ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第2部   科学技術活動の動向
第2章   科学技術情報活動の動向
4   海外におけるる科学技術情報活動の動向


(1)アメリカ

アメリカでは科学技術情報活動の中心となる機構として連邦科学技術会議内に科学技術情報委員会(COSATI)が,また,行政機関である国立科学財団(N S F)内に科学情報サービス局(OSIS)が設置されており,それぞれ科学技術情報活動に関する基本政策の立案及び情報科学技術に関する研究開発の振興と民間の情報サービス活動の活発化のための種々の助成措置を行つている。

NSFの統計によれば,1974年度には,情報の処理流通をはじめとする活動に対して連邦政府全体では,1,300億円(ほかにデータ処理活動として1,000億円)以上が投入されている。NSF自身は民間における情報活動の振興のために年間約30億円の助成を行つている。

情報の処理流通に関しては,科学技術の全分野にわたる総合的なシステムはなく,化学,物理,生物,医学等個別の分野の情報システムの整備に重点が置かれている。これら各分野の活動は,学協会により推進される例が多くシステムの開発や改善に対しては, NSFから助成が行われている。

また,総合的なシステムはないが,それを補い各システムを相互に連携させる役割を果たすものとしては,クリアリング(情報案内)機関が整備されており,それぞれの機能に応じて,スミソニアン情報交換機関(SIE研究テーマの案内),国立科学技術レツアラルセンター(NRC-機関・研究者等情報源の案内),及び国立技術情報サービス(NTIS-政府刊行物の公知と提供)がある。これらを通じてユーザーは的確な情報源,案内されることになる。

上記の個別情報システムとしては,国立医学図書館のMEDLARS,米国化学会のCAS,生物分野のBIOSIS等があり,これらは国内における情報活動を背景に国際的にも相当進出している状況にある。

アメリカの場合,電子計算機と広域通信の双方の利用が拡大されるとともに,情報処理サービス事業は,ますます機械化されMEDLINE(医学情報のオンラインネットワーク)をはじめとする広域ネットワークの形成が進んでいる一方,情報分析機能の育成にも力を注いでいることが特徴である。

(2)西ドイツ

西ドイツでは,従来,各種の専門的な情報センターにより科学技術情報の処理流通が行われてきたが,最近,それらを含めた総合的な情報処理振興計画が策定されている。これは国内に存在する約600の情報関連機関を医学・生物学,化学,電気・物理・機械,地質・鉱山など15の専門分野に集約化し,その間の関係の調整を図ることによつて事業や資金の重複を避け,効率的なトータルシステムを形成し,その運営を図ることを目標としているものである。

この計画は,1973年から1976年の4か年にわたるものであるが所要資金は,約600億円と見込まれている。

なお,西ドイツでは,1961年にマックスプランク協会にドキュメンテーション調査所が設けられており,民間における情報活動に対する財政的な助成等を実施してきている。

(3)フランス

フランスでは,国立科学研究センター(CNRS)所属のドキュメンテーションセンター (所員数450名,論文処理件数50万件,日本科学技術情報センターは,所員数336名,処理件数37万件)が主として基礎科学と生物科学に係る情報を処理しており,フランス人における科学技術情報活動の中核的役割を果たしているが,このほかに従来から,電気通信,航空技術をはじめとする非常に多くの分野の専門的機関で情報の処理流通が図られている。

加えて,昨年2月には,総理府令により国立科学技術情報局 (BNIST)が設置され,基礎から応用技術に至るすべての科学技術情報に関する政策の立案,計画の策定を行うとともに,関係機関の協力の下におけるその実施及び監督を行つており,今後,多様な機関の調整,情報ネットワークの形成,基礎研究,標準化,人材養成等を推進することになつている。

(4)イギリス

イギリスでは,1965年に科学政策諮問会議の勧告により科学技術情報諮問委員会(ACSTI)及び教育科学省に科学技術情報局(OSTI)が設けられており,それぞれ図書館活動を含めた幅広い科学技術情報活動に関する基本的事項の審議及び関係機関による情報活動の調整・助長を行つている。科学技術情報のサービスを行う機関としては,国立科学技術貸出図書館(NL L)が中核となつている。なお最近,物理・電気工学・制御工学情報サービス(INSPEC)が整備されてきており,国際的にも進出するようになつている。

(5)ソ連

ソ連においては,全ソ科学技術情報研究所(VINITI)が1952年に設立されており,ソ連科学アカデミー及び科学技術国家委員会の管理下に置かれているが,これは現在,世界で最大の集中的な情報サービス機関となつているVINITI(所員数3,500名,論文処理件数100万件)の取り扱い分野は,医学・農学・建築・土木工学を除いた科学技術であり,カバーされていない分野については,別に全ソ的な情報センター(全ソ医学医療技術情報研究所など)が設けられている。

(6)国際機関による情報活動

前述のCAS,MEDLARS等,特定国の情報システムの国際的な進出に加えて,近年,特に国際連合の専門機関等により多様な国際情報システムが形成される動きがある。

ユネスコでは,国際学術連合会議(ICSU)との協力の下にUNISIST(世界科学情報システム)の計画が進められている。これは,1973年に設立を見たものであるが,世界各国の情報サービス機関の自発的協力の拡大に基づいて,弾力的かつ緩かな結合を持つ世界的サービスネットワークを作り上げることを究極の目標として,当面,基礎科学,応用科学,工学等の分野で必要とされる進展への足がかりとしての機能を果たそうとしている。

また,国際食糧農業機構(FAO)では,多数の国,あるいは機関の参加の下に農学及び農業技術に関する国際情報システム(AGRIS)を整備しようとしている。

そのほか,国際原子力機関による国際原子力情報システム(INIS),国連人間環境会議で設立が提案された環境に対する国際情報源サービス(IRS)等があり,各国とも積極的にこれらへの参画を進めつつある。

このような国際機関による情報システムの形成の傾向は,今後ますます大きくなるものと見られる。

一方,科学技術情報活動の政策的問題を取り扱つている国際機関としては,経済協力開発機関(OECD),UNESCO,ICSU,国際標準化機構(ISO)等がある。

このうち,OECDにおいては,科学技術政策委員会の下に情報政策グループ(IPG)が設けられており,加盟国の情報政策に関する意見交換,将来の情報活動の在り方の検討,情報ネットワーキングにおける問題の研究等を積極的に推進している。昭和49年度においては,6月及び11月にいずれもパリにおいてIPGの会合が開催された。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