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第1部  社会発展基盤の強化と拡大のために
第3章  新領域の開拓
第3節  多目的利用を目指す宇宙開発
1  ロケット


ロケットは,地上と宇宙を結ぶ輸送手段として,宇宙活動には不可欠のものである。現在,アメリカ,ソ連,フランス,日本及び中国が人工衛星打上げ用ロケットを保有している( 第1-3-2表 )。

アメリカは,科学衛星等比較的小型のペイロードを打ち上げるロケットであるスカウト,静止衛星や軌道周回型実用衛星等中型のペイロードを打ち上げるソー・デルタ及びソー・アジーナ,大型静止衛星や惑星探査機等大型のペイロードの打上げに使用されるアトラス・セントール,その他アポロ宇宙船による月探査等有人宇宙活動に必要なペイロードの打上げに用いられるサターン等数多くのロケットを保有している。これらのうちソー・デルタ級のロッケトは最も多く使用されている。

また,アトラス・セントールは,その第2段の推進剤として液体酸素と液体水素を使用している高性能ロケットであり,将来我が国が習得すべき技術目標の一つとなつている。

これらの在来型のロケットのほか,アメリカはスペースシャトルと呼ばれる新しい宇宙輸送システムの開発に着手している。スペースシャトルは,地上と200km程度の低高度との間を往復し,ペイロードの打上げ及び回収に使用され,その運搬能力は最大30トンである。これは在来型のロケットと異なり,その機体を100回程度再使用することを目指しており,宇宙活動の経済効率の大幅な向上が期待されている。

更に,低高度軌道と高高度軌道及び惑星軌道等とを結ぶスペースタグ(軌道間往復機)と呼ばれる再使用可能な宇宙輸送機を開発し,組み合わせて使用することにより,一層広汎な宇宙活動の展開が期待できるのでその開発の検討が進められている。

フランスは,小型のペイロード打上げ用のディアマンロケットを保有している。

一方,欧州におけるロケットの共同開発は,将来は大型の静止衛星打上げ用ロケットを保有することが必要であるとの見地から,アリアン(旧名L-III-S)と呼ばれるロケットの開発をESRO (欧州宇宙研究機構)が行うこととなつている。アリアンのペイロード打上げ能力は700〜800kg(静止軌道上)であり,その第3段の推進剤は液体酸素及び液体水素を使用する。アリアンの実用化は1980年代の初めとされている。

我が国では,現在,衛星打上げ用ロケットとしてM(ミュー),Nの2種類のロケットを開発している。Mロケットは,東京大学宇宙航空研究所により開発されている科学衛星打上げ用の全段固体燃料のロケットで,M-4 Sロケット(4段式)により既に「たんせい」,「しんせい」及び「でんぱ」の3衛星が,また,M-3Cロケット(3段式,推力方向制御装置付き)によつて「たんせい2号」が打ち上げられている。

今後,推力方向制御装置や推薬の性能の向上等により,昭和52年までにより高性能のMロケットを順次開発することになつており,昭和52年度は重量約60kgの衛星を近地点500km,遠地点30,000kmの長楕円軌道に打ち上げる能力を有するMロケットが完成することとなつている。

一方,実用衛星打上げ用ロケットとしては,宇宙開発事業団がNロケットの開発を進めている。Nロケットは,液体燃料を中心とした3段式ロケットで,約130kgのペイロードを静止軌道に打ち上げる能力をもつている。このロケットは中型のものであるが,性能向上のための改良発展の可能性が比較的高く,将来,大型静止衛星の打上げを行うロケットを開発するための不可欠なステップでもある。

なお,この開発に当たつては,我が国の開発経験の不足,限られた開発期間という制約にかんがみアメリカの技術を活用しつつ行われている。すなわち,第1段ロケットについてはライセンス生産あるいはノックダウン生産により,第2,3段について部分的に技術を導入しつつ自主開発を行つている。

昭和48年度には,1号機から3号機までの製作を行い, 第1-3-2表 の打上げ計画に従い完成する運びとなつている。

Nロケットのうち,技術導入を行いつつ自主開発を行つている第2段ロケットエンジンについては,同型エンジンをとう載したLS-C型ロケットの打上げ実験によりデータの取得解析を行つていたが,昭和48年度のLS-C-7号機打上げをもつてこれを終了し,49年度には試験用ロケット2機を打ち上げ,その飛しよう性能確認試験を行うこととしている。

更に,将来の実用衛星の打上げに対処して,数百kg程度の静止衛星を打ち上げる能力を有するロケットを開発するため,Nロケットを軸とし,これに固体補助ロケットを増加させ,あるいは上段部ロケットの性能を向上させたロケットについて開発研究を行うこととしている。


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