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第1部  社会発展基盤の強化と拡大のために
第3章  新領域の開拓
第1節  エネルギーの供給確保と多目的利用に貢献する原子力開発
5  放射線利用


放射線利用には,医学利用,農業利用,工業利用などがあり,これらは原子力の開発利用のうちで我々の社会生活に最も身近に密着している分野である。

医学利用は,X線の利用をはじめとして歴史が古く,新しい放射性物質,放射性医療品,放射線治療装置などの普及によつて,今日放射線及びラジオアイソトープの利用は,がんの治療をはじめとする各種疾病の診断治療のために有効な手段となつている。近年,速中性子線がある種のがん治療に有効であることが発見され,中性子線を用いたがん治療の研究のために放射線医学総合研究所などにおいて医療用サイクロトロンの建設を進めていたがこのほど完成し,今後のこの分野での成果が期待されている。

農業分野の利用は,食生活を豊かにするとともに食料事情を改善する上で今後の大きな成果が期待される分野である。特に放射線による品種改良によつて水稲,小麦,大豆などの優れた品種が作られている。放射線を食品に当てて,食品の保存期間を長くする食品照射については,馬鈴しょうが照射食品として厚生省の認可を得て市場に出回ろうとしている。このほか,玉ねぎ,米,小麦,みかん等についても研究が続けられている。これらのほか,今後実用化が期待される分野としては,放射線を用いた不妊化による害虫駆餘がある。

工業面での利用では,非破壊検査や厚み計,液面計など,品質管理,工程管理などに広く利用され工業製品の品質向上,省力化に貢献している。また,放射線によつて耐熱性,染色性などに優れた高分子材料の製造,プラスチックと木材などの複合材料の製造などの放射線化学の研究が進められている。

このほか,放射性物質は微量でも測定が可能であるので生体内や自然環境中での物質の挙動を追跡するトレーサーとしての利用,放射化分析などの面で広く利用されている。また,公害関係では環境汚染物質の測定分析への放射線の利用,放射線による排気ガス処理などの公害防止技術の研究が行われている。


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