第1章 科学技術政策の展開

 第2部では、平成30年度に科学技術の振興に関して講じられた施策について、第5期科学技術基本計画(平成28年1月22日閣議決定)に沿って記述する。

第1節 科学技術基本計画

 我が国の科学技術行政は、「科学技術基本法」(平成7年法律第130号)に基づき、政府が5年ごとに策定する科学技術基本計画(以下「基本計画」という。)にのっとり、総合的かつ計画的に推進している。
 これまで、第1期(平成8~12年度)、第2期(平成13~17年度)、第3期(平成18~22年度)、第4期(平成23~27年度)の基本計画を策定し、これらに沿って科学技術政策を推進してきた。
 平成28年度以降の次期基本計画の策定に向けて、平成26年10月、内閣総理大臣から総合科学技術・イノベーション会議に対して次期基本計画に向けた諮問がなされた(諮問第5号「科学技術基本計画について」)。同会議は、基本計画専門調査会を設置し、約1年間にわたって調査検討を行った。平成27年12月に総合科学技術・イノベーション会議は、諮問第5号に対する答申を行い、これを受けて、平成28年1月22日、第5期基本計画が閣議決定された。
 第5期基本計画では、現状認識として、情報通信技術(ICT)の進化等により、社会・経済の構造が日々大きく変化する「大変革時代」が到来し、国内外の課題が増大、複雑化する中で科学技術イノベーション推進の必要性が増していることを指摘している。また、基本計画の過去20年間の実績と課題として、研究開発環境の着実な整備、青色LEDやiPS細胞などのノーベル賞受賞に象徴されるような成果が上げられた一方、科学技術における「基盤的な力」の弱体化、政府研究開発投資の伸びの停滞などを指摘している。
 こうした背景の下、第5期基本計画では、目指すべき国の姿として、1.持続的な成長と地域社会の自律的な発展、2.国及び国民の安全・安心の確保と豊かで質の高い生活の実現、3.地球規模課題への対応と世界の発展への貢献、4.知の資産の持続的創出を挙げている。また、これを実現するための基本方針として、先を見通して戦略的に手を打っていく力(先見性と戦略性)及びどのような変化にも的確に対応していく力(多様性と柔軟性)の両面を重視するとした上で、政策の4本柱として以下を掲げている。

1)未来の産業創造と社会変革に向けた新たな価値創出の取組

 自ら大きな変化を起こし、大変革時代を先導していくため、非連続なイノベーションを生み出す研究開発を強化し、新しい価値やサービスが次々と創出される「超スマート社会」を世界に先駆けて実現するための一連の取組を更に深化させつつ「Society 5.0 」として強力に推進する。

2)経済・社会的課題への対応

 国内又は地球規模で顕在化している課題に先手を打って対応するため、国が重要な政策課題を設定し、課題解決に向けた科学技術イノベーションの取組を進める。

3)科学技術イノベーションの基盤的な力の強化

 今後起こり得る様々な変化に対して柔軟かつ的確に対応するため、若手人材の育成・活躍促進と大学の改革・機能強化を中心に、科学技術イノベーションの基盤的な力の抜本的強化に向けた取組を進める。

4)イノベーション創出に向けた人材、知、資金の好循環システムの構築

 国内外の人材、知、資金を活用し、新しい価値の創出とその社会実装を迅速に進めるため、企業、大学、公的研究機関の本格的連携とベンチャー企業の創出強化等を通じて、人材、知、資金があらゆる壁を乗り越えて循環し、イノベーションが生み出されるシステムの構築を進める。
 これら4本柱の取組を進めていく際に、科学技術外交とも一体となり、戦略的に国際展開を図る視点が不可欠であるとしている。また、第5期基本計画の進捗及び成果の状況を把握していくために、主要指標や目標値を定め、その達成状況を把握することにより、恒常的に政策の質の向上を図っていくとしている。
 第5期基本計画では、官民合わせた研究開発投資を対GDP比の4%以上とすることを目標とするとともに、政府研究開発投資について、平成27年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2015」に盛り込まれた「経済・財政再生計画」との整合性を確保しつつ、対GDP比の1%にすることを目指すこととした。期間中のGDPの名目成長率を平均3.3%という前提で試算した場合、第5期基本計画期間中に必要となる政府研究開発投資の総額の規模は約26兆円となる。政府研究開発投資目標については第2期基本計画以降達成できていないが、科学技術関係予算は毎年増加し、特に、平成31年度政府予算案における科学技術関係予算は、科学研究費助成事業(科研費)を対前年から86億円増加するなど、従来の研究開発事業の拡充等に努めた結果、平成7年の科学技術基本法制定以降、過去最大規模の約4兆2,000億円余りを計上している。


