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第2部   科学技術活動の動向
第3章   技術貿易及び特許出願の動向
1   技術貿易


昭和48年度の我が国の技術貿易は,輸入(対価支払額)1,895億円,対前年度比7.5%増であるのに対し,輸出(対価受取額)は,233億円でほぼ前年度並みであつた (第2-3-1図)

この結果,技術面の貿易収支比(輸出/輸入)は,0.12であり,前年度に比し若干減少した。

近年この比率は,大体0.13前後にとどまつているが,欧米先進国について見ると,第2-3-1表のようにアメリカは10前後と群を抜いて高く,最も低い西ドイツでも0.4前後というようにいずれも我が国の水準を大幅に上回つている。

第2-3-1図 我が国における技術貿易の推移

このような状況は,我が国の技術開発力の低さを示しているものであり,今後大幅に改善してゆかねばならない。

(1)技術導入

(1)全面的な技術導入の自由化

昭和43年6月1日の第1次の自由化では7分野(航空機,武器,火薬,原子力,宇宙開発,電子計算機,石油化学)を除き導入手続が簡素化されたが,更に国際的に完全自由化に対する強い要請があつたこと等から昭和47年7月1日から一部経過期間付きではあるが,全面的な自由化が行われた。

第2-3-1表 主要国のうける技術貿易額

この内容は以下のとおりである。

1) 航空機,武器,火薬,原子力,宇宙開発に関する技術については,主務大臣から特別な指示がない限り自動的に認許可する。
2) 石油化学に関する技術については,誘導品製造技術を除いて自由化する。更に,昭和48年1月1日からは誘導品製造技術についても自由化する。
3) 電子計算機に関する技術については,対価によつて区分され,ソフトウエア技術で5万ドルを超えるもの及びハードウエア技術で10万ドルを超えるものを除いて自由化する。更に,これらについても昭和49年7月1日から自由化する。

以上の措置により,昭和49年7月1日から技術導入の全面的な自由化が実施されることになつた。

(2)技術導入状況  注)

昭和48年度の技術導入総件数では,2,450件と前年並みであつたが,対価支払額は前年度比7.5%増であつた。

「甲種」技術導入件数は, 第2-3-2図 のように1,931件であり,この結果昭和25〜48年度の累計は13,717件となつた。

昭和48年度の「甲種」技術導入の分野別の状況は, 第2-3-2表 に示すとおり一般機械が全体の23.3%を占め,以下電気,化学製品と続き,これら3分野で全体の約半数を占めているが,年々この比率は減少傾向にある。

更に,細目分類別に見ると,活発かつ多様なファッション需要を反映して繊維製品関係が首位に上り,次いで,一般機械のうちの産業用機械となつている。前年度に比して特に増加の著しいものには電子・通信部品の2倍増,石油プラントエンジニアリングの80%増,原動機・ボイラーの65%増などがある。


注)技術導入には,契約期間又は支払期間が1年を越える「甲種」技術援助契約とそれ以外の「乙種」技術援助契約の2種があり,「甲種」は外資法の,「乙種」は外為法の適用を受けている。

第2-3-2 図技術導入件数の推移

また,ここ数年の状況を見ると繊維製品,通信機械,輸送用機械,建設工法などが増加傾向を示している。

「乙種」については,前年度に比して電気が2倍,機械が40%増と急増しているのが目立つている。

第2-3-2表 技術別甲種技術導入件数の推移

「甲種」技術導入を国籍別に見ると, 第2-3-3図 のようにアメリカからの導入が過半数を占めているが,年々この比率は減少している。第2位は従来通り西ドイツ,第3位は新たに繊維製品関係を中心にフランスが占め,イギリスが初めて第4位に下り,次いで,スイスが続き,これら5か国で全件数の約90%に達している。

「乙種」についても,従来どおりアメリカが過半数で首位を占め,以下フランス,西ドイツ,イギリス,イタリアの順となつており,これらの5ケ国で全体の85%を占めている。

第2-3-3図 国別甲種技術導入件数割合の推移

分野別,国別技術導入状況ではアメリカからが繊維製品と繊維機械の2部門を除いた他の分野で首位にあり,特に,電子,通信,石油プラントエンジニアリングなどの先端技術では他国を寄せつけない。フランスからは服飾・デザインを中心とした繊維部門,イギリス,スイスからは機械関係,イタリアからは繊維,皮革というように各々の国の優れた技術の導入が行われている (第2-3-4図)

(3)導入技術内容の特色

(ア)同一技術への集中

「甲種」技術導入について同一技術を複数の企業が集中して導入している状況については, 第2-3-3表 に見られるように電気が圧倒的に多く,その集中内容も特にラジオ受信機,磁気テーププレーヤ,テレビカメラ・モニター装置,完全自動式コンパクトカセット録音再生装置,半導体材料等が際立つている。

第2-3-4図 昭和48年度分野別・国別甲種技術導入件数割合

第2-3-5図 昭和48年度分野別乙種技術導入件数・割合

また,機械では二重底タンカー,ポケットカメラ,化学では黄硫回収プラント,水素化脱硫装置,金属ではステンレス鋼等クロム含有金属の着色及び表面処理,簡易開缶装置などが集中の目立つたものであつた。

