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第1部  社会発展基盤の強化と拡大のために
第3章  新領域の開拓
第1節  エネルギーの供給確保と多目的利用に貢献する原子力開発
6  安全の確保


原子力開発利用は,放射能の潜在的危険性を避けて通ることはできないため,開発当初から危険に対処した対策を講じるなど,安全の確保を最重点にして,技術の開発が行われるとともに,厳しい安全確保に対する法的な措置も講じられ,既に,他の産業分野に見られない安全率が達成されてきた。特に,原子力施設を建設する際には,設置する場所の地質,地形,気象,生態系などの自然条件,人口分布などの社会的条件等の条件について,事別に調査・評価が行われている。

一方運転開始後は,施設の運転に伴つて環境に放出する放射性物質の影響を監視するため,モニタリングが実施されている。

このような安全性に対する考え方とこれまで述べてきた原子力開発の動向に沿つて安全性を一層向上させることが必要であり,国はこれに必要な研究開発を積極的かつ強力に進めている。

原子炉そのものの安全性の向上に関する研究としては,軽水炉冷却材喪失実験装置 (ROSA) に非常用炉心冷却装置 (ECCS) を取り付け,仮想上の事故として考えられている冷却材喪失事故時のECCSの作動状態と,それに影響を及ぼす諸因子の解明を行う研究を行つている。また,原子炉の異常出力上昇時の炉内の燃料の挙動,エネルギー放出と圧力の伝播に関する現象を研究するため,反応速度事故実験炉 (NSRR) の建設を進めている。


注)  ROSA:Rig of Safety Assessment


ECCS:Emergency Core Coo11ng System


NSRR:Neuclear Safety Research Reactor

原子力施設から環境中へ放出される放射性物質の安全の問題については,今後増大する原子力発電を考慮して,放出量を低減し,国民の被ばくをできるだけ低く保つという考え方に立つて,これに応じるための研究開発が進められており,原子力発電所では,希ガス・ホールドアップ装置の設置,廃液処理系の増設改良などによつて,施設敷地境界で平常時の人の被ばくが自然放射能による被ばくの5%以下となるよう努力しており,これが達成されている。

また,環境に放出された放射性物質が,どのような挙動を示すかについて,実験室での調査研究に加えて,原子力施設周辺などのフィールドでの調査研究が進められている。

このほか,原子力施設から発生する放射性廃棄物の処理処分は,原子力の開発利用を進めるうえで早急に解決すべき課題であり,処理処分体制の整備のための調査を含め,研究開発を強力に推進することとしている。放射性廃棄物の処理処分に関する研究開発としては,アスファルト固化に関する研究,新固型化材料に関する研究等が行われている。このほか,試験的海洋処分を実施する際の被処分体の深海モニタリンギ技術の開発に着手している。

原子力施設から環境へ放出される放射性物質による被ばくは,既に述べたように,一般公衆に対してはほとんどゼロに等しい。しかし,このような低レベルであつても長期にわたる被ばくは人体に及ぼす影響が一部に懸念されているので,これを解明するための研究が強力に進められている。


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