  • ※1 Society 5.0とは、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く新たな経済社会であり、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させ、経済的発展と社会的課題の解決を両立し、人々が快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることのできる、人間中心の社会をいう。

第2節 総合科学技術・イノベーション会議

 総合科学技術・イノベーション会議は、内閣総理大臣のリーダーシップの下、我が国の科学技術政策を強力に推進するため、「重要政策に関する会議」として内閣府に設置されている。我が国全体の科学技術を俯瞰(ふかん)し、総合的かつ基本的な政策の企画立案及び総合調整を行うことを任務とし、議長である内閣総理大臣をはじめ、関係閣僚、有識者議員等により構成されている(第2‐1‐1表)。
 また、総合科学技術・イノベーション会議の下に、重要事項に関する専門的な事項を審議するため、専門調査会を設けている(第2‐1‐2図)。

 第2‐1‐1表/総合科学技術・イノベーション会議議員名簿

 第2‐1‐2図/総合科学技術・イノベーション会議の組織図

1 平成30年度の総合科学技術・イノベーション会議における主な取組

 総合科学技術・イノベーション会議では「統合イノベーション戦略」(平成30年6月14日閣議決定)の策定、「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP(※2))」、「官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM(※3))」及び「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT(※4))」の運営など、政策・予算・制度の各面で審議を進めてきた。
 平成30年度は、「統合イノベーション戦略」に基づき、イノベーションに関連が深い司令塔会議である総合科学技術・イノベーション会議、高度情報通信ネットワーク社会推進本部、知的財産戦略本部、健康・医療戦略推進本部、宇宙開発戦略本部及び総合海洋政策本部並びに地理空間情報活用推進会議について、横断的かつ実質的な調整を図るとともに同戦略を推進するため、内閣に「統合イノベーション戦略推進会議」を設置した。
 また、「統合イノベーション戦略」には、野心的な目標及び構想を掲げ、世界中の研究者の英知を結集する「ムーンショット型研究開発制度の検討」が記載され、平成30年12月20日の総合科学技術・イノベーション会議において「ムーンショット型研究開発制度の基本的な考え方について」が決定された。


  • ※2 Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program
  • ※3 Public/Private R&D Investment Strategic Expansion PrograM
  • ※4 Impulsing PAradigm Change through disruptive Technologies program

2 科学技術関係予算の戦略的重点化

 総合科学技術・イノベーション会議は、政府全体の科学技術関係予算を重要な分野や施策へ重点的に配分し、基本計画や総合イノベーション戦略の確実な実行を図るため、予算編成において科学技術イノベーション政策全体を俯瞰(ふかん)し関係府省の取組を主導している。

(1)科学技術に関する予算等の配分の方針

 総合科学技術・イノベーション会議は、中長期的な政策の方向性を示した基本計画の下、毎年の状況変化を踏まえ、統合イノベーション戦略において、その年度に重きを置くべき取組を示し、それらに基づいて政府全体の科学技術関係予算の重要な分野や施策への重点的配分や政策のPDCAサイクルの実行等を図っている。

(2)戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の推進

 SIPでは、総合科学技術・イノベーション会議が司令塔機能を発揮して、府省や分野の枠を超えたマネジメントにより、各課題を強力にリードする23名のプログラム・ディレクター(PD)を中心に産学官の連携を図り、基礎研究から実用化・事業化までを見据えて一気通貫で研究開発に取り組む。また、経済成長の原動力として社会を飛躍的に変える科学技術イノベーションを強力に推し進めていくものである。SIPの実施に当たっては、総合科学技術・イノベーション会議が定める方針の下、内閣府に計上する「科学技術イノベーション創造推進費」(平成30年度:555億円)を重点配分した。なお、健康医療分野に関しては、健康・医療戦略推進本部の下で推進した。
 SIPでは、社会的課題の解決や産業競争力の強化、経済再生に資する以下の11課題が選定され、平成30年度が最終年度であった(第2‐1‐3表)。

