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第1部   安定的発展への新たな要請と科学技術
第4章   産業の新展開に貢献する科学技術
第4節   共通的基盤的科学技術の動向
4   分析技術


最近の分析技術の動向を左右しつつある主な要因は,科学技術の進歩及び電子計算機の普及という二つの内部的因子と環境汚染物質の分析という強い外部的要請とであろう。

微量分析については,まず,レーザ技術の発達に伴つて開発されたレーザラマン分光法が実用化され,10 -9 グラムの桁の分析に使用されるようになつた。マイクロ波分光法も基礎研究が進み実用化の直前の段階にある。

最近の電子技術を取り入れた手法としては,光電子分光,オージェ電子分光,赤外干渉分光,フーリエ変換パルス核磁気共鳴(NMR)及びガスクロマトグラフ(GC)一質量スペクトル(MS)結合分析などが挙げられる。

これらの手法は,既存分析機器の改良と専用の小型電子計算機を組み合わせることによつて実用化の段階に入つており,また,応用面を著しく拡張するに至つている。

上記の手法のうち,電子分光によつて固体表面の厚さ10オングストロームの桁の薄層物質の分析が容易に行われるようになつた。また,電子計算機によるとフーリエ変換を簡単に行うことができるため,これを利用して,電子計算機と結合したフーリエ変換赤外干渉分光計によつて10 -9 グラム以下の微量分析ができるようになつた。

フーリエ変換パルスNMRは 13 Cに関する情報が容易に得られるため,生化学など広い分野に利用されようとしている。

また,GC-MS法は,複雑な組成の有機化合物に対する高感度の分析法として化学研究室に不可欠な手法となつている。

この外,蒸気圧が低く,ガスクロマトグラフ処理し得ない試料の分離を行う液体クロマトグラフ(LC)も広く使用され,その研究も活発である。この研究の焦点は分離された物質の検出法あるいは,同定法であるが,これに対する回答の一つとして液体クロマトグラフ(LC)一質量スペクトル(M S)結合法がようやく確立されようとしている。

分析機材は必ず目盛り付けしなければならない,そのために組成標準物質(RM)が必要である。RMも結局は現時点で最高の精度を期待し得る分析方法で分析して組成値を定め,基準として使用するものである。

最近17種の分析機器が「公害計測用濃度計」として指定され,計量法上の諸規定が適用されることになり,検定を受けることが義務付けられたので,検定用のRMの設定が急がれている。

また,RMは,言わば度量衡の場合のメートル原器に相当するので,当然国際性を有する。しかし,RMの設定は著しく困難であつて,一国で必要なRMを全部設定することは不可能である。このため,RMの設定に関して,世界的な規模で国際協力が開始されようとしている。

機器によつて有機化合物の同定を行うには,あらかじめデータバンクを作つておいて,電子計算機によつてデータを検索を行うことが効果的であり,国際規模で科学者が協力してデータバンクを設定する動きが顕著になつてきた。質量スペクトル分析については,国際協力によつてイギリスにデータバンクが設けられ,既に3万近い化合物のデータが整理,収納されている。

また,このデータなどを基にし,通信衛星を使用した全世界を覆うデータ検索網が作られていて,普通の電話機によつて簡単にデータ検索が行えるようになつている。

データバンクの重要性を考えると,国内においても同様な機関を設定し得る態勢を作つておく必要があろう。


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