ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第1部   科学技術発展の回顧と新たな課題
第1章  科学技術発展の回顧
第1節  戦後の科学技術発展過程の概観


戦後30年間の我が国の社会経済の変化・発展はまさに驚異的であった。敗戦により我が国はあらゆる社会経済活動の基盤に壊滅的な打撃を被りながら,その後,わずか10年足らずして鉱工業生産は戦前の水準を上回り,その後も欧米先進諸国の2倍以上という高度経済成長を続け,昭和43年には国民総生産(GNP)自由世界第2位の経済大国となるなど,その経済活動の発展には目をみはるものがある。

一方,このような経済成長の進展とともに国民の所得水準は著しく向上し,昭和49年度の一人当たり国民所得は103万円となり,今や,かつて夢物語に近かった西欧先進諸国の水準と肩を並べるに至っている。そして,テレビ,電気冷蔵庫,電気洗濯機などの家庭電化製品をはじめ,乗用車などの各種耐久消費財,個性的でカラフルな衣料,バラエティーに富んだ食品,高度化しかつ大容量化した交通通信手段の普及などによって国民は便利で豊かな生活を享受できるようになった。また,保健医療の進歩を示す一つの指標として我が国の平均寿命の推移をみると,戦前の昭和10〜11年(戦前最高)には男46.92歳,女49.63歳と世界的にみれば短命国の一つにすぎなかったが,昭和50年には,男71.76歳,女76.95歳となり,スウェーデンなどと並んで世界最長寿国の一つとなっている。

このような我が国の経済の発展や国民生活の向上は,優秀で勤勉な国民の不断の努力のたまものであるが,戦後我が国が産業活動や国民生活のあらゆる場面において次々と取り入れてきた新しい科学技術が大きく貢献していることも疑いのないところである。

一方,各種公害や自然環境の破壊,交通事故,過密・過疎などのいわゆる高度経済成長のひずみといわれる諸問題の解決が大きな課題となっている。

更に,昭和40年代後半から顕在化してきた資源・エネルギー問題は,石油や食糧など主要資源の多くを海外に依存している我が国の将来に大きな影を投じている。

そして,我が国の社会経済が一つの大きな転換期にさしかかっている現在,科学技術についても,この新しい事態に対応して,過去の実績を踏まえつつ,更に新たな面における新たな活動が求められつつある。

そこで本節では,戦後の我が国の科学技術を,昭和20年代前半,20年代後半,30年代前半,30年代後半から石油危機まで,石油危機以降の5期に区分し,その発展過程を今一度振り返ることとする。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