額約31億円の対応策を盛り込んでおり、新たな感染症流行にも即刻対応できるプラットフォームの構築、既存治療薬の効果確認、迅速検査機器の開発等を実施することとし、具体的には、既存のBSL3ユニット(バイオセーフティレベル(※3)3の封じ込め実験室)の改修・整備、抗インフルエンザ治療薬(ファビピラビル(アビガン))等の治療効果及び安全性等の検討、迅速に新型コロナウイルスを検出できる簡易検査機器の開発等を加速させるとしている。
 さらに、令和2年4月7日に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」においても、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を根本的に解決するため、総額751億円の対策をまとめており、最優先の課題である有効な治療薬やワクチンの開発・普及を世界の英知を結集して一気に加速するとともに、有効性と安全性が確認された治療薬・ワクチンの早期活用を図ることとしている。具体的には、ファビピラビル(アビガン)生産のための設備整備、膵炎すいえん治療薬(ナファモスタット(フサン))等の既存治療薬の観察研究等の実施、ワクチン開発の加速、国際機関への拠出を通じた世界への貢献等を進めるとしている(感染症の研究開発に関する取組については、第2部第3章も参照)。

■図/新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の研究開発

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コラム1-1 「新型コロナウイルス」とは

 「新型コロナウイルス(SARS-CoV2)」はコロナウイルスの一つであり、コロナウイルスには、一般の風邪の原因となるウイルスや、「重症急性呼吸器症候群(SARS)」や2012年以降発生している「中東呼吸器症候群(MERS)」ウイルスが含まれる。
 ウイルスにはいくつか種類があり、コロナウイルスは遺伝情報としてRNAを持つRNAウイルスの一種(一本鎖RNAウイルス)で、粒子の一番外側に「エンベロープ」という脂質からできた二重の膜を持っている。自分自身で増えることはできないが、粘膜などの細胞に付着して入り込んで増えることができる。
 ウイルスは粘膜に入り込むことはできるが、健康な皮膚には入り込むことができず表面に付着するだけと言われている。物の表面についたウイルスは時間がたてば壊れてしまうが、物の種類によっては24時間~72時間くらい感染する力を持つと言われている。

<参考URL>新型コロナウイルス感染症に関する最新の情報については、厚生労働省HPを参照。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q2-1別ウィンドウで開きます

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  • ※1 Severe Acute Respiratory Syndrome
  • ※2 Middle East Respiratory Syndrome
  • ※3 バイオセーフティレベル(biosafety level, SL)とは、微生物・病原体等を取り扱う実験室・施設の格付けであり、実験室・施設で取り扱う病原体の危険性に応じて取扱いレベルが定められる。今般の新型コロナウイルスはBSL3で取り扱うこととされている。

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