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第3部   政府の施策
第4章  科学技術振興基盤の強化
4  特許制度の改善


近年の特許・実用新案出願件数の伸びは著しく,過去5か年の平均伸び率は約5.3%に達し,技術の高度化,審査資料の累増などが審査負担を増加させている。

昭和45年の特許法改正により審査請求制度が導入された。それまでは権利化を必ずしも欲しない防衛的出願などをもすべて審査すべきこととされていたのが,新たに審査請求のあった出願のみ審査されることとなった。これに伴い,制度導入時における一時的な要審査件数の減少と審査処理能力の向上とがあいまって未処理案件は漸次減少し,昭和49年度末現在の審査処理期間は2年10か月と37年の水準に戻った。しかしながら,昭和50年度末には再び3年2か月となり,近年の出願件数及び審査請求件数の急激な伸びにかんがみると,審査処理期間は再び長期化するものと考えられる。より一層の迅速かつ的確な特許権の付与という要請にこたえるため,特許庁では審査官,審判官などの増員や処遇改善,審査,審判資料の整備を進めるとともに審査資料の機械検索システムの開発,出願事務の機械化などの研究を行っている。

また,我が国の特許・実用新案の出願件数は,世界の中で群をぬいて高く(昭和50年34万件),審査請求率も高いにもかかわらず,それらのうち,約半分が拒否されることや対外国出願の全出願の中で占める割合が欧米主要国に比べて著しく低いことにかんがみれば,無駄な出願が相当含まれ,出願・審査請求の内容が平均的にみて決して高度のものでないことがうかがわれよう。無駄な出願についても,審査請求がなされれば,特許庁では,他と同じように審査をしなければならないため,真に有用な発明・考案に対する審査が遅延し,それらの保護が迅速・的確になされず,国民経済的に大きなロスであるだけでなく,出願人にとっても不本意な負担を招く結果となっている。更に,こうした無駄な出願によって,公開公報も異常な増加をみせ,その有効な利用が阻害されかねなくなっている。こうした情勢に対処するため,事前調査の励行をはじめ特許・実用新案の出願・審査請求の適正化について,積極的に検討を進めている。

一方,特許制度の国際化に対処するとともに,発明に対する十分な保護を与えるため,工業所有権審議会は,物質特許制度(飲食物,医薬及び化学物質自体の発明に特許を付与する制度)及び多項制(一つの発明について「特許請求の範囲を複数記載できる制度」)の採用に関する答申を通商産業大臣に提出した。これに基づいて特許法等の一部を改正する法律案が国会に提出され,昭和50年5月29日国会を通過し,昭和51年1月1日から施行されている。

また,今日の特許制度は世界知的所有権機関(WIPO)を中心に国際的な統一化に向って進んでおり,既に多数国出願の手続の煩雑さと,重複審査の無駄を省くことを目的とする特許協力条約(PCT)及び特許分類の国際的統一により特許文献の整備を容易にすることを目的とする国際特許分類(IPC)協定が締結されており,同協定は,昭和51年5月21日,国会での承認を終え枇准された。更に特許協力条約(PCT)についても,その批准に備えて,工業所有権審議会制度改正部会にPCT小委員会を設け,必要な国内体制の整備について審議を行っているところである。


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