(イ)公害防止関連技術 

公害防止関連技術の導入は,逐年増加している。昭和48年度は,前年度に続いて集塵,塵芥焼却処理に関する技術が大きく伸びた (第2-3-4表)。

また,脱硫以外の化学処理,原子力技術の実用化に伴う放射性廃棄物の処理に関するものも増加した。

その他の公害防止関連技術については頭打ちの傾向にある。

(ウ)流通・消費関連技術

第2-3-3表 同一技術への集中状況

第2-3-4表 公害防止関連技術の推移

第2-3-6図 公害防止関連技術の推移

第2-3-5表 流通・消費関連技術の導入件数

近年,この分野の技術導入件数の伸びは著しかつたが,昭和48年度は,全体として初めて頭打ちの状態となつた (第2-3-5表)

しかし,レジャー,服装・デザイン関係は依然増加しており,前者はゴルフ,野球,ヨット等に関するもの,後者はスーツから乳児下着に至るあらゆる方面のものが導入された。

雑貨,家具,化粧品等については大幅な減少となつた。

(エ)電子計算機関連の技術

ハードウエア技術の導入件数が減少し,ソフトウエア技術の導入件数が増加する傾向は変わらない (第2-3-6表)

ハードウエア技術に関しては,導入技術が定着し,自主技術開発にも力を入れているため,ここ数年の導入件数が減少しているものと見られる。一方,ソフトウエア技術に関しては,ユーザーが技術内容についての信頼性を求めており,我が国よりも経験の豊富な外国技術を要望しているため,その導入が必要になつている。

(4)導入契約上の特色

(ア)クロスライセンス契約

技術を交換するクロスライセンス契約は,全体として増加傾向にあるが,昭和48年度は68件で,そのうち無償契約は16件(約24%)と少なく,外国主導型となつている。

技術分野別に見ると電気が全体の約半数を占めてはいるが,このうち無償契約はわずかであり,主導権は圧倒的に外国側にある (第2-3-7表)

次いで機械が多く,14件あるが,このうち4件は自動車の安全・公害に関する研究分担金契約を結んでいるものである。残り10件のうち無償契約は1件だけである。

なお,合成樹脂関係の4件が全て無償契約となつていることは注目される。

第2-3-6表 電子計算機関連技術の推移

第2-3-7表 クロスライセンス契約の推移

(イ)契約期間

契約期間は,10年未満のものが過半数を占めた。

技術分野別では,機械,金属は5〜15年の契約が多く,電気その他の分野では10年未満のものが圧倒的に多い。しかし,契約期間の年限を定めていないものあるいは特許有効期間中等と定めているものの比率も高かつた。

最近5年間の推移を見ると,製品のライフサイクルの短縮化を反映して5 年未満の短期間契約の比率が漸増している (第2-3-7図)

(ウ)特許関連契約

技術導入契約は,特許のみのもの,ノウハウのみのもの,両者を合わせたものと3種類の形態に分けられる。昭和48年度は,特許のみのもの15%,ノウハウのみのもの62%,両者を合わせたもの23%の割合であつた (第2-3-8表)。

特許のみの契約は,電気に集申しており,同一特許が複数の企業によつて集中的に導入されている。

第2-3-7図 甲種技術契約期間の推移

その他分野の特許契約が極端に低いのは,食料品,衣料品,プラスチック製品等に代表されるようにノウハウ,デザイン,商標に導入の大半が占められるからである。

(2)技術輸出

総理府統計局が行つた科学技術研究調査  注) によると,昭和48年度の我が国の技術輸出件数は,2,033件(新規785件,継続1,248件)と対前年度比28.3%の減少であつたが,対価受取額は,508億円で対前年度比20.6%の増加であり,技術輸出の高額化が目立つた。

第2-3-8表 特許のみの甲種技術導入認可実績の推移

業種別技術輸出件数を見ると, 第2-3-9表 のように,製造業については1,959件,対前年度比29.5%減であつた。これは機械,電気機械が激減したためで,前年度は両者で全輸出件数の約6割を占めていたものが,昭和48年度は約3割へと半減している。これに比べて窯業,鉄鋼,精密機械の伸び率の増加が著しかつた。

製造業以外の74件の内訳は農林業7件,鉱業13件,建設業53件,運輸通信業1件である。

業種別対価受取額では,製造業が432億円,対前年度比8.5%の増加であつた。このうち,伸び率の高かつたものは繊維工業と輸送用機械であり,反対に窯業,精密機械は大幅な減少となつた (第2-3-10表)

製造業の受取額が全体に占める割合は,前年度の94.5%から85.0%へと大幅に減少したが,これは建設業が前年度の20億円から74億円へと3倍以上も激増したためである。


注)対象企業は,資本金100万円以上の会社等(特殊法人を含む。)であるが,金融保険業,不動産業,卸・小売業及びサービス業は含まれていない。

技術輸出額(対価受取額)について日銀統計と差が出るのは,主として,当調査が税込みの技術輸出契約額の集計によるものであるのに対し,日銀統計は,為替銀行を通して海外から送金される税金が差し引かれた金額が集計されるためであると見られる。

第2-3-9 表業種別技術輸出件数

技術輸出先について見ると,件数,対価受取額とも東南アジア,ヨーロツパ,北アメリカの順に多いが,伸び率では,アフリカが最も大きかつた (第2-3-11表)。

また,1件当たりの対価受取額では,東南アジア,ヨーロツパ,アフリカに対するものが高い。

第2-3-10表 製造業種別技術輸出による対価受取額

第2-3-11表 昭和48年度技術輸出先別件数及び金額


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