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第3部   政府の施策
第2章  政府機関などにおける研究活動
4  多分野の協力による研究開発の推進
(5)  ソフトサイエンス及びテクノロジー・アセスメントの振興



(1) ソフトサイエンス

現代社会における複雑な政策課題の解明を目的としたソフトサイエンスは,情報科学,行動科学,システム工学,社会工学など最近急速に進歩しつつある意思決定の科学化に関する諸分野の理論や手法を応用して,人間や社会現象を含めた幅広い対象を学際的に研究,解明しようとする総合的科学技術である。

我が国においては,昭和46年4月,科学技術会議の諮問第5号「1970年代における総合的科学技術政策の基本について」に対する答申においてその推進の必要性が強調され,その研究開発及び利用の促進のための施策が進められている。

特に,科学技術庁,経済企画庁及び通商産業省の3省庁は,昭和る6〜48年までの3か年にわたり,総合研究開発調査を実施し,我が国の総合的な研究開発のあり方について調査を行った。この調査においては,ソフトサイエンスの総合的な振興,民間シンクタンクの育成についても検討が行われた。

また,昭和49年には,政府と民間との共同出資により総合研究開発機構が設立された。ここでは,現代の社会経済及び国民生活の諸問題の解明に寄与するため,広範な分野の専門知識を結集して行われる総合的な研究開発の実施及び助成などが行われることとなっており,これを通じて今後,ソフトサイエンスの振興も図られるものと期待されている。現在,大型ブロジュクトとして,21世紀問題とエネルギー問題を取り上げており,昭和50年度においては,エネルギー問題,地域問題,環境問題,住民運動,住民参加問題などに関する諸テーマに関し研究開発の実施及び助成が行われた。

また,ソフトサイエンスに関する国際的な動きも活発化しており,1970年のローマ・クラブのボストン大会において,「成長の限界」というレポートが発表された後,食糧,環境,エネルギーなどの問題が顕在化したこととあいまって,世界各地で同じテーマに対して試みられたいろいろ異なった方法による成果が報告された。1973年の東京大会では,ローマ・クラブと直接関係のあるものだけで6グループ,その他,間接的につながりのあるものも含めると約20グループが中間報告という形で研究報告を行った。また,1974年のローマ・クラブのベルリン大会においては,「世界社会のより公平な発展に向って」というテーマの下にシンポジウムが開催され,  「転機に立つ人間社会」を初めとして25グループの研究発表が行われた。

更に,我が国を含め13か国からの共同出資によるIIASA(国際応用システム分析研究所)がオーストリアのウィーンに設立され,また,欧州諸国の共同出資によるIIMF(国際技術管理研究所)がイタリアのミラノに設立された。これらの機関は最近活動を開始しているが,既に,現代社会の複雑な諸問題の解決を図るためのソフトサイエンスに関する国際的な関心を高める役割を果たしており,更に,ソフトサイエンスの研究開発,人材の養成などにも大いに貢献するものと期待されている。


(2) テクノロジー・アセスメント

科学技術の急速な進展とその適用によってもたらされている環境問題,資源問題などの諸問題の発生に対処し,テクノロジー・アセスメントの導入が重要課題として取り上げられている。

既に,テクノロジー・アセスメント導入の必要性については,昭和46年4月,科学技術会議が諮問第5号「1970年代における総合的科学技術政策の基本について」に対する答申の中で指摘されているほか,経済企画庁における国民生活審議会の答申「成長・発展する経済,社会のもとで健全な国民生活を確保する方策に関する答申」(昭和45年11月)及び通商産業省における産業構造審議会の中間答申「70年代の通商産業政策の基本方向はいかにあるべきか」(昭和46年5月)においても指摘されている。

これらの答申にこたえて,科学技術庁及び通商産業省が中心となり,テクノロジー・アセスメントの推進に取り組んでいる。すなわち, 第3-2-32表 に示すように,事例研究を実施することにより方法論の開発を図り,その成果を基に,それぞれの行政に関連した技術課題について試験的実施を行うとともに民間への普及啓発に努めている。

第3-2-32表 政府関係におけるテクノロジー・アセスメントのケース・スタディ


また,民間においてもテクノロジー・アセスメントの導入の必要性が強く認識されるようになってきており,テクノロジー・アセスメント思想の啓蒙,テクノロジー・アセスメント手法の普及などを図るため,産業技術者,企業経営者,研究者などを対象としてテクノロジー・アセスメントに関するセミナーが開催され,人材の育成が行われている。

このようなテクノロジー・アセスメントに関連した活動を更に一歩進めて,総合的,長期的視野からのテクノロジー・アセスメントの定着を図るため,科学技術会議総合部会にテクノロジー・アセスメント分科会を設置し,テクノロジー・アセスメントの導入の在り方などについて検討を行い,50年10月に「テクノロジー・アセスメント導入にあたっての基本的考え方及び推進のための施策」と題する報告書がまとめられた。また,通商産業省の産業技術審議会のテクノロジー・アセスメント部会においても産業技術行政におけるテクノロジー ・アセスメントの導入を促進するため,50年4月「テクノロジー・アセスメント推進の望ましい制度及び実施方法について」の中間報告を行った。

一方,国際的な動きを見ると,OECDでは,1971年10月の科学大臣会議において決定された基本方針に基づき,テクノロジー・アセスメントの推進を重点事業として取り上げ,これに積極的に取り組んでいる。特に,一般的方法論の開発が急務であるとの認識に立ち,1974年にはテクノロジー・アセスメント実施のガイドラインを取りまとめ,更に,新都市交通システム,通信技術,労働環境をテーマとしたケース・スタディを実施している。

このような活動とは別に,各国のテクノロジー・テセスメントの専門家レベルの情報交換の促進が図られるようになってきている。すなわち,各国の専門家を構成員とする国際テクノロジー ・アセスメント協会(ISTA)が1972年に設立され,1973年5月にオランダのハーグで第1回国際会議が,1974年11月には東京において第2回の国際会議が開催された。


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