 第2‐1‐3表/戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)

 また、平成29年度補正予算において措置されたSIP第2期においては、補正予算の趣旨である生産性革命を推進するとともに、Society 5.0の実現に向け、引き続き現在のSIPのコンセプトや制度を基本的に踏襲しつつ、以下に示す12の課題を推進している(第2‐1‐4表)(第7章第4節4参照)。

 第2‐1‐4表/戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期

(3)官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)の推進

 PRISMについては、民間投資の誘発効果の高い領域や研究開発成果の活用による政府支出の効率化が期待される3領域(※5)に各府省施策を誘導すること等を目的に平成30年度に創設された。平成30年度は、6月に閣議決定した「統合イノベーション戦略」を踏まえ、農業、創薬、インフラ等のデータ連携基盤の確立や研究開発を通じた先端IT人材の育成に係る取組に重点化し配分を実施した。


  • ※5 革新的サイバー空間基盤技術、革新的フィジカル空間基盤技術、革新的建設・インフラ維持管理技術/革新的防災・減災技術

(4)革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の推進

 実現すれば産業や社会の在り方に大きな変革をもたらす革新的な科学技術イノベーションの創出を目指し、ハイリスク・ハイインパクトな挑戦的研究開発に取り組むImPACTを推進した。研究の企画、推進、管理等に関して大きな権限・責任を持つ16名のプログラム・マネージャー(PM)が、各々の研究開発計画に基づき、研究開発を実施した。

(5)ムーンショット型研究開発制度の創設

 ImPACTの取組が節目を迎えることを受け、我が国発の破壊的イノベーションの創出を目指し、従来の延長にない、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発を政府全体として継続的かつ安定的に推進する仕組みとして、ムーンショット型研究開発制度を創設した。

 第2‐1‐5表/科学技術政策の推進のための主な施策(平成30年度)

3 国家的に重要な研究開発の評価の実施

 総合科学技術・イノベーション会議は、内閣府設置法(平成11年法律第29号)第26条第1項第3号に基づき、国の科学技術政策を総合的かつ計画的に推進する観点から、各府省が実施する大規模研究開発(※6)等の国家的に重要な研究開発を対象に評価を実施している。
 また、同会議は、特定国立研究開発法人による研究開発等の促進に関する特別措置法(平成28年法律第43号)第5条に基づき、特定国立研究開発法人の中長期目標期間の最終年度においては、基本計画等の国家戦略との連動性の観点等から見込評価等や次期中長期目標案に対して意見を述べている。


  • ※6 国費総額約300億円以上の研究開発のうち、科学技術政策上の重要性に鑑み、評価専門調査会が評価すべきと認めたもの。

(1)大規模研究開発の中間評価(平成30年11月22日決定、通知)

 平成26年度から開始された大規模研究開発「フラッグシップ2020プロジェクト(ポスト「京(けい)」の開発)」について、平成31年度から製造段階へ移行することを踏まえ、総合科学技術・イノベーション会議において中間評価を行い、評価結果について事業を所管する文部科学大臣に通知した。

(2)大規模研究開発のステージゲートの評価結果の確認(平成30年8月28日決定、平成30年9月25日通知)

 平成25年度から開始され、4期のステージゲートに分けて実施されている大規模研究開発「革新的新構造材料等技術開発」について、平成29年度に第2期のステージゲート評価が経済産業省において実施されたこと受け、その結果の妥当性を確認し、経済産業省産業技術環境局長へ通知した。

4 専門調査会等における主な審議事項

(1)重要課題専門調査会

 第5期基本計画及び科学技術イノベーション総合戦略に掲げられた「Society 5.0」の実現に向けて、共通基盤の構築の推進及び経済・社会的課題の解決を図る取組について調査・検討を実施した。

