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第1部  社会発展基盤の強化と拡大のために
第3章  新領域の開拓
第1節  エネルギーの供給確保と多目的利用に貢献する原子力開発
2  原子炉の多目的利用


現在のところ原子炉は発電に利用されているが,原子炉で発生した熱をプロセス・ガス,プロセス・ヒート又はプロセス蒸気などの形で製鉄,化学工業などのエネルギー多消費産業のほか海水淡水化,地域冷暖房などの熱源として多方面に利用することが考えられている。

このような原子炉の多目的利用の例としては,イギリスのコールダーホール原子力発電所からウインズケール工場へ,また,ノルウエーのハルデンの研究炉から紙パルプ工場へのプロセス蒸気の供給,スエーデンのオーゲスタ発電所から4Km離れたフオルスタ団地への暖房用蒸気の供給のほか,ソ連のシブチェンコ原子力発電所の高速増殖炉BN-350(最大発電設備容量35万KW)による12万トン/日の淡水製造がある。これらの原子炉の利用はいずれも100〜200°C程度の比較的低温域での熱利用であるが,高温域での利用については,700°C以上の高温ガスを取り出すことができる高温ガス炉の実用化の進展と併行して,ヘリウムガス・タービンによる発電,水素製造などの利用技術の研究開発も各国において進められている。更に,将来1,000°C以上の高温ガスを取り出すことのできる高温ガス炉が実用化すれば 第1-3-2図 のように製鉄などの高温利用から海水淡水化などの低温利用までカスケード的に熱供給システムを組み上げることも可能と考えられている。このような熱供給システムは在来のエネルギー多消費産業の環境汚染をかなりの程度低減し得ることが期待されている。しかし,このようなシステムを構成するためには,まず1000°C以上の高温を取り出すことのできる高温ガス炉が必要であるが,耐熱材料,燃料材料など今後解決すべき問題も多い。また,利用技術についても今後研究すべき課題が残されている。このため我が国では,日本原子力研究所で高温ガス炉開発のため,高温ガス炉の設計研究,燃料材料の開発,高温ヘリウム取扱技術の研究などが進められている。

第1-3-2図 多目的利用の複合形態

このほか通商産業省においてはこのような高温ガス炉等を熱源とした製鉄への利用プロセスについての研究開発に着手している。


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