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第2部  科学技術活動の動向
第2章  科学技術情報活動の動向
5  科学技術情報活動の国際協力


全世界の科学技術情報を網羅的に収集することは一国の力では事実上不可能であり,かつ経済的に見ても必ずしも得策ではない。このために,科学技術情報の流通は,国際協力を積極的に推進しつつ行われるべきである。我が国は,近年,科学技術情報に関する国際機関や国際システムに対して積極的に参加しており,まだ参加していないものについても逐次参加の検討を行つている。

まず,国際機関としては, OECD科学技術政策委員会情報政策グループ,ドクメンテーション活動の促進を目的とした国際ドクメンテーション連盟(FID),ドクメンテーション標準化に関する国際標準化機構第46技術委員会(ISO/TC46),科学技術情報の国際的交換等を目的とした国際学問連合会議文献抄録委員会(ICSU/AB),科学技術データの収集及び配布を世界的規模で推進することを目的とした国際学術連合会議(ICSU),科学技術データ委員会(CODATA),図書館業務の協力を促進することを目的とした国際図書館協会連盟(IFLA)などがあり,この他に電子計算機を主対象にした情報処理に関するものに国際情報処理連盟(IFIP),国際標準化機構第97技術委員会(ISO/TC97)などがある。

国際システムとしては,世界科学情報システム(UNISIST),国際原子力情報システム(INIS),国際特許情報センター(INPADOC),審査主義特許局間の情報検索に関する国際協力のためのパリ同盟委員会(ICIREPA,T),国際農業科学技術情報システム(AGRIS)などがある。

これらの概要は次のとおりである。

UNISISTはUNESCO(国際連合教育科学文化機関)とICSUが共同で進めている現在あるいは将来の諸情報システムの自発的な協力に基づく柔軟性のあるネットワークを世界的に確立しようとするものであつて,1971年UNESCO政府間会議で決議されたのち1972年秋の第17回UNESCO総会で承認され,1973年度から正式に発足し1973年11月に第1回UNISIST運営委員会が開催された。

当面のUNISISTプログラム又はプロジェクトは,

1) UNISIST国際情報センターの設立
2) 汎用分類システムの確立
3) 抄録及び索引サービスのための世界的機械可読目録の作成
4) 訓練コースおよび教育活動
5) 国際逐次刊行物データシステム(ISDS)の確立
6) システムの相互接続のためのUNISISTマニュアルの作成
7) 教育訓練に関する国際援助プログラムの調和
8) UNISISTプログラムにおける国連開発計画の担うプロジェクトの援助

であるが,これらは第1回運営委員会で承認された。

INISは国際原子力機関(IAEA)が設立したもので,各国が自国内で生産された原子力関係の科学技術情報を収集し,書誌事項及びINISシソーラスによった索引語を付してIAEA本部に送付し,一方本部で蓄積,編集した二次情報(磁気テープ,印刷物)を受けて参加国の担当機関が情報サービスを行つている。我が国では日本原子力研究所が担当機関となつている。

INPADOCは世界知的所有権機関(WIPO)が提案し,オーストリア政府が中心となつて設立したもので,自国の特許の書誌的事項の磁気テープを提供することによつて,参加各国の特許の書誌的事項の磁気テープを受けるものである。我が国では特許庁が参加しているが,実務作業は(財)日本特許情報センターが行つている。

ICIREPATは,同様に,WIPOに設けられた委員会であり,INPADOCが特許の書誌的事項を対象にしているのに対して,本委員会では特許の内容を対象にしており,この技術内容面での特許の蓄積検索システムの開発を進めている。我が国では特許庁が参加している。

AGRISは,FAO(国連食糧農業機関)が1969年以来検討を続け,1971年第16回総会で本プロジェクトの決議がなされ,1973年11月の第17回総会でその設立が正式決定された。これは世界各国の農林水産関係の科学技術情報を主に書誌的事項をFAOにインプットすることによつて冊子(AGRINDX)及びその磁気テープを配布するシステムである。我が国では,農林省がその実務を担当することになつている。

なお,前述したUNISISTプログラムの一つであるISDSは,全世界の科学技術関係の逐次刊行物(定期刊行物,新聞,年報,紀要,会報,会議録,モノグラフシリーズなどを含む。)に対して引用や検索に便利なように一連のコード番号を付すとともに,その書誌データを国際的に登録,維持することを目的としたシステムであつて,国際センターがパリに設けられ,我が国では国立国会図書館が国内センターとなる予定である。

このほかにも,国際システムとして,世界気象機関(WMO),世界保健機関(WHO)がそれぞれの分野について情報交換や情報ネットワークの確立を図つている。

このほか,国際的な情報システムとしてはMEDLARS,ケミカルアブストラクツサービス(CAS),教育情報源センター(ERIC),DRUGDOC等がある。

MEDLARSは,アメリカ国立医学図書館(NLM)が開発した医学文献検索システムであつて,世界の約2,300種の医学文献の書誌的事項を電子計算機に入力し,蓄積して磁気テープを加盟各国に送付している。現在,西ドイツなど7ケ国と世界保健機関(WHO)が参加しており,我が国では(財)国際医学情報センターがインプットを,日本科学技術情報センターがアウトプットをそれぞれ分担している。

CASは,アメリカ化学会(ACS)が行つている化学関係の情報の収集・処理,利用を図る情報サービスシステムであつて,抄録,書誌的事項及びキーワードを付して電子計算機にインプットし,二次情報誌,磁気テープである CBAC, POST,CT (書誌的事項のみ),CAコンデンセーツ(書誌事項とキーワードのみ)などを作成している。これには,イギリス,スェーデン,デンマーク,オランダ,西ドイツなどが協力体制を取つており,我が国では研究者(約150人)がインプット作業に協力し,日本科学技術情報センターがCAコンデンセーツによる検索サービスを行つている。


注)  CBAC:Chemical Biological Activities P O S T:Polymer Science and Technology C   T:Chemical Titles

ERICは,アメリカ教育局が開発した教育に関する情報システムであり,ネットワーク全体の調整を行う本部(国立教育研究所),情報の収集及び二次情報の作成を行う主題別クリアリングハウス(大学,専門機関等20機関)及び磁気テープ,二次情報誌(CIJE),マイクロフイッシユを作成,配布する契約機関並びに二次情報誌(RIE)を印刷,配布する政府印刷局が分担協力している。これはアメリカ国内の全国的情報システムであるが,我が国ではこのERICの利用を文部省が検討している。

DRUGDOCはオランダのエクセルプタ・メデイカ財団の提供する電子計算機ベースの医薬品情報システムであり,(財)日本医薬情報センターがこの導入を検討している。

このほかにも,英国電気工学者協会が開発したINSPEC,アメリカ物理学会が開発したNISPAなど数多くの国際的情報システムが存在する。


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