(2)評価専門調査会

 平成30年度の大規模研究開発について、中間評価を1件実施し、評価結果案を取りまとめた。また、ステージゲート評価の確認を1件実施し確認結果を取りまとめた。このほか、研究開発評価を充実させるため調査検討項目を取りまとめ、令和元年度に概要について調査検討を開始することを決定した。

(3)生命倫理専門調査会

 ヒト受精胚(はい)へのゲノム編集技術を用いる研究についての議論を深めるため、生命倫理専門調査会の下に、「「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」見直し等に係るタスク・フォース」を設置して検討を行い、「「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」見直し等に係る報告(第一次)~生殖補助医療研究を目的とするゲノム編集技術等の利用について~」を取りまとめた。引き続き、当該研究についての議論を深めていくこととしている。

第3節 統合イノベーション戦略

 総合科学技術・イノベーション会議は、Society 5.0の実現に向け、関連施策を府省横断的かつ一体的に推進するため、「統合イノベーション戦略」を新たに策定した(第2‐1‐6図)。
 本戦略では、「世界水準の目標」、「論理的道筋」、「時間軸」を示し、基礎研究から社会実装・国際展開まで、一気通貫での取組を推進している。具体的には、Society 5.0を実現するための基盤となるデータ連携基盤の構築、科学技術イノベーションを生み出す拠点となる大学改革、科学技術イノベーションの創出を担う若手研究者の活躍促進等を実現しつつ、生み出されたシーズをベンチャーの取組によって実用化する日本型ベンチャー・エコシステムの構築、公的側面から実用化につなげる政府事業等イノベーション化の推進等官民双方における「知」の社会実装の推進、AI技術やバイオテクノロジー等の個別の先端重要分野に関して進めるべき取組等が記載されている。本戦略の策定を通じ、上記の課題に対応することにより、Society 5.0を最速で実現し、「世界で最もイノベーションに適した国」を実現することを目標としている。

 第2‐1‐6図/統合イノベーション戦略(2018)の概要

コラム2‐1 我が国初のサイエンス20の開催

 日本学術会議は、平成31年3月6日、G20サミットの日本開催に伴い、我が国で初めてサイエンス20を開催した。
 サイエンス20は、G20サミットに対して、共同で科学的な提言を行うことを目的とするG20各国の科学アカデミーによる会議である。2017年(平成29年)のドイツ開催、2018年(平成30年)のアルゼンチン開催に続き、今回で3回目となるサイエンス20 Japan 2019を日本学術会議が議長アカデミーとして主催した。
 今回の会議は、「海洋生態系への脅威と海洋環境の保全‐特に気候変動及び海洋プラスチックごみについて‐」をテーマとして、基調講演及びパネルディスカッションを行った後、G20各国の科学アカデミーの代表者が一堂に会して共同声明について議論・採択した。共同声明では、気候変動による海洋温暖化、海洋酸性化及び海洋貧酸素化、また、海洋プラスチックごみの集積といった科学が取り組むべき喫緊の海洋環境問題を明らかにし、それらの解決に向けた提言をしている。提言のポイントは、(1)海洋資源開発における専門家の科学的根拠に基づく助言の必要性、(2)汚染などの海洋生態系へのストレス要因の軽減、(3)循環経済・社会の実現、(4)調査・研究基盤の能力強化、(5)世界の科学者がアクセス可能なデータ保管装置と管理システムの確立、(6)強固な国際協力下での調査・研究活動の推進と情報の共有化の六つである。3月6日の会議当日に共同声明を採択した後、山極壽一・日本学術会議会長が安倍晋三・内閣総理大臣へ手交した。また、3月8日に原田義昭・環境大臣に手交した。

