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第1部  社会発展基盤の強化と拡大のために
第3章  新領域の開拓
第2節  資源の開発・利用の海洋への拡大


地球表面積の70%を占める海洋は,膨大なエネルギーを貯え,海流,気流によつてこれを地球の全地域に配分することにより,気温,降雨などの自然現象を支配している。また,その包容力は,大きな生物生態系の場を構成するとともに,酸素収支,物質循環等にも極めて重要な役割を果たしている。

人類は,気象,海象等を通じて海洋と常に密接なかかわりを持ち,また,資源の採取やスペースの利用により海洋から多大の恩恵を得てきた。

しかし,これまでの利用は海洋の有する大きな可能性からすれば,ごく限られたものであつた。それは海洋の開発技術が非常に難しいものであつたことと,必ずしも広範なニーズが存在しなかつたことによるといえよう。特に水深の増加に伴う圧力は非常に大きなもので,これを克服することが大きな課題であつた。

しかし,今日では海洋が人類社会にとつてより重要な意義を持つようになつてきている。すなわち,近年の世界人口の急激な増加と経済的諸活動の拡大は,鉱物資源,たん白資源の世界的不足,沿岸部の過密集中,公害の顕在化などを招き,このため,魚類,海藻等の生物資源,石油,天然ガス等のエネルギー資源,各種の鉱物資源の開発あるいは海水及び海洋エネルギーの利用,海上及び海中のスパース利用というニーズとなつて,海洋開発の重要性が見直されてきている。

一方,海洋の汚染も最近の大きな問題である。近代産業の発展は,大量生産,大量消費に支えられてきたが,同時に大量の廃棄物も副産物として生じてきた。その廃棄物の多くは,河川を通じ,最終的に海に流れて行く。現在では,沿岸部においては,この量が自然の浄化力を超える程までに達している個所もある。

このような海洋の汚染は主として陸域の経済的諸活動によるもので,本来の海洋開発の活動によるものは比較的少ない。しかしながら,海洋が自然環境の中で占める位置の大きさにかんがみ,総合的に自然環境の保全を図ることは,緊急を要する問題となつている。

このような状況において,今や海洋の開発は,海洋環境の保全と両立するよう進められねばならないが,その推進力となる海洋科学技術は次のような特徴を有している。

すなわち,海洋開発がきわめて広範な分野にわたつているため,海洋科学技術も広範多岐にわたり,それぞれ専門分野においてその分野の科学技術と密接な関連をもつて推進されているが,海洋開発の進展とともに,これに即応した海洋科学技術の効率的推進を図るためには各専門分野の科学技術を新たな観点から体系化したハード,ソフト両面にわたる総合的科学技術であることが要請されている。

したがつて,その効率的な推進を図るためには,相互に関連を有する科学技術を体系的に組み合わせ,一つのプロジェクトとして開発を推進することが有効である。

海洋開発の使用研発費の現状を見ると,原子力開発や宇宙開発と比較した場合,海洋開発が生物資源の開発や鉱物資源の開発に見られるように,民間企業の営利活動によつて推進されている分野が多いため,民間の占める比率が比較的大きい( 第1-3-4図 )。

しかし,前述の体系的なプロジェクトの推進に当たつては,多分野の先端的科学技術を結集してはじめて達成されるものであること,科学技術全般の水準向上にきわめて大きな先駆的役割を果すものであること,多額の資金と長い期間を要するものであることから政府の果たす役割が重要となつてきている。

次に,上述の観点から政府及び民間で進められている研究開発を 1)海洋資源開発及び海洋スペースの開発 2)海洋の調査研究及び先行的共通的技術開発 3)環境保全技術開発の側面から概観する。

第1-3-4図 使用研究費の組織別割合(昭和47年度,単位 %)


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