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第1部   安定成長下における技術開発推進への課題
第2章  科学技術活動の停滞
第1節  技術導入の停滞傾向とその要因
3  外国からの技術導入の困難さの見通し


最近の外国からの技術導入の停滞傾向をもたらしている要因として経済的要因,技術的要因及び対外的要因の三つを取り上げてそれぞれ分析を行ってきた。これらの要因のうち経済的要因は,主に国内的な問題であり,わが国経済の安定的発展の推移とともに,民間企業の企業活動が活発になることによって解決されると言えよう。また,技術的要因については,我が国の技術水準が向上しつつある一方で海外の技術開発が停滞していることによるものであり,特段の配慮は必要としないと言えよう。

第1-2-10図 技術導入に伴うクロスライセンス契約(甲種)件数の推移

しかし,第3の対外的要因すなわち技術導入の意欲があるにもかかわらず,外国側に供与する意志がないなどにより技術導入が困難になるという状況については,国内における技術水準及び技術開発力の維持,向上に影響を及ぼすという点で今後の動向に多大の注意を要する。

民間企業の意識調査によれば,第1-2-11図に示すとおり,現在から5年後までの間に外国からの技術導入の困難さが増大するという見通しが得られている。すなわち,技術導入に伴う付帯条件は,ロイヤリティの要求,輸出市場の制限,クロスライセンスの要求,資本参加(株式取得)の要求すべてについて厳しさが増すことをうかがい知ることができる。

また,工業技術院の調査資料「米国の産業技術戦略の推移と展望(昭和51年)」によると,アメリカ各界の有識者を対象にした面接調査において,「N ASA(米国航空宇宙局)技術は納税者に還元されるべきで,アメリカの競争者に対する技術供与には大きな抵抗がある。」(NASA当局者)とか「研究開発成果を製品化する段階では競争的要因があるため今後の技術輸出には何らかの変化が現われてこよう。特に,アメリカの労働組合のなかには職場を圧迫するという懸念から技術供与を阻止しようという動きもある。」(民間人)など,今後のアメリカからの技術導入の困難化を示唆するような発言が見られた。このような技術貿易に関する考え方は,現時点でアメリカの主流を占めていないにしても,我が国が技術開発力を持つ競争者となりつつある状況の中で,次第に台頭して来る可能性があると言えよう。

以上見てきたように,技術貿易の対外的要因が顕在化しつつあり,外国からの技術導入の困難さが増す傾向にある。この傾向は,今後の我が国における技術水準及び技術開発力の維持・向上にとって支障となるおそれがあることを意味している。

第1-2-11図 技術導入に伴う付帯条件の見通し


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