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第1部   安定的発展への新たな要請と科学技術
第4章   産業の新展開に貢献する科学技術
第4節   共通的基盤的科学技術の動向
7   触媒技術


触媒は,それ自身変化することなく微量で物質の反応を促進させるものであり,化学工業及び公害の防止等における重要な基礎的技術となつている。

特に,新しい触媒の出現は,近年の石油化学,高分子化学,公害の防止等の飛躍的発展の原動力となつたと言われる。

しかし,触媒については,まだ学問的な体系が確立しておらず,実用触媒の開発は,純理論的な触媒研究とは余り関係なく,むしろ試行錯誤の多い試作と試験によつて行われて来たと言える。

触媒技術の最近における主な動きについて概観して見ると,化学工業界が往年のように新規プロセスが続出するという状況ではないため,触媒についても画期的なものは出現していないが,従来の触媒の改良は漸次進歩している。

シリカ・アルミナ系固体酸触媒として実用化された石油のクラッキング用触媒には,数年前からゼオライトが配合され,その高活性に注目され広く使用されることとなつた。一方,固体酸に関する理論の進歩に伴つて炭化水素の異性化,不均化及びアルキル化用の固体触媒が石油化学業界で実用化されている。

コバルト・モリブテン・ニッケル系による石油の水素化脱硫触媒は,ナフサ,灯油,軽油及び重油の間接脱硫用として多量に供用されることとなつたが,今後は重油の直接脱硫用として実用化されつつある。

石油化学用触媒のうち,アクリルニトリル製造用のリハイオ触媒は,排気ガスの無害化と収率向上を目的とした改良触媒に量換されている。また,炭化水素の気相酸化プロセスでは,プロピレンからアクロレインの,アクロレインからアクリル酸の製造用触媒が開発され実用化されている。

窒素酸化物(NOx)の排出規制の強化とともに,NOxの還元触媒の開発が急務となつている。NOxの固定発生源に対しては,硫黄酸化物(SOx)の有無にかかわらず,特殊処理したシリカ含有アルミナ担体の開発と銅,鉄,コバルト及びマグネシウムの一種又は複数を含浸した触媒が開発され,実用段階に入つている。また,移動発生源(主として自動車排ガス)に対しては,ペレット又はハニカム担体に固定発生源に類した金属を含浸した触媒を開発しつつあるが,いまだ実用化には至つていない。

ただし,炭化水素,一酸化炭素等の酸化触媒としてはペレット又はハニカム担体に白金,バラジウムを含浸した触媒が開発され実用化されている。

このように,新しい種々の触媒の開発及び実用化は化学工業及び公害の防止等の進展に少なからず寄与している。

今後の触媒技術の課題としては,実用触媒についての基礎研究とこれに基礎を置いた実用的工業触媒の探索と最適使用条件の設定などが挙げられる。


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