 安倍晋三・内閣総理大臣への共同声明手交
 安倍晋三・内閣総理大臣への共同声明手交
 提供:内閣府 日本学術会議事務局

 原田義昭・環境大臣への共同声明手交
 原田義昭・環境大臣への共同声明手交
 提供:内閣府 日本学術会議事務局

第4節 科学技術イノベーション行政体制及び予算

1 科学技術イノベーション行政体制

 国の行政組織においては、総合科学技術・イノベーション会議による様々な答申等を踏まえ、関係行政機関がそれぞれの所掌に基づき、国立試験研究機関、国立研究開発法人及び大学等における研究の実施、各種の研究制度による研究の推進や研究開発環境の整備等を行っている。
 文部科学省は、各分野の具体的な研究開発計画の作成及び関係行政機関の科学技術に関する事務の調整を行うほか、先端・重要科学技術分野の研究開発の実施、創造的・基礎的研究の充実・強化等の取組を総合的に推進している。また、科学技術・学術審議会を置き、文部科学大臣の諮問に応じて科学技術の総合的な振興や学術の振興に関する重要事項についての調査審議とともに、文部科学大臣に対し意見を述べること等を行っている。
 科学技術・学術審議会における主な決定・報告等は、第2‐1‐7表に示すとおりである。
 我が国の科学者コミュニティの代表機関として、210人の会員及び約2,000人の連携会員から成る日本学術会議は、内閣総理大臣の所轄の下に置かれ、科学に関する重要事項を審議し、その実現を図るとともに、科学に関する研究の連携を図り、その能率を向上させることを職務としている(第2‐1‐8図)。
 日本学術会議においては、「日本学術会議の今後の展望について」(平成27年3月 日本学術会議の新たな展望を考える有識者会議決定)に基づき、1.政府や社会に対する提言機能の強化、2.科学者コミュニティ内のネットワークの強化と活用、3.科学者コミュニティ外との連携・コミュニケーションの強化、4.世界の中のアカデミーとしての機能強化に取り組んでいる。

 第2‐1‐7表/科学技術・学術審議会の主な決定・報告等(平成30年度)

 第2‐1‐8図/日本学術会議の構成

 政府や社会に対する提言については、平成30年度に提言を7件、報告を3件、回答を1件公表した(勧告・要望・声明・答申は0件)(第2‐1‐9表)。このほか、「「ゲノム編集による子ども」の誕生についての日本学術会議幹事会声明」及び「医学部医学系入学試験と教育における公平性の確保を求める日本学術会議幹事会声明―男女共同参画推進の視点から―」を公表した。また、今後の提言等の公表に向けて、様々な委員会を設置し、審議を行っている。
 また、日本学術会議では、協力学術研究団体(2,042団体:平成30年度末時点)等の科学者コミュニティ内のネットワークの強化と活用に取り組むとともに、各種シンポジウム・記者会見等を通じて、科学者コミュニティ外との連携・コミュニケーションを図っている。
 さらに、国際学術会議(ISC)をはじめとする44の国際学術団体に、我が国を代表して参画する等、国際学術交流事業を推進している。平成30年度は閣議口頭了解を得て8件の共同主催国際会議を開催したほか、平成30年5月にG7各国アカデミーと共同で取りまとめたGサイエンス学術会議共同声明を安倍晋三・内閣総理大臣に手交、12月には第18回アジア学術会議(SCA)日本会合を開催した。また、平成31年3月にサイエンス20を開催した(コラム2‐1参照)。

 第2‐1‐9表/日本学術会議の主な提言等(平成30年度)

2 科学技術関係予算

 我が国の平成30年度当初予算における科学技術関係予算は3兆8,401億円であり、そのうち一般会計分は3兆494億円、特別会計分は7,908億円となっている。一般会計のうち、科学技術振興の中心的な経費である科学技術振興費は1兆3,175億円となっている。平成30年度補正予算における科学技術関係予算は4,419億円であり、そのうち一般会計分は4,156億円(うち科学技術振興費は2,345億円)、特別会計分は262億円となっている(平成31年1月時点)。なお、科学技術関係予算は府省ごとの判断に基づいて登録されていたが、平成28年度からは、行政事業レビューシートの記載内容を基に統一的な基準に基づく再集計を行った。科学技術関係予算(当初予算)の推移は第2‐1‐10表、府省別の科学技術関係予算は第2‐1‐11表のとおりである。

 第2‐1‐10表/科学技術関係予算の推移

 第2‐1‐11表/府省別科学技術関係予算

お問合せ先

科学技術・学術政策局企画評価課

(科学技術・学術政策局企画評価課)

-- 登録:令和元年07